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#14 皐月賞2024

~テシオ理論と太陽のサイクルから遺伝と適性の血統を探る~
# 14『種牡馬戦国時代!』

1.はじめに

ここ一年程「サンデーサイレンスのクロスを持った馬が増えたなぁ」
なんとなく、そんな気がしていた。
でも思えばそりゃそうだ、サンデーサイレンスが日本競馬にもたらした影響を考えると当然の結果である。

以前、本で読んだ事がある。
「血の飽和がはじまり、臨界点を迎えたとき、その血統は淘汰へ向かう」

続けてその本にはこう書かれていた。
馬という生き物は一頭のボスがハーレムを作り、強い遺伝子を残しながら集団で生活してきた生き物。ボスの子孫が増えすぎると、馬の闘争心は失われ、いつの日かボスは交代する。-と。

サンデーサイレンスの血がいますぐどうこう淘汰されていくとは思わない。
ディープインパクト系、ステイゴールド系、ハーツクライ系、キタサンブラック系…すでに多くの派生を生み出し、これからも更に発展してく可能性もあると思う。

ただ、今現在の【ボス】という意味ではサンデーサイレンスもディープインパクトも亡くなってしまっている。

ダービーを頂点とするクラシック競争が次世代のボスを決めるの戦いの側面をもつならば、この世代はちょうど隙間の世代、戦国時代。サンデーサイレンスからディープインパクトへと繋いだボスの系譜が不在の年なのではないかと思う。

そんな想像をしながら来年のクラシックは楽しみたい。
2歳戦が始まるころから、ぼんやりと考えていたのでした。


2.ダービーを振り返る

「サンデーサイレンスのクロスを持った馬が増えたなぁ」
まずはこれを調べようとしたのだけど、データソフトもないのに手作業で調べるには無理がある。

そこで、クラシックの頂点日本ダービーの出走馬の過去データを調べてみた。
まずは、毎年ダービーに出走した馬の中で、「サンデーサイレンスを内包してる馬」がどのくらいいるのかを調べてみた。より濃い血でソートしたいと思い『3代前までに』という括りで調べてみました。

改めてみると凄いよね。
ディープインパクトの産駒がデビューしたのが2011年のオルフェーヴルの年。その年はなんと内包率100%。
ハーツクライやステイゴールドの仔もいるし、母系にもどんどん増えていっただろうし。ついにその年を境に毎年85%越え。

サンデーサイレンスの血がいかに影響力が大きかったか、いかに日本競馬にマッチしたのかがよくわかる。日本競馬で天下を獲るには、サンデーサイレンスの血を持たないと参加権もなかったかのように。

ではこの表に、その年のリーディングサイヤーを追記してみる。

ご覧の通り、サンデーサイレンスの天下が終わったあと、次はディープインパクトの天下だった。

ディープインパクトは父サンデーサイレンス。
誕生日が同じ3月25日というのは有名なお話。

☑日本近代競馬の結晶
☑サンデーサイレンスの最高傑作
☑サンデーサイレンス優勢期にして形を継ぐ正統後継者
なのである。

ポイントは、3つ目。
サンデーサイレンスの晩年産駒にして優勢期、つまりしっかりとサンデーサイレンスの形を継いでいたのが紛れもなくディープインパクトだった。

そして注目して欲しいのが、サンデーサイレンスからディープインパクトへと天下が移行されるまでの数年間。

サンデーサイレンス産駒が去り、ディープインパクト産駒がデビューするまでのこの数年間はさながら戦国時代。

その期間にダービーを制覇したのがオペラハウス産駒のメイショウサムソンや、タニノギムレット産駒のウオッカ。
米国からやってきた稀代の名種牡馬が不在の間に反撃をみせたのが欧州系のノーザンダンサーでありロベルトだった。

ディープインパクト産駒が去り、今現在が次のボスが現れるまでの、再びの種牡馬戦国時代であるとすれば。
昨年のダービーを制覇したのが、サトノクラウン産駒のタスティエーラだったのは、これはなんとも偶然なのか。

