🐾5 ミュージアム初詣で
美術館に初詣でというキャッチコピーをもう随分前(10年くらい
経ってるかも)に目にしてうまい!と思ったのが懐かしい。
さすがに元旦から開館しているところは少ないにしてもすっかり
都市生活に馴染んだ新年の過ごし方のひとつになっているようです。
東京都統計年鑑によれば都内の博物館及び同種の施設数は
総数で272施設あるそうで、神社仏閣だけでなく新年に興味の
あるミュージアムに出かけると開運のひとつになるかも。
私も行ってきました。昨年末の講座で行ってみたいと思った
展覧会『平安文学いとをかし』(会期:1月13日まで)です。
今年はお正月らしく雅なスタートになりました。
歴史建造物でもある明治生命館の中にある静嘉堂文庫@美術館は
2022年、丸の内に移転開館してよりアクセスしやすくなりました。
館内では岩﨑彌之助・小彌太親子のブロンズが迎えてくれます
(たぶん岡本の静嘉堂文庫でお会いしたブロンズ)。
源氏物語や枕草子はもちろん蜻蛉日記や更級日記など代表的な
平安文学に関わるものが並んでいて妙にワクワクしました。
学生時代にふれた古典ををもう一度読み返してみたくなります。
これまで読んだことのない本も読んでみたくなるくらいです。
紫式部図も目にすることができます。以外にも初公開なのだそう。
他にも修復後初公開であったり、曜変天目茶碗といった国宝・重文
展示が何点もあり収蔵品の厚みを感じます。
また、今回こちらもお目当てのひとつであった山本茜さんの截り金
ガラス作品を鑑賞することができました。日本の美の未来を新たに
創るとはこういうことなのかと思うほどです。山本さんのこの技が
継承されることなく一代限りであったならこの独自性は再現不可能で
唯一無二の美術品として世に存在していくのですから。
展示スペースの中でメインとなるGallery3では和歌を載せた
肩巾のような垂れ幕があり空間に動きを演出していました。
展示品の解説にも<ここに注目>や<そうだ「源氏物語」を書こう>など、
堅苦しいだけでなく幅広い層に届く視点のヒントや親しさをもたせたり
多面的・立体的な見せ方がなされていて静かに楽しめました。
この美術館は4つの展示室からなっていてそれぞれホワイエという
ロビーのような空間に戻れるので、見返したい作品のところまで
気兼ねなく引き返せます。このホワイエも空間自体が美術なので
居るだけで落ち着きます。
目のお正月プラスαな感覚を味わえた時間でした。