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近所で自転車を修理した話


「ハムレット」の稽古期間と公演期間、約2ヶ月埼玉での僕の足として大活躍してくれた折りたたみ自転車(通称「自家用ジェット」)の変速機4段から動かなくなってしまった。
今日は夜のレッスンまでに少し時間があるのでこのタイミングで修理してもらおうと思い近くの自転車修理をやってる店を検索してみた

「自転車修理」でマップ検索したら近くに個人でやってる自転車屋とショッピングモールの中の大手の自転車屋の2つが出てきた
参考までに…と思い大手の自転車屋の評価を見たら、これがめちゃくちゃ低い
クレームっぽい投稿が多く、ちょっとここはないなぁと思い、個人ででやってる方の自転車屋へ…

狭い店内は自転車と部品が所狭しとならんでいる。
その少しのスペースの中で僕より少し若いぐらいの作業着を着た男性が、僕が入ってきたことにも気づかない様子で汗かきながら自転車の修理をしているところだった
声をかけて自転車の状態、変速機が動かないことなどを説明して見てもらった

ひとしきり自転車の様子、細かいところまで見てくれた
ちゃんと定期的にメンテナンスしてなかったからどこが悪いのかすぐに特定できない、という事を少し言いにくそうに言ってくれた
確かにこの10年、メンテナンスらしいメンテナンスはしたことがない
自転車を愛するこの人にとってはきっと悲しいことだろう
お恥ずかしい…

まずは変速機のワイヤーを交換して、それでダメならハンドルの方の変速機、それでもダメなら後輪の変速機の交換…
ワイヤー交換だけなら4千円、ハンドルの変速機交換したら1万円、後輪の変速機を交換したらトータルで1万5千円以上はかかってくるという事を一つ一つ丁寧に説明してくれた

彼は少し申し訳なさそうな表情をうかべながら「この自転車自体の値段を考えると…まぁ、その辺りはお客様の判断なんでなんとも言えませんが」と油で汚れた手で額の汗を拭いながら、そう言った
確かこの自転車は10年前に3万円前後で買った覚えが…うーん、1万5千円以上かけて変速機を新しくするのはちょっと躊躇する
でもモノを大切に使いたい思いもある

どちらにしても部品を発注したりあるので、預かって1週間以上はかかるとのこと
僕は丁寧に教えてくれたことに感謝しつつ、即決出来ないので考えてまた来ますと礼を言って店を後にした

彼は嫌な顔ひとつせず、終始笑顔だった
自転車は治らなかったが、誇りを持った「プロの仕事」に少し触れた気がして嬉しかった
きっと自転車が好きで休みの日は自分のこだわりの自転車でいろんなところに行ってるんだろうなぁなんて妄想が広がる

さて、肝心の僕の自転車はどうしたものか…
このまましばらくは変速機のない自転車と思って乗った方がいいか、それとも時間とお金をかけて修理するか…そんな事を考えながらいつものコメダに近い駐輪場に

ふと、大手の自転車屋だったら部品の在庫があるんじゃないかな、と思い、ひとまず聞くだけ聞いてみようと大手の自転車屋へ向かった

レビューには「ここは全員バイトですか?」「店員は素人揃い!」「修理してすぐにまた壊れたのに対応が酷かった」など辛辣な意見が並ぶ

まぁ、予算だけでも聞いてみよう
大きなガラス張りの大手の自転車屋の前では親子連れが子供用の自転車に空気を入れてもらっていた

手が空いたところで若い従業員の方に声をかけ、事情を伝えた
すると後輪の変速機の一部をグイっと手で引き上げて「コレで動きますよ」って言って彼は店内に消えて行った

2秒で修理完了
そして無料

え…プロフェッショナルって…何?

いいむろなおき

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