商店街には、店主の顔が見える贈与経済が必要だ。
昨日のシンポジウムの内容をぼーっとしながら振り返っていた。
「場の貸し借り」についてこんなやりとりがあった。
会場質問で、ある場所を使いたいと思ったとき、どこに問い合わせたらいいか分からない。という意見があり
これに対して、アプリや受付フォームなどのシステムで貸し借りの円滑化、簡素化を促進しても、モラルのない使われ方をされかねない。
貸しオフィスなどは金額設定やクレジット決済、電話番号登録などによって抑止力に繋げている。
鍵の貸し借りをイメージしてほしい。
店主から鍵を受け取る。使っているときに店主が居なくても店主の顔が浮かぶ。
その、顔が浮かぶ(見られている)という感覚が抑止力になり、安全性や場を大切に使おうとする愛着につながると思う。
何年か前にマルセル・モースの『贈与論』を読んだ。
伝統民族では、互いの争いを起こさないために交換経済が主流となっていて、その際、思ったよりも少し多めに贈与することで相手への尊敬の念を示していたそうだ。
また、『ゆっくり、いそげ』/影山知明においても、大事な哲学が記されていた。
ここで注目したいのは、貸オフィスでは使用料やクレジット決済、電話番号という信用を等価交換している等価交換経済による関係性である。
等価交換経済とは、1000円支払えば、1000円分のサービスを受けられる権利を等価交換するもの。
一方、未満建築デザインファームの豊嶋氏が言わんとしたことは、等価交換経済じゃなく、贈与経済的な関係性だ。
贈与的な関係性では、1000円支払ったのに、2000円分、いや金銭に換算できないほどの出来事をうけること。
仮に普段3000円で借りれる場所、今回は無償で良い!といったオーナーの心意気や匙加減と呼ばれるものだ。
その贈与の関係性の中で、公開空地や未利用地を使う体験が乏しくなっている。
そこを解きほぐしていきたいと思っている。
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