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夢の通り道

台所で葱を刻んでいるとき。豆を剥いているとき。泡だらけのコップを洗っているとき。何を取り出すのか忘れて冷蔵庫の白い光を浴びながら立ち尽くしているとき。

ふいに夢のかけらが降ってくる。今朝見た夢の、気配。名残。手がかり。残像。

起きてからその時まで思い出しもしなかったそれらを、そこで捕まえられなかったら、それでお終い。夢はそのまま、溶けるように去って行く。

夢をとらえるラストチャンス。
にしても、どうしていつも台所。

我が家の台所には、夢の通り道があるらしい。


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