果てなき旅路
2020年10月14日(水)〜26日(月)
ぎゃらりぃあとにて行われる【果てなき旅路】に山の絵2点で参加しました。
展示風景は #果てなき旅路 もしくはギャラリーHP/Twitterアカウントからご覧になれます。
ぎゃらりぃあとHP
gallery-ato.jimdofree.com/%E6%9E%9C%E3%8…
Twitter @Ato10Gallery
※以下の文章は作品説明として共に展示していた文章をさらに付け加えたものです。
上:垣間見る 1
下:垣間見る 2
私がこの展示に興味を惹かれ参加を決めたのは6〜8月にかけてホビット3部作を観たのがきっかけでした。(ホビットはイアンホルムが亡くなったのを機に観ました。)
旅とは何か、Googleで旅の意味を検索すると
①住んでいる所を離れて、よその土地を訪ねること。
②自宅を離れて臨時に他所にいること。
と出てきます。旅にあえて帰らぬをつけた言葉があるように旅とはどんなに長くても遠くても「行ってまた帰ってくること」が言葉の意味に含まれているように感じます。
最近はコロナ禍の影響で遠出のしづらい世の中きなりましたが、今はそんな中であっても擬似的な旅行を経験できる時代になりました。(主にSNSを中心としたネットや映画や本、ゲームなど。レディプレイヤー1のようなVRなんて本当に体験型ゲームですよね)...って思ってたらレディプレイヤー1が現実になったツイート見てびっくりしました。
いよいよ「レディ・プレイヤー・ワン」が現実になってきた。2021年に本当に発売されるそうです。
— 橋口幸生@著書「言葉ダイエット」発売中 (@yukio8494) October 20, 2020
pic.twitter.com/Gp2bYfH0NC
しかし何かを通して旅をするという事は情報の発信者や登場人物達を通じて“垣間見る”という言葉がしっくりくるような気がします。
今回はこの“垣間見る旅”をテーマにしました。
タイトル:垣間見る 1
横から見るとメディウムの盛り上がりがよくわかると思います。しかし正面から見た際、盛り上げの強い右側より青い影の近くの方が盛り上がっているように見えます。
この作品は右から光の当たる山の一部分を描きました。右側の白い部分は光の当たっている面、左側の青い部分は作品の影になる部分です。
↑参考にした友人の手(掲載許可済み)
影の部分は山の写真と友人の手の血管を参考に制作しました。つまり山の岩肌や土であると同時に私の友人が生きている事でもあります。この絵で垣間見るものは蓄積された大地の持つ長い時間と友人の常に循環する命の一部または一瞬なのです。
2と対になるよう、光の当たっている部分が作品の半分以上を占めるようにしています。
2では使用した絵具自体が変化しましたが(詳しくは下にあります)、1では参考にしたものがすでに一部や一瞬を切り取った作品なので変化/劣化に時間のかかる画材(水彩)のみにしました。
タイトル:垣間見る 2
この作品も右から光の当たる山の一部分を描きました。右側の橙色の部分は光の当たっている面、左側の黒い部分は作品の影になる部分です。
1と対になるよう影の部分が作品の面積を多くました。右側が明度が高くなくても光の当たっているよう意識し、金の絵具を使用することで見る角度によって瞬時に変化の出る(=同じ絵にならない)ようにしました。
この作品の色味もまた1と対になるようにしました。また私が住むマンションの玄関の色を参考にしました。この絵で垣間見るものは移り変り続ける季節の一時と繰り返される生活の一瞬との偶然の重なりです。
○
ところで人生はよく旅に喩えられます。1人が(日本人の平均寿命およそ84年を、)産まれ生きて死ぬ事は一方通行であり上記の旅の定義とは少し違うように感じますが、人は覚えられ伝えられ受け継がれるものなのではないかと思います。
2020年9月28日にホアキンフェニックスとルーニーマーラとの間にリヴァーという名前の男の子が誕生しました。この子の魂は輪廻転生したリヴァーのものだといいたいわけではなく、ただ死ぬことが終わりではないと言われたような気持ちになり、小学生の時自分の名前の意味を親に聞くという宿題を思い出しました。それぞれの名前や漢字や響き全てに意味や願いが込められている事が好きだったけど、親愛なる誰かから取った名前というのもまた受け継がれる願いなのだなと思います。
ちょうどこの頃9月29日にポケモン公式からGOCHA!が公開されました。ポケモンはスタンドバイミーがオマージュされてるらしくあまりにも世界のタイミングがかっちりハマったようで(もちろん偶然なんだけど偶然だからこそ)感動しました。
BUMP OF CHICKENとポケモンのスペシャルミュージックビデオ「GOTCHA!」が公開!
— ポケモン公式ツイッター (@Pokemon_cojp) September 29, 2020
これまでも、これからも、ポケモンとともに冒険を続けるキミに贈る、特別な1本をお見逃しなく!https://t.co/muViIQHZKI #GOTCHA #BUMPOFCHICKEN pic.twitter.com/4wEbJEKBB0
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私達は日頃様々な媒体から他者の人生の一部を良いも悪いも特別も平凡も少しずつ垣間見ています。
人はたったひとつの自分の一生を生きることしか出来なくて あといくつかの他人の人生をひっかいたくらいで終わる でもそのひっかきかたに自分の一生がかかっているのだ
(午前二時のサイレント映画/谷川俊太郎)
という詩の一節があります。
果てなき旅路というのは、個を生きて群に返る命が脈々と受け継がれていく長い路、大きな運河のようなものであると同時に紙で指を切ったような鋭く小さく忘れられない痛みそのものであり、それをもしかしたら人は魂と呼ぶのかもしれません。
2020.10.14-10.26
「果てなき旅路」
mimimi