歴史は繰り返す。

サンデーサイレンスの血が淘汰されるとは考えてはいないけど、ここまで濃密に増えてしまった現在、ひとつの過渡期として考えてみるのもありなのではないか。
そう考え、今年は「脱サンデー」と題して2年連続欧州系種牡馬の反撃を期待して、追いかけてみたいと思う。


3.皐月賞の登録馬を検討する

早速、毎度恒例のテシオ理論的な血統診断を。

いやー、ここのところサボってたから、久しぶりに調べてみて大変だった。(笑)

さて、ここまでの話のテーマから…
☑父がサンデー系ではない馬(オレンジの色は本命からは除く)
☑父が欧州系の種牡馬(オレンジ以外の色を本命候補とする)
☑3代内にSS無の馬を選ぶ
☑父馬だけでなく、優先祖先も欧州由来の馬を選ぶ
☑3代内にSSを持っていなくても優先祖先がSSならば積極的に選ぶ
 (※残念ながら今回は不在)
☑予定日のズレは小さい馬を選ぶ

これらを考慮した馬を本命候補にしたいと思います。
さて、だんだんと絞れてきました。


4.トライアルレースを振り返る

狙いたい血統馬が絞られてきたところで、ここまでのトライアルを振り返ってみましょう。

『皐月賞は一番速い馬が勝つ』
昔からの有名な格言。

ここ数年は開催後半の傷んだ馬場で、ハイラップからの外差しが顕著な傾向です。昨年のソールオリエンスをはじめディーマジェスティやドゥラメンテも印象的。その昔はヴィクトリーやキャプテントゥーレの逃げ切りなどもあったんだよね。

いずれにしても、皐月賞は毎年のようにハイラップが刻まれる、スピード比べとなる傾向があります。となると、まずはこれまでの経験でいかに厳しいペースを経験しているか。

馬という生き物は前回やったことと同じことをする方が基本的には得意。前回やったことと反対の事を強いられるのは、とてもストレスなのです。

トライアルレースの性質を数字にしたものです。
前半3Fと後半3Fのラップの差を計算し、前傾ラップには黄色を、後傾ラップでも1.5秒以内だったものにオレンジの色を塗りました。

まず前走完全な後傾ラップを経験している馬は軽視。色を塗ったレースを評価する。

そして次が肝。
前後半のラップ差よりもその中身。
当該レースで一番遅かったラップと速かったラップの差を計算、その差が小さければ小さいほど息が入らなかった事になるから、レース全体を通して厳しい内容だったという事。さらに、一番遅いラップが前半に刻まれたものは中盤で息も入らず後半も失速しなかった持続戦だったということ、これをレース判定『E』と表示しています。
ラップ差が1.5秒以下だったものを青文字とオレンジ塗りで、レース判定Eを黄色で塗ったので、これらのレースを高く評価したい。



今年の皐月賞がどんなペースになるのか。
悩んでいたところにメイショウタバルの参戦は願ったりかなったり。

毎日杯のレースラップは驚愕の数字でとにかく優秀。
1F目で12.6を刻み最後まで緩むことなく、しかも上がり最速で6馬身千切って突き抜けた。これは圧巻。
他のレースと比較してもの抜けた数字。レース映像からも飛び付きたくなる一頭だ。

今年の皐月賞がここ数年と比較して内が使える馬場だったら特に逆らいようが…なんて思いもするけどちょっと待った。
まずこの馬、とにかく基礎体力が低い。前走のパフォーマンスが高すぎる故に、中2週で続けて同じパフォーマンスを期待するのはかなり酷ではないか。しかも、前走は重馬場。
優先祖先はダンスインザダークを経由してNijinsky、母もスピード馬だったことから重たい馬場であの走りには妙に納得する。

皐月賞当日の馬場に関わらず、この馬は軽視したいと思う。
もしこれらの懸念材料の乗り越えて、第二のヴィクトリーになったら、相当の器だったということ。毎日杯の数字は優秀。

さて、その毎日杯に次いでいい数字だったのは暮れのG1二つと、シンザン記念。これら経由の馬は積極的に買いたい。次点で評価したいのはきさらぎ賞と若葉S。
ついでながら、弥生賞、スプリングS、共同通信杯組はノータイムで軽視します。


