見出し画像

千戦記 〜地方競馬で1000R戦った記録〜

2023年4月の下旬からはじめた地方競馬の買い目固定買い。購入した全てのレースをExcelに記録し、半年間でついに1000Rに到達しました。
これはこの半年間で感じたこと、学んだこと、購入結果を記録として綴ると共に、何か感じていただけるものがあればと思い書き残した備忘録です。

総合結果の発表

1000R購入した結果
投資額 2,000,000円
回収額 2,206,450円
利益額  206,450円

回収率 110.3%
 単勝回収率  102.3%
 馬連回収率  149.1%
 ワイド回収率   87.7%

固定買い以外の馬券も多少買ってるので混ざっていますが、1000R買った事の証明


1.固定買いを始めたきっかけ

それは2023年4月16日。忘れもしない、べラジオオペラが皐月賞で大惨敗を喫した日。

私は週末JRAの重賞は予算3,000円程度と決めており、毎週その予算でどんな馬券を組み立てるか検討するのが楽しみだった。しかし、3歳クラシックG1は一味違う。その世代一番想いの込めた馬の単勝を、予算度外視で購入する。普段の週末とは違う、競馬をやってて一番楽しい瞬間だ。

私、二十歳から競馬を始めて以来もう17年になるが、途中5年ほど辞めていた期間があり、2020のアーモンドアイのJCより復帰した。
2022年、この年の年間収支はもちろんマイナスも、競馬復帰後徐々に回収率も向上し、重賞に限った成績は140%で終わり少しながら手応えを感じていた。ところが、2023年の年が明けてからの4か月、びっくりする程当たらない。確か皐月賞前の時点で的中はチューリップ賞のモズメイメイの単勝のみ。重賞だけならず、平場でも地方競馬でも負けが込んでおり、大幅赤字だった。

競馬なんて負けるもの、ゴルフと飲み会にいったと思って月に2~3万の負けなら遊び賃としては上々。そうわかってはいても、4か月も連敗が続くと楽しくない。それでもクラシックだけは、皐月賞は心から待ち望んでいた。

そして、あの惨敗。
姫路競馬場まで紙馬券を買いに行き、勝つと信じてやまなかったオペラが。

あまりのショックで帰りの高速道路は頭が真っ白だった。
今思えばいい思い出だけどね(笑)

そして、年明けからの4か月を振り返り、自分の下手さに嫌気が差した。週末のみ重賞だけ20連敗、とかじゃない。平場含めもはや何連敗したのかわからない。これはなんとかしないといけない。昨年少し当たったからといって驕りがあったのではないか。何かを変えなくてはいけない。

考えに考えた結果、初心に帰り、
「勝ち馬を当てられるようになろう」
こう考えたのであった。


2.固定買いのルールと考え方

単勝 一点 1,000円
馬連 一点    500円
ワイド一点    500円

合計1レース2,000円、この買い方で固定することにした。
単勝一本も検討したのだが、対抗を一頭決めて馬連ワイドも買うことにした。

単勝…基本。この券種を当てられるようになるのが目的であり目標。ただ、私は穴党。なるべく穴の、10倍前後の馬で勝負して利益を出したいというのが目標だ。

馬連…ボーナス。ハマれば大きい夢馬券。単勝も当てられないくせに連系を買うな、、、と考えたんだけど、一点で仕留められたら嬉しいし夢も見たい。あとは穴の単勝を多く買うわけだから2着に来たのにハズレは悔しいし、対抗との1点も買うことにした。

ワイド…保険。精神安定剤の役割かな。本命が3着の場合に相手が頑張ってくれたら当たるわけだし、坊主を回避できる。当初はこんな考えだったけど、ワイドで儲けを出すのは自分の実力ではまだまだ難しいと思った。終わってみれば奥が深い券種だな、と感じてる。

