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星が降ってきたみたい
2月21日(金)
朝、アラーム1回目で目が覚める。
おふとんの中で ぬくぬく至福のひととき。
うとうと…。
2回目。
すーすー。
3回目。
むにゃむにゃ。
4回目。
勇気を振りしぼって むくりと起き上がる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。
黒猫ちゃんがこっちを見ていた。
「おはよ〜!」と手を振る。
ウーちゃんとルーちゃんに
「おはよ」と あいさつをする。
ウーちゃんが活発に泳いでいる。
可愛い。
「みるみる〜、僕の泳ぎを見て!」
と言っている。ような気がした。
修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。
注文分の絵本を梱包する。
荷物を梱包する。
絵本の作画をする。
エフコープのOさんがやってきた。
グリーンコープ元気カーの
メガネさんがやってきた。
食材を冷蔵庫や棚に詰めてゆく。
郵便局へ荷物を出しに行く。
局長さんと局員さんが
「先日いただいた銀杏おいしかった〜
ありがとうございました。」
と言ってくれた。
その日、局長さんはご友人と会ったそうだ。
そのご友人が銀杏が大好きだったということ。
「少しだけ分けてあげました。」
と、局長さんがうれしそうに言った。
喜んでもらえてよかった。
家に帰り、お散歩に行く。
ここのところ、少し思うことがあった。
風に吹かれて坂道を てくてく上っていると
その思いは風に乗って飛んでいった。
夕方、ごはんさんが帰ってきた。
「天ぷら食べに行こう!」
ということになる。
山道、橋、トンネルを抜けた先にある
いつもの天ぷら屋さんへ行く。
「おいしいね〜。」
「幸せだね〜。」
「あぁ、おいしい。」
「幸せ。」
と、ごはんさんと何度も言いながら食べる。
年輪のような玉ねぎを一枚ずつはがしながら
もぐもぐ食べる。
天ぷら屋さんを出ると暗くなっていた。
「夜景、見に行きたい?」
と、ごはんさん。
「行きたい行きたい!」
と、私。
前々から、夜景を見てみたい。と
何度も ごはんさんに言っていたのだ。
修一郎も
「ごはんさんが都合いいときに
夜景を見に連れて行ってもらうといいよ。」
と、言っていた。
「じゃ、この近くで
夜景が見えるところに行こう。」
と、ごはんさんが言ってくれた。
やったー!
わくわくする。
住宅街を くねくね上ってゆく。
てっぺんらしきところに出た。
車を停める。
息を呑む。
「わぁっすごい!きれい!」
と、興奮する私。
キラキラした美しい夜景が広がっていた。
夜空から星が降ってきたみたい。
頭上にはオリオン座もキラキラ輝いている。
「すごいっすごいっきれいっきれいっ!」
と、30回くらい言ったと思う。
夜景も見たい、星も見たい。
そこへ飛行機が飛んできた。
近い。とても大きく見える。
それも見たい。
どれを見ていいか分からない。
キョロキョロする。
「飛行機!飛行機!」
大興奮する私。
手足をバタバタさせて はしゃぐ。
「写真、写真!」
と、ごはんさん。
そうだ。写真を撮ろう。
ピコ。ピコ。
寒さも吹っ飛ぶ美しさだった。
わぁわぁ言いながら
車から降りたり戻ったり落ち着きがない。
夏休みの子供のようにはしゃいでいる。
大満足。
体の中がキラキラでいっぱいになった。
キラキラしながら
こもれびの森に寄って帰ることにする。
「もののけの道、通って行く?」
と、ごはんさん。
「うんうんうんうん。」
と、首をぶんぶん縦に振る私。
もののけの道とは、もののけ姫に出てきそうな、
もののけが出てきそうなそんな山道なのだ。
真っ暗な中、ヘッドライトで照らされた竹林が
ものすごく美しい。
どこかの竹の中に かぐや姫がいる。
と思ってしまう。
雑木林では毎回、鹿やタヌキ、狐と出会える。
わくわくする。
ゆっくり車を走らせる。
道に若い牡鹿とバンビがいた!
可愛い!美しい!
車が近づくと林の中に入り
そこからこちらをじっと見ている。
きれいな瞳。まだ小さなツノ。
今日も会えた。おとぎ話の中みたい。
こもれびの森に到着。
胸がふるえるほど星空が美しかった。
オリオン座と大星団が堂々と輝いている。
うっとり眺める。幸せだ。
ポストに皮を剥いた銀杏が入っていた。
Yさんからだ。
銀杏を車に乗せて帰路に着く。
家に着き、車を降りる。
夜空を見上げる。
ここにも美しい星空が広がっていた。
白い息を吐きながらしばらく眺める。
玄関の戸を開ける前に
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
これからミルクを温めて飲もう。
はちみつも少し入れようかな。
今日もいい一日だった。
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「僕の華麗な泳ぎを見て!」