5.注目馬と本命

〇対抗予定 ジャンタルマンタル

今年のテーマはある程度前から決めていたので、この知らない血統表を初めてみたときから注目していた馬。詳しくはこちらの記事で。

朝日杯で勝ったら皐月賞で本命にしたい、と書いているように昨年末の段階では来年はこの馬とクラシックを走ろう、そう考えていた。

前走の共同通信杯が数字的にいまいちと前述したが、このジャンタルマンタルはデイリー杯と朝日杯でいい数字をだしている。裏を返せばこの馬の性質に向かなかった共同通信杯でも2着に善戦、これは相当高く評価してもいいのではないか。

朝日杯の特にたくさん調べて愛着も沸いている。ただ、どうしてももう一頭魅力的な馬が出てきてしまった。




◎本命予定 ビザンチンドリーム

父エピファネイア、母似産駒で優先祖先は母父ジャングルポケット。
一見SSクロス4×4が目に入るが、エピファネイアはシーザリオのスペシャルウィークの0活性を活かしてクロス無効、これによりSSクロスの弊害は抑えられる。なにより、優先祖先はジャングルポケット

母似産駒の場合母系の競争成績をより詳しくみるのだけど、母は中山マイルでデビュー勝ちを挙げ、その後福島や函館で活躍した小回り巧者。そして一番の推し材料は母からMAX活性を受け継いでいる点、しかも3代母フサイチエアデールと2度もこのイベントが発生している。

今回のテーマ脱サンデー、欧州系の反撃、ディープインパクト亡き今天下取りに虎視眈々のエピファネイア産駒。
新馬戦のレースリプレイをみた時に衝撃が走った。

勿論不安材料もいくつかある。
G1未勝利の厩舎、関東圏初輸送、追走力。

厩舎に関しては正直自分にはわからない。
ただ関東への輸送は溢れる基礎体力でカバーできると思っているし、追走に関してはメイショウタバルがある程度締まったペースを担保してくれるとした時に、いい方に転ぶと感じている。
ここまで2レースとも追走できていないというより遊んでるようにもみえるしね。

新馬ときさらぎ賞で魅せた衝撃の末脚、これが皐月賞でも発揮され、ジャングルポケットの生まれ変わりとして、ダービーまで見据えられる器であることを期待したいと思います。

最後に、結局は初志貫徹、直感競馬。



△その他の注目馬を簡単に

・レガレイラ
これは母の0活性でサンデークロスを最小限に抑えられている。スワーヴリチャード自身はシアトルスルーの形を継ぐ馬だから、ドウデゥースの様な活躍も期待したいと思う。ただ、ドウデゥースが3着だったように、この馬も頭までは…として相手までにとどめたいかなと。

・シンエンペラー
外国馬の刺客、実はシンエンペラー本命も考えた。ソットサスの全弟に恥じぬ走りが日本でも出来ると思っています。もし今の段階で印を打つとしたら▲でしょうか。

・サンライズジパング
・エコロヴァルツ
・ウォーターリヒト
(見解割愛)


6.さいごに

昨年の秋ぐらいから、競馬へ対する熱量というかモチベーションがじわじわと低下している。
Twitterでも何度かポストしているけれど、どうも昔程の熱量で賭けてもいないし、予想もしていない。

理由はなんだろうと考えるのだけど、色々とあって上手く言葉にできないんだよね。

でもこうやって、なんとか皐月賞へ向けて調べたり妄想したり、一応、本当一応自分のメモとしてnoteに記録を残せられてホッとしています。

馬券ホルダーに貯まったたくさんの追っかけた馬の馬券を見返しながら当時の思い出を振り返り、お酒を飲む。最高じゃないですか。
でも頑張って予想したからこそ、結果に関わらず思い出として残るわけで。

だから、今年も頑張って予想した馬の馬券を握りたいと思って皐月賞だけはという思いでこのnoteに記録を残しました。クラシックレースが一番好きだから。

ちなみに、ウマ娘が映画化されるみたいです。
ちょうどダービーの前後に公開予定だとか。
主人公はジャングルポケットらしいですよ。おや?

拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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