年収1000万円が高所得のはずがない

今の年収1000万円は、25年前の中堅サラリーマン程度の経済力しかない。

年収1000万が高所得か否かというのは度々議論になっている。それぐらい稼げる人は数%しかいない、という意味では高所得と言えるかも知れない。しかし、その経済力(または購買力)を考えればそうではないことが分かる。

1995年の年収1000万円の経済力はどの程度か

その当時中学生だった私の身の回りにはそうした家庭が多々あった。彼らの生活はといえば・・ 
①神奈川の地価高めの郊外に一軒家
②子供は二人以上、小学校又は中学校から大学まで私立
③奥さんは専業主婦
④↑の全てをこなしても経済的に余裕があり、家族で海外旅行又は高級ブランドを購入などの消費行動が可能。

当時年収1000万円の生活は、現在に換算すると年収1500万以上にはなる。それ以上かも知れない。

今の年収1000万円は、25年前の年収650-700万の経済力と同等

今の年収1000万円は、家を買って子供二人大学まで出したらそんなに余裕はないはずだ。家だってそんなにいい場所に買えないだろうし、大学以外は私立は無理かも知れない。
それは、25年前の中堅サラリーマンの経済力ではないだろうか。

豊かさの基準がどんどん下がっている

25年前の中堅サラリーマンの経済力が高所得に思えるくらい、社会は貧しくなっている。社会が貧しくなっているということは、給与が低いということだ。

今年収1000万円の人は本当は年収1500万でなくてはならない

それにつきる。新卒・バイト・非正規から正社員まで90%の人の給与は低すぎる。
大卒初任給が20万は安すぎないだろうか。手取り16万でどうやって都市で一人暮らしするのだろう。そもそも、四大卒で語学に堪能といった人材が月20万しかもらえないことがおかしくないだろうか。
初任給は30万を超えていないとおかしい。ほとんどの人の給与は、今もらっている額の50%増しでないとならない。日本の給与は25年間上がっていないのだ。

年収1000万円を高所得と考えるのは危険だ

そう考えることは、社会が貧しくなっていることを肯定することだからだ。

私は自分と同性代の40代がその考えに染まっていることが信じられない。氷河期世代は、日本が最も経済的に豊かな時代に子供時代を過ごしている。親にブランド物を買ってもらったり、バイト代で海外旅行を楽しめた世代だ。
高校生の自分たちが現代にやって来たら目玉が飛び出るほど驚くに違いない。奨学金?生理の貧困?何それどこの発展途上国??と言うだろう。

今20代の人は経済的に豊かな日本を知らない。豊かな中流階級の生活を知らない。
40代の私たちは自分たちが体験したことを覚えていないとならないし、若い人たちに伝えないといけない。

夫婦で年収1000万とは、二人合わせてやっと25年前の中堅サラリーマンの稼ぎだということ

そうした若い夫婦に対して「あなたたちは高所得のパワーカップルです!」と言って高い不動産を買わせることはかなりグレーな行為だ。若い夫婦が勉強不足だ、自己責任だとは私は思えない。ローンは少額ずつ返すから数年経たないと負荷が分からないし、そもそも働いて10年くらい経たないと長期間の収支の感覚なんて身につかない。
何より彼らが自分たちを高所得だと思うのは傲慢だからでも世間知らずだからでもない。メディア・社会・企業がそう喧伝してるからだ。その理由は若い夫婦に借金して高額商品を買って欲しいからだ。
豊かな時代を知らない素直な20代の人は疑問を持たなくてもおかしくない。

実質年収は名目年収の7割程度だと考えれば、とりあえず破産はしない

今年収1000万の人は、本当は年収700万程度だと考えて消費する。年収800万円の人は560万程度、年収500万円の人は350万円程度・・。そう考えるのは有効だと思う。

今から10年後、年収1000万はいまだに高所得と呼ばれているのだろうか

2030年の年収1000万円はどのくらいの経済力なのだろう。

2030年の年収1000万円は、35年前の年収500万円程度かも知れない。そのとき、まだ年収1000万円が高所得扱いされていたら・・と考えると恐ろしい。

  


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