中流階級が激減した社会を想像できるか
中流階級が激減するとき、中流階級向けの財・サービスも激減する。
79年生まれ90年代育ちの私は、豊かな中流階級をデフォルトとして生きていた。だから格差が広がり、中流階級が激減する未来が恐い。
社会そのものが変容するイメージをかなり明確に持っている。
浅はかな知人は「金があれば大丈夫だろ」と言って、脇目も振らず投資にいそしんでいる。とにかく数字を増やすゲーム。彼らは今のところ成功しており、勝ち組気分に浸っている。
彼らは中流階級が激減するときに何が起こるかを真剣に考えようとしない。
むしろ考えたくないからひたすら金稼ぎしている。
中流階級が激減するとき、中流階級向けの財・サービスも激減する。
ユニクロやしまむら、回転寿司やファミレス、100円ショップなどが、
上級階級向けか下級階級向けサービスに集約される。
ユニクロは名実ともに決して安くはなくなっているが、
そのうち金持ち用のブランドになるかも知れない。
「昔は誰でも買えたのにね~」と言われるようになるかも知れない。
そんなことないと言えるだろうか?
ここ数ヶ月で1個10円だった卵の値段は3倍近くになった。現在の状況からは想像出来ないことが起こる、それが未来だ。
マスコミは後追いするだけだ。
金持ち用の商品か、貧乏人用の商品しかなくなるといくらお金があっても足りなくなる。頂点の億万長者以外は。
いくらお金があっても足りなくなる理由
例えば子供の学校を選ぶときに、
年間学費200万の私立小学校か教師不足で学級崩壊の公立校しかなかったらどうするだろう。
そこまで極端でない学費と校風の学校もあるかも知れない。ただし激しい競争率になるはずだ。運良くそこに入れない場合、多くの親が前者の学校に入れようとする。
しかし授業料を納めたら終わりではない。むしろ浪費の始まりだ。
子供をどうやって登校させるのか? 学費200万の小学校の制服を着せてJRや東急に乗せることは鴨ネギでしかない。
ひでじいでも雇うか、親が学校まで車で送ることになる。そして「子供を学校まで安全に送ること」があっと言う間によい親の条件となる。
その世界では学校以外の習い事や夏休みの体験学習にお金を払うことも普通、10代の間に海外の名門校(と呼ばれる金のかかる学校)に留学させることも普通。
ひたすら大金を使う層に入るか、時間を持て余すだけの層に入るか、
極端に言えばその選択肢になってしまう。
そのとき「普通の成功者」の経済力では間に合わなくなるだろう。
分断統治の一丁できあがり!
アメリカの郊外、区画で貧富がくっきり分かれるエリアでの路上インタビューを見たことがあるだろうか。
高所得者
「あの人たちは、ただ怠けているだけ。私たちが払った沢山の税金を食い潰しているの」
低所得者
「あの人たちは、わたしたちが働いた分を全て奪ってしまう。」
低所得者だけでなく、高所得者も生活が楽ではないのだ。
どちらも自分の生活に不満を持っており、それが相手のせいだと思っている。社会の仕組みやあり方に目を向ける余裕すらないのだろうか。
政策や政府に対する疑問ではなく、異なる層への憎悪を持たせれば統治は簡単だ。
一度社会が分断すると戻るのは難しい。が、止めるのは不可能なのだろう。
私らの世代は、親世代が目にした中流階級が勃興する過程は見られなかったが、没落する過程は見ることが出来るだろう。
高度成長期を経て驚異の速さで勃興したが、没落する速度も激しそうだ。