1日後に産むワレ(仮)


朝7時前
下腹部にやや鈍痛
体を起こすと小さく「プチ」という音がした。ような気がした。
トイレに行くとおしるし。わずかに鮮血。
予定日より遅れるかなと言われていたが、やはりその日は近いのだ。

しかしおしるしの後、昨日までとはあきらかに違うフェーズに入ったんですねこれ、という腹痛がはじまった。もうきっとこの痛みの前には戻れない。さよなら朗らかなマタニティライフ。
あとは押し出されるしかない。

すぐに引くけど結構痛い生理痛という感じで、一緒に腸が動くので、午前中何度かトイレに行って腸内のものはほぼすべて出ていったが、昼間は序章だった。

暑かったので今年初めての冷やし中華を作った。きゅうりを刻んだり錦糸卵を焼いたりしながら痛みが来ると静止する、という具合に料理はまだできた。
しかし夜の深まりとともに痛みは耐え難いレベルに移行していく。
夜は夫が味の素の餃子を焼き、スープを作って用意してくれた。途中痛みで箸を置きつつもまだ食べられた。

その後は座椅子に座り抱き枕を抱えてじっと呼吸しているしかなくなった。痛みは右の下腹部から広がっては引くをくり返す。
夫がサティを流してくれ、なんとなく落ち着く。

11時過ぎ頃、痛みはクレッシェンドだったが、やや無理して入浴。産むと1ヶ月湯船に入れないらしいので湯に浸かっておきたかった。
雨音がするなと思ったらいきなり嵐。めずらしく雷がガンガン落ちている。これは今日はまだ病院に移動しなくてよいという天の声だろうと思った。風呂場でも痛みが来たら静止し、過ぎ去るのを待ちながらなんとか入浴達成。

嵐は去った。
布団を敷いて今夜はなんとか家で過ごす体勢でいたが、痛みで一度吐き、そこから状況はけわしくなってきた。
日付が変わった頃病院に電話する。
陣痛間隔は10分きっていて、骨盤に鈍痛が響く。痛みが訪れる度にうずくまっていないと耐えられなくなってきた。しかし電話に出た看護師さんからはいきみたい感じと出血がなければまだだから、変化があれば電話してと言われる。これでも「まだ」かと絶望する。

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