こんな感じで、合計1レース2,000円、この買い方を固定してしばらく試してみることにした。そして、Excelでフォーマットを作り、必ず購入した全てのレースをメモすることにした。あと、購入した馬券のオッズを記録した。
狙っているオッズ帯がブレないように、また回収率を残すためにどのくらいのオッズ帯を狙うのが効果的なのか調べたいという気持ちがあった。

どのように記録していたか、Excel全てを公開すると画像が多すぎるので、一部を載せる。このように本命と対抗の馬、オッズを記録していた。

毎日毎日永遠とこの繰り返し。購入オッズとレースメモをひたすらに1000回入力し続けていた。

最後に、何故地方競馬を選んだのか。

ちょうどその頃地方競馬の面白さを感じていたし、特に佐賀競馬に絶賛ハマり中だった。

週末の中央競馬は注目度も高く、多くの有識者や予想家、YouTuberが無料で見解を垂れ流している。Twitterを開くとどうしても目に入ってしまい、自分の見解だけで馬券を買っているかわからなくなる時がある。勿論有益な情報も多いし、それを精査する能力も必要だ。
ただ、あくまで自分の中だけで全て考えて答えを出す力をつけなきゃいけないと思い、注目度が低く、簡単に情報が入らない地方競馬に限定してこの企画を始めることにした。

そう、自ら孤独な道を選んだのだった。


3.毎月の結果と心境変化

4月

23R参戦/回収73%

スタートとしてはこんなものだろう。単勝の購入オッズは中央値で15。全てのレースでオッズのメモをExcelで行っていたから、中央値はすぐに弾き出せた。


5月

83R参戦/回収180%

各券種で大きく利益が出た。特に大きかったのが単勝。購入オッズの平均値は26、中央値15.6、ブレずに穴狙いが出来ており、尚且つ的中率も12%と理想通り越して出来すぎである。2か月目に大きく軍資金を稼げたのが大きかった。
忘れもしないのが、梅さんに「今日の馬券教えてよ」って言われて推奨したのが東京湾カップのライズゾーン。まさかの27倍で勝っちゃったんだよね。これには我ながらびっくりした。
あと思い出深いのは大井記念。追いかけ続けていたセイカメテオポリスを対抗に置き、澤田渾身のカジノフォンテンを本命に。惜しかった。このレースには感動した。

大井記念、カジノフォンテンと澤田

6月

120R参戦/回収104%

少し参戦レースも増えてきた。先月に比べて成績が落ちるも、今月もなんとか100%越えを記録。この頃から、周りが「地方の神」だなんて持て囃し始めてくれたし、自分の中でもメキメキと自信がついてきた。
毎日毎日、レースをみてはメモを残す。そして翌日の馬柱に目を通し、チェック馬はいないか。いたら今回本当に狙える条件なのか、明日は何レース購入するかを考える。少々の連敗なんて何も気にならなかった。


7月

214R参戦/回収95%

この月はこの企画を始めて初めての単勝万馬券が的中した。
盛岡のスプリント重賞で、キラットダイヤが断然の人気だった。8番人気だったかな?スプリント2戦目のトーセンキャロル。展開も奏功して見事に勝ち切ってくれた。
この月は100%には届かなかったけど、95%なら全然上出来だと感じていた。ただ、購入している単勝オッズの平均が30、中央値でも19とやや穴狙いしすぎていたのかなと反省。あと、6.7月と馬連ワイドの成績も壊滅的。ちょっと購入スタイルを変えようかどうしようか、少し検討しつつ8月を迎えた。

トーセンキャロルの岩鷲賞

8月

210R参戦/回収160%

この月、馬連が爆発した。
6.7月と70%に満たなかった馬連、やめようかと考えていたところにまさかの馬連万馬券が3本も的中した。特に佐賀で奇跡が起きて389倍が当たってしまった。地方競馬は時に異常なオッズが発生する。この的中はラッキー以外の何物でもなかった。
しかもこの日交流重賞のサマーチャンピオンがあり、そちらでも本命サンライズホークで完璧的中を達成した。

