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今度はリースが掛けられていた

12月6日(水)
朝、目が覚めると ぱちんぱちん と音がしていた。

玄関の引き戸をガラガラと開けて、朝のぜんぶに「おはよう」とあいさつする。
ごはんさんの駐車場にいつもの大きな車が停まっているのが見えた。車検が完了したんだ。

ゴミを出しに行く。
ぱちんぱちん。あっ、植木屋さんだ!
あの音は植木屋さんの枝を落とす音だったんだ。キュウリさんのお庭にいた。

やった!
なぜ「やった!」かというと、〆切が終わったら、わが家の植木も剪定してもらおうと思っていたところだったのだ。キュウリさんとわが家は同じ植木屋さんにお願いしている。

「おはようございます!いつでもいいので、うちにも来てください。電話しようと思っていたところなんです。」と、私。

「うん、うん、じゃ9日か10日に来るね。」と、80歳を超えている植木屋さんが、はにかみながら言った。

宅配便のヤマト運輸さんが来て、佐川急便さんが来る。お歳暮を届けてくれた。

カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげて水を換える。

ピンポーン。とチャイムが鳴った。

「は〜い!」と出ると、キュウリさんが立っていた。手に かぼちゃを ふたつ持っている。

「みるちゃん、元気しようね。最近見んからどうしようかと思った。」と言って、かぼちゃを手渡してくれた。

「仕事が忙しかったの〜。」と、私。

もうすぐ90歳になるキュウリさんに心配されるなんて幸せ者だ。

仕事をする。
Sさんに、金曜日までに仕上げてアップロードする旨をメールで送る。
「楽しみにしています。」とお返事が来た。

お昼過ぎにキャベツのオムレツを焼く。
りんごの木を見る。

家に入る前にポストを見ると荷物が入っていた。取り出してみると、OKさんからだった。
家に入り開けてみる。ちょっと早めのクリスマスプレゼントが入っていた。
甲州弁の面白い本と、可愛い毛糸の靴下と、サンタさんの洋服のシールだった。

OKさんと、OKさんの友人 ぽるかさんからの贈り物だということ。うれしかった。

早速、ぽるかさんが選んでくれた靴下を履いてみた。ぽかぽかして きもちがいい。

修一郎が起きてきた。食事の用意をする。

仕事をする。なんとか間にあいそうだ。プリントアウトしてみる。すごく可愛い。絵の中に幸せが詰まっている。楽しくなる。調整してゆく。またしばらく、プリントアウト、調整、プリントアウト、調整、が続く。

電話が鳴った。まりこりんからだ。
チャイさんと ぷりんさんが体調を崩したらしい。これから差し入れを持っていくので、その前にわが家に寄ってくれるということだった。

私も何か差し入れしようと思い、キッチンを見回す。紙袋の中に、チャイさんと ぷりんさんが好きそうなものを詰めてゆく。

まりこりんがやって来た。彼女はとてもセンスがいい。今日も きちんとした素敵な装いで現れた。メキシコのショールがとてもいい。ちょっとおしゃべり。

まりこりんが、きれいな色の糸を撚って作った、可愛らしい細い紐を3本プレゼントしてくれた。私が好きなピンク色で作られている。まりこりんはブレスレットみたいにして手首に くるっと巻いている。修一郎が栞にしてもいいね。と言った。

ふたりで庭に出て、ずいぶん紅くなった りんごの木を見る。クローバーの小道もいっしょに見る。

そのあと、近所のチャイさんたちのアパートへ行く。差し入れを持って行くことは、まりこりんが あらかじめ言ってある。

電話をしても出ない。メッセージを送っても見ていない感じ。ふたりとも寝ているんだろうということで、玄関の前に差し入れを置いておくことにする。段ボールに入れて蓋をする。

「大丈夫かな。猿出ますよね、この辺。」と、まりこりん。

「あぁ、出る出る。そこのバス停のベンチに座ってたから。」と、私。

「そういえば今日、遠賀町から ”猿が出没しました” ってお知らせ来てましたよ。」と、まりこりん。

「食べるかな?箱開けて。」と、私。

「りんご、入れてましたよね?」と、まりこりん。

「うん、あと柿とか野菜とか…。」と、私。

「猿が好きなものばっかり!」と、まりこりん。

「だね。猪も来るよ。」と、私。

ふたりで顔を見あわせる。

「きっちりガムテープで蓋を止めようか。」とか、
「チャイさんたちが荷物に気づいて中に入れるまで見ときますか。」とか、
「いや、大丈夫だよ。」とか、
「私、夜に持って来てもいいけど。」とか、
「でも、重いですよ。」とか、あれこれ駐車場で話し、

「とりあえず、またピンポンしようか。」ということになって振り返り玄関を見ると、もう荷物はなかった。私たちが話している間に、いつの間にかチャイさんが入れたようだった。

ほっとして、まりこりんも私も家へ帰る。

てくてく歩いて帰ると、仕事部屋の前に手作りのリースが掛けられていた。

誰だろう?蔦を くるくるっと輪っかにして、赤い実もついている。
いつのまに?さっき、まりこりんと出るときは気がつかなかった。
チャイさんのアパートに行っている間かな?
それとも、さっきは気がつかなかっただけかな?
この前、金柑の枝をポストの上に置いてくれていた人かな?
バナナさんかな?

金柑を置いてくれていた人は結局誰だか分かっていない。

仕事をしていると、ぷりんさんから電話があった。元気そうな声で ほっとする。

夕食の支度をする。

仕事をする。なんとか金曜日までに間にあいそうだ。

夜、庭に出る。
とても静かな夜。さわさわさわ と風に揺れる木の葉の音だけ耳に届く。星たちの話し声が聞こえてきそう。オリオン座はいつものように ぴかぴか輝いている。

今日はたくさん贈り物をいただいた日だった。

カカオは珍しく遊びに行っている。私が眠る前くらいに、背中を冷たくして帰ってくるんだろう。そして、ファンヒーターの前で きもちよさそうに温風に吹かれるんだろう。

さぁ、もうひとがんばりしよう。

今日もいい一日だった。


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