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バンビの日

10月19日(土)
朝、アラームが鳴る前に目が覚めた。やった。しばらくごろごろする。至福の時。1時間も ごろごろした。むくりと起き上がる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。水を換える。

今日はこもれびの森に行く日。
その前に ごはんさんが、先日の模様替えで置き場のなくなった家具たちをリレーセンターに運んでくれることになっている。

修一郎の食事をお弁当仕立てにして ふたつ作っておく。

雨がザーザー降り出した。雷もゴロゴロ鳴っている。大丈夫かなぁ。と、ちょっと思う。

午後、ふいに雨が止んだ。

ごはんさんが荷物を運んでくれる。
まず、廊下に置いてある家具たちを出してもらう。通路に面したガラス戸を開けて外から。このガラス戸は固くて私の力では開けれない。力持ちのごはんさんに開けてもらう。

ギシッギシッガラガラ…
開かずのガラス戸が開いた!何年ぶりだろう。
ぱちぱちぱち…パッパー(ファンファーレ)

そして、次々に ひとりで家具を運び出してくれた。

昔の大きくて重い座卓、重いガラスの天板のローテーブル、椅子4脚、3段のプラスチックの衣装ケース。別の場所から籐のソファ、ござ座布団数枚、重いテーブルセット。

背の高い車の中に きっちり詰め込まれてゆく。2回運んでもらわなくてはいけないかも…と思っていたら、パズルのように無駄なく積み込まれてぜんぶ入った。すごい。

リレーセンターへ しゅっぱーつ!

リレーセンターに到着して私は本当にびっくりした。
いつもテキパキしている ごはんさんだが、荷物を下ろす動きがいつも以上にものすごく早かったのだ。早送りのように見える。リレーセンターの人たちもテキパキしている。

その中で私ひとり立ちすくんでいた。ひとりだけスローモーションで動いているようだ。ぼんやり立っている間に全て終わっていた。すごい、すごすぎる。あっという間だ。頼もしいなぁ。

ものすごく助かった。感謝のきもちでいっぱいだ。

帰りに くるくる寿司に寄る。何年ぶりだろう。わくわくする。

調味料は、塩、砂糖、酢、油が大丈夫なので酢飯は食べれる。

卵が乗っているお寿司と、アボカドとタマネギとエビが乗っているお寿司のアボカドだけを乗せて食べた。

エビと、マヨネーズが乗っているタマネギは ごはんさんに食べてもらった。とてもおいしかった。フライドポテトとスイートポテトも食べた。

食べている途中で土砂降りの雨になった。びっくりした。

もぐもぐ食べる。
お寿司が回ってくるなんて本当におもしろい。とても楽しかった。おなかいっぱいになった。

お会計を済ませて外に出ると、雨がぴたりと止んだ。

今度は、ごはんさんが ご友人にあげるバイクを車に積み込む。

ご友人のお家に寄りバイクを下ろす。
買うと高いバイクなのでとても喜ばれていた。

そして、こもれびの森へ しゅっぱーつ!

日が暮れるのが早くなった。もう暗くなっている。

こもれびの森の入り口にさしかかったとき、数頭のバンビがいた。
可愛い!可愛い可愛い可愛い!おしりが白いあのバンビそのもの。大興奮した。

YOさんが置いてくれている 銀杏を持ち帰ることにする。

ミケちゃんが遊びにきていた。
「にゃー。」と鳴きながら ごはんさんに すりすりしている。しっぽをピンと立てて頭を押しつけてくる。可愛いな。毛がやわらかくて ふわふわだ。

暗い中 帰ろうとしたとき、またバンビが数頭いた。
車が近づくと、茂みの中へ ぴょんぴょん入っていった。そして、茂みの中からこちらをじっと見ている。真っ黒な、くるっとした瞳で。可愛いなぁ。今日はたくさんバンビを見るなぁ。胸が躍る。

「みるさん、写真は?」と、ごはんさん。

「あ、撮るの忘れてた。バンビ見るのに夢中で。」と、私。

「バンビ可愛かったね。ここであんなにたくさんのバンビ見たの初めてだね。」と、興奮する私。

すると、ごはんさんが いつもとちがう道の方に曲がった。くるりと回ってバンビの細道を通り、もう一度こもれびの森に行ってくれようとしている。

「またいると思うよ。」と言って。

バンビの細道にも一頭のバンビがいた。
あぁ、可愛い。ここにもいた。
背の高い木々の中へ入ってゆくバンビ。絵本の中みたい。

再び こもれびの森にやってきたとき、6〜7頭くらいのバンビたちが とことこ歩いていた。すごくちっちゃなバンビもいた。私は気づかなかったがミケちゃんもいっしょにいたそうだ。

「本当のバンビだ!バンビだ!」と、私。可愛すぎて大興奮。

「すごいね。」と、ごはんさん。そして、

「写真、写真。」と、言ってくれた。

そうだ。写真だ。気が焦って もたもたしながら撮影したので、ほとんどブレていた。なんとか小さく写っていたのがヘッダー画像である。

たくさんのバンビたち。家族なのかな。お父さんお母さんはどこにいるのかな。茂みの中からみんなでこちらを見ている。おとぎ話の中みたい。

「すごかったね、すごかったね!」

「一度に あんなに たくさんのバンビ見れるなんて!」

「大きな鹿もかっこいいけど、バンビは最高に可愛いね。」

「バンビの楽園。」

などと話ながらアスファルトの道路を走っていた。すると、ヘッドライトに何かが照らしだされた。

少し大きめのバンビたち 6頭が前を横切っていった。びっくりした。

両脇を田んぼに挟まれていて車は私たちだけだが、こんなに普通の道をバンビたちが走っているなんて。

「びっくりしたね〜!」

「今日、10頭以上バンビ見たね。」

「うん、今日はバンビの日だね!」

そんな話をしながら帰路に着く。
あんなに可愛いバンビたち。人も動物もみんな仲良く暮らしてゆけるといいな。と、思った。

いつものお店に寄る。

家に帰り着くと風が冷たかった。ぶるぶるっとする。

夜、庭に出る。
風が びゅうびゅう吹いている。青墨色の空に枯れ葉が舞っている。
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

今日もいい一日だった。

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