馬連の最高配当。山田くんと川島くんの共演。
サマーC、重賞ではたまに3連系も購入。この3連系は収支には含んでいません。


ただこの頃から、フォロワーさんが一気に増え、分不相応な期待を感じるようになった。
参戦レースも増えに増えて、もともと一日2~3Rで考えて始めたのに、チェック馬も増えると同時に気付いたら一日6~7Rは当たり前に購入するようになっていった。


9月

238R参戦/回収85%

ついに成績が下振れはじめた。というより、化けの皮が剥がれはじめたという方が表現が正しい。
回収率85%という数字だけみたら、決して悪くないと感じる。控除率の壁は突破しているのだから。しかし、自分の中で、好きな馬を追っかけて楽しんでいるのか、数字ゲームをしているのかわからなくなっていた。
毎日毎日翌日買いたい馬を探すのが楽しみだったし、自分の実力を見つめ直す為にはじめた企画だったのに、結果を出さないといけないという気持ちのウェイトが増えてしまい、楽しんでいるのかよくわからなくなっていた。

参戦レースも800を超えてきており、1000Rまでいったら辞めようかなと漠然と考え始めていた。特に終わりを決めて始めたわけでもないし、当初の目的だった自分の実力向上が目に見えてわかるわけでもない。なんとなく、疲れ始めていた。

なんとか意地で取った佐賀の馬券がこちら。4番人気と9番人気の馬連が的中したのだが、単勝を持っていたのは4番人気の方、振り返ってみると弱いよな、いつもなら人気薄の方の単勝を買っているはずなのに笑

佐賀の最終。山田が大穴空けたのに単勝持ってない悔しさ。

その2日後、佐賀でアラバド、キクノキングの馬券を完璧的中。単勝、馬連、ワイドの総取りはなかなか出ない。しんどい中で、佐賀は最後まで心の頼りになってくれた。

アラバド

10月

112R参戦/回収59%

完全に疲れていた。本当酷い成績だよね(笑)

Twitterでは何度かポストしていたが、この上半期は仕事も過去最高に忙しく、お盆以外で連休を取れていなかった。火水の定休日も必ずどちらか休日出勤。体力的には疲れていなくても、精神的に限界を迎えていた。

仕事のストレスを馬券に当てていたのか、馬券のストレスが仕事に影響したのか、卵が先か鶏が先かわからない。ただ公私共、悪い流れなのは間違いなかった。

でも中途半端で辞めるのはいやだったし、一旦一休みできる性格でもない。ここまで来たからには、とにかく1000Rまでやり切ってやめようと考えた。
そして、10月13日、いつものようにExcelに記録をしたとき、残り6Rで1000Rとなった。
なんの因果かこの土日は佐賀開催。最後のレースは佐賀の重賞にしよう。


最終日

ちょうど秋華賞も行われていたし、せっかくだから紙馬券を買いに行った。地方も中央も購入できるDASH福山へ。
ところが、なんと購入可能なのは金沢と高知のみ。笑っちゃうよね、下調べしとけよな、いつも詰めが甘いんだよ(笑)

購入したかったのは、シノジマニヨラサイ。佐賀でトップ取れる馬だと思ってたし、何より鞍上はイチオシジョッキーの山田くん。何度お世話になったことか。
少し余談でプチ自慢なんだけど、山田くんは南関のトップジョッキーを抑えて今年の購入額堂々一位だ。しかも回収率もとんでも無いことに。

イチオシ山田義貴Jが1位

本当に何度もお世話になった、まだまだこれからの若手騎手。お気に入りの騎手を探すのも楽しみ方のひとつだね。

こうして仕方なくいつものSPATで、固定買い企画の最後のレースとして、佐賀オータムスプリントのシノジマニヨラサイを購入した。
しかし残念ながら結果は5番人気20倍で5着。最後は当てたかったなあ(笑)


