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別の世界の扉を開けたみたい
11月5日(日)
目が覚めて顔も洗わず りんごの木の様子を見る。
カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげて水を換える。
しいたけ農園に水をかける。
オーブンにさつまいもを3つ入れて焼き芋にする。
もくもくと仕事をする。
昨日、ネパールで地震があった。まりこりんが教えてくれた。ドキドキしながらクリシュナさんにメッセージを送っていた。
「ジャジャルコット周辺は被害が出ていますが、(クリシュナさんが暮らしている)ダディンと(首都で、他の友人たちが暮らしている)カトマンズは大丈夫です。」と返事が来ていた。
ほっとすると共に、早く落ち着きますようにと祈る。
修一郎が起きてきたので食事を用意する。
りんごの木やお花やクローバーに水をあげようと玄関の引き戸をガラガラっと開ける。
そこへ宅急便のKさんのトラックがやってきて、ごはんさんのうちの前で止まった。
「こんにちは〜!」と手を振る。
Kさんも手を振っている。
ごはんさんも出てきた。
車に乗り込んだKさんがクローバー畑の前まで進んで窓を開け、
「りんごまた紅うなっとう!もうちょっと紅うなってから収穫ですか?」と言った。
「うん、もっと紅くなってからだよ!」と、私。
「楽しみやなぁ!」と言って手を振り車を走らせた。
手を振って見送る。
ごはんさんも、にこにこしている。
ごはんさんが もみくちゃのホースをきちんとしてくれる。きもちよく水をあげる。
家に入って早めに夕食の用意をする。
今日、ごはんさんがご用事で出かける。その帰りに、元 絵本deえがお美術館に寄って、先日忘れていた大きな撮影用のライトを2つ運んでくれることになった。
その用事は、私も参加したい用事だった。夕方、出発することになった。
修一郎に話す。
5年前なら修一郎もいっしょに行くところだろう。
仕事をする。
夕方になった。
お弁当仕立てにしておいた夕食を、仕事部屋のテーブルの上に置く。
修一郎は夢中でドラマを観ていた。
「行ってくるね。」と言うと、
「気をつけてな。暗くても ごはんさんが運転してくれるから大丈夫だな。よろしく言ってな。それから、帰りに午後の紅茶を5本くらい買ってきて。」と、修一郎が言った。
玄関を出ると、ちょうどチャイさんとぷりんさん、バンブーさんとKくんが車に乗って家の前に停まっていた。
「こんにちは〜!」と、あいさつをしあう。
後部座席のチャイルドシートに乗っているKくんとタッチ♪
さぁ、ごはんさんの車に乗せてもらって、しゅっぱーつ!
目的地に到着。
広い空に素晴らしい夕焼け雲がたなびいている。オレンジ色とグレーのコントラスが抜群に美しい。雲の隙間から金色の光が延びている。
素敵な用事が終わり、元美術館へ寄ってもらい、大きなライトをふたつ車に運んでもらう。
その帰り、ごはんさんが
「ちょっとだけ遠回りすることになる道があるんですけど、そこって、暗くなってから通ると、もののけ姫に出てくるようなところなんですよ。一昨日、そこで子鹿を見たんです。」と言った。
「えぇっ!子鹿?バンビ?見たい!」と、私。
「通って帰りますか?」と、ごはんさん。
「通って帰りたい!」と、もう興奮している私。
「それだったら、予定より少し遅くなるから、境さんに連絡しておいた方がいいんじゃないですか?」と、ごはんさんが言った。
「うん、そうだね。」と言って修一郎に連絡する。
「OK!」と言ってくれた。
もののけの道へ、しゅっぱーつ!
わくわくする。
黒いシルエットだけの山が連なる。外灯はほとんどない。ドキドキしてくる。
道が少し細くなってきた。両側の木々が黒いシルエットになって覆いかぶさってくる。
「鹿がいるといいんだけど。」と、ごはんさんが なん度も言っている。
ここから外灯は全くない。
竹林にさしかかった。立派な孟宗竹の林だ。
車のライトで照らされて、竹の一本一本が内側から輝いているように見える。かぐや姫が眠っていそう。ものすごく幻想的な幽玄の世界。ぞくりとするような美しさ。
鹿が出なくても、これだけでじゅうぶん素晴らしい体験だ。
さらに進む。ごはんさんが車をゆっくり走らせる。運転席の窓は開けていた。今日はとても暑かった。
森への入り口のような場所にさしかかった。そのとき、何かが道を横切った。ごはんさんが声を出した。
「みるさん、いた!」
「あっ!ほんとだ!」
生えはじめたばかりのような、小さな角がぽこっと出ている若い牡鹿と、むくむくしたタヌキがいっしょにいる。
道を横切ってから森の中に入って行かずに、森の入り口で止まって、こちらを じっと見ている。車のライトで少し照らされてすごく美しい。
鹿とタヌキがいっしょにいるのにびっくりした。ディズニーの世界みたい。仲良しなのかな。
車の斜め後ろには立派な角を持った大きな牡鹿がこちらを見て立っていた。ライトはあたっていないけれど、凛としているのがわかる。野性の動物って本当に美しい。
胸が高鳴る。うれしくてはしゃいでしまう。こんな光景を見ることができて、ものすごく感動した。
少し進むと、また むくむくしたタヌキが2匹で転がるように草の中に駆け込んでいった。
ものすごく楽しかった。別の世界の扉を開けたみたいなきもちになった。
ごはんさんは何度も見ている鹿たちだが、私はこんなに近くで鹿を見たことがなかった。
以前、昼間に ごはんさんの後ろを鹿がピョーンピョーンと通って行ったのを見たことがあるくらいだった。でも、そのときは少し離れていたし、束の間のことだった。
しばらくうっとりしていた。ずっと胸が躍っている。
うれしくて、何度も鹿とタヌキがいた話と竹林の話をしながら帰路に着く。
途中のコンビニで、ごはんさんが大きなプリンを買ってくれた。
「みるさん、あんまり食べてなかったみたいだから。」と言って手渡してくれた。
おいしくて車の中であっという間に食べてしまった。
車の中で食べるのって、なんでこんなに おいしくて楽しいんだろう。と思う。
帰りつく。ごはんさんにライトを中に運んでもらう。
実は ごはんさんはとても忙しく、あまり睡眠もとれていなかった。それでもライトを運んでくれたり、楽しい道を案内して喜ばせてくれたり、感謝のきもちでいっぱいだ。
修一郎に今日あったことを話す。
「わぁ、よかったねぇ。いいもの見れたね。すごくいい体験ができてよかったね。」と言ってくれた。
カカオが帰ってきたのでご飯をあげる。
椎茸も秒刻みで大きくなっているようだ。
片付けをして仕事をする。
夜、庭に出る。
星がキラキラ輝いている。オリオン座が美しい。大好き。星空を見あげるたび、胸が きゅうっとなる。
鹿やタヌキたちはもう寝ているだろうか?と思う。
お散歩の途中でキツネと出会ったことがある。おとぎ話に出てくるようにとても美しかった。きっとあの森には、鹿やタヌキの他にもいろいろな動物がいるんだろうなと思いを馳せた。
また行きたいな。と思う。
今日もいい一日だった。