モノが安くなっているのだから私たちは豊かになっている、という嘘
日本の社会貧しくなっていることを認めない人がいる。彼らの言い分は
「ユニクロや百円ショップなど安くていいものは昔はなかった。だから今の方が豊かだ」だ。
ユニクロや百円ショップは『いいものが安い』のではない。
『安物の割にはよい』だけだ。
今は安物が氾濫しているだけ
モノやサービスが安くなる背景は二種類ある。
①給料が上がり、昔は買えなかった高級品が手に入るようになった。
高度成長期やバブル期に起きていた現象だ。円が強くなり、海外旅行や海外のブランド品が一般庶民でも手に入るようになった。
②給料が上がらず、昔買えたものが買えなくなった。そしてその代替品になるモノやサービスが増えた。
それがここ20年で起きている現象だ。2000年代まで一般のOLも海外ブランドやそこそこのブランドメーカーの洋服を買う経済的余裕があった。しかし税金や物価上昇に伴い、洋服に使えるお金が目減りし続け、OL層を対象にしていたアパレルメーカーは軒並み苦境に陥っている。
(サンエーインターナショナルのBodyDressingなどがよい例だ。綺麗めセクシーなデザインと質で私も好きだった)
安物で我慢するしかない、というのが現状
百円ショップも、回転寿司も、1000円床屋も、AKBも、全てが安物なのだ。
私は出てきた頃からAKBを『アイドルの百円ショップ』だと思っている。B級アイドルをファンに奉仕させる(=安く売る)というスタイルが、まさに安物商売の典型だ。
住宅も安物商売になっている。敷地を何分割にもし、3階立てにして1階部分は駐車場にする。坪は30程度しかない。そうして安く作って売らないと買えない人が大勢いるからだ。
安物を買っても結局損する
それしか手に入らないからといって、安物ばかり購入するのは損でしかない。
100円ショップの商品は、「新品100円にしてはましもの」であって100円の価値は無い。
ファストファッションの商品は長期間着られるものではないので、割安ではない。
すぐ価値が無くなる上物が建った狭い敷地の新築戸建てを、長期間のローンを組んで買うのは負債を抱えるのと変わらない。
貧しくなっているのに負債を抱えれば、貧しさは加速する。
よいものを少しずつ買うことを意識する
安物を買わせるマーケティングが巻き込まれると、どんどん貧乏になっていく。まがい物で満足するようになり、貧しくなっていることにも気づかない。
それに対抗するには、時間をかけて買い物し、よいものを少しずつ揃えることだ。
モノの価格の内訳を調べたり、一流品と言われるものを見学したり、欲しくなってもすぐに買わずに考える時間をつくる。
その間失敗してもよい。失敗しながら学んでいくのが一番身になる。