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不思議な物体

10月24日(木)
ガタン。キキキ。ガサガサ。
植木屋さんがみえたんだな。むくりと起き上がる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

植木屋さんに

「おはようございます。」と、声をかける。

「財布無くしたとよ。」植木屋さんが言った。

「ええっ!」と、私。いっぺんに目が覚めた。

「昨日帰ったら無かったんよね。で、切り落とした葉っぱの中に落ちとうやろ思て探しようけど見つからん。」

「大きさは?」

「これくらい。」

長財布のようだ。

「色は?」

「緑。」

緑…。いま、わが家の地面は切り落とした葉っぱで緑だらけだ。
裏庭の葉っぱの間も軽トラの荷台に積んだ葉っぱもひっくり返して探したということ。

話を聞きながら、ふと、もみの木の下を見る。いきなりあった。葉っぱに擬態したように落ちていた。

「