こうして、地方競馬1000Rの激闘を終えた。

振り返ってみると、大きな連敗もしたししんどい時もあったけど、とても楽しかった。
人生三歩進んで二歩下がる、とはよくいったもので、
この半年間まさしく一歩進めたのではないか、と感じている。


4.買い目固定のすゝめ

改めて、楽しかった。
終わってみると、本当に楽しかった。

結果的にこの半年、1000Rに限っていえば回収率的には勝てた。でも僅かの期間で上振れを引けただけだし、所詮半年間の結果。それに、スタート直後の5月に上振れを引けたのが何より大きかった。
資金に余裕がある時とない時、全然違う。5月に貯金を稼げたのが本当にツイてた。

ただ、5月勝てた要因は、やっぱり券種の固定。
・予想は上手く行っても馬券で負けた
・あと1頭入れてれば…
・ワイドにしていれば…
これは誰しもが経験済だろう。
買い目を固定していれば、この全てがなくなる。

馬券がハズレても、仕方ないと割り切れる。全て『予想』のせいにできて、『馬券』のせいで負けたという事実がなくなるのだ。

元々自分の下手さに嫌気が差して始めた自分が、急に上手くなるわけがない。そんな自分が、例え上振れでもすぐに結果が出たのは、負けていた要因を一つ潰すことができたから。

これはとてもとても大きな収穫だった。
「予想力50、馬券力50」とはよくいうけれど、まずどちらかに絞ってみるのは大きな効果だと思う。

勿論、状況に応じて買い目を選べる力があればいいけれど、少なくとも自分にはそれがない事がよくわかった。
逆でもいいかもね、予想は誰かに乗って馬券力磨きに徹底するとか。

1000R終えて、予想力が上がったかという実感は、正直ない。地方競馬に少し詳しくなったかな、という程度。
ただ、馬券で勝つという手段の一つに買い目を固定するという手段は大いに効果的なんじゃないかと感じる事ができた。


5.最後に

競馬の楽しみ方は、人それぞれ十人十色。
いろいろな楽しみ方が出来るのも、それもまた競馬のいいところ。

この半年間は「自分の競馬力を見直す為」にはじめたものの、
とにかく勝ちにこだわった半年だったと思う。
毎日毎日予習復習を欠かさず、毎日毎日収支アプリとExcelシートに記録する日々。収支とにらめっこして、レースリプレイとにらめっこして。たかが趣味、されど趣味。

「馬券で勝つには楽しめない。」
って言葉を聞いたことがあるけど、後半は少しだけ、
ほんの少しだけその言葉の意味が分かるような気もしました。

でも、終わってみると本当に楽しかったし、ストイックに向き合えた期間だったんじゃないかなと思う。Twitterの的中でフォローして下さった皆様には申し訳ないけど、最後の一ヶ月が自分の本当の実力です。

この記事の冒頭に少し書いたけど、自分にとって競馬で一番楽しい瞬間は、
諸々度外視で大好きな馬の単勝を握って応援すること。
競馬仲間とお酒を飲みながらあーでもないこーでもないと競馬談義すること。

来年のダービーも、先輩と一緒に高松WINSに馬券を買いに行きたいし、友達と通話しながら重賞展望もしたい。

思えば、この半年は孤独だった。
でも、昔からのフォロワーさん、特にあの部屋のメンバーにはとてもとても救われました。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。ありがとう。

今度のことは何も考えていませんが、
しばらくは少し肩の力を抜いて楽しもうと思います。
あと仕事。11月半ば頃まで、複数抱えてる大きな案件が続く。そこをなんとか乗り切ったら少し落ち着くはずだから、まず仕事第一に頑張ります。

一点買い、絞った小点数買いは自分の性に合ってたから、馬券はこのスタイルは基本にして続けるかな。あ、それとこの秋には一口出資馬もデビュー出来るかもしれないし、それもわくわくしています。
次はどんな楽しみ方を模索しようかな!

とてもいい勉強が出来た、有意義な半年間でした。

拙い文章に有益性もない記事を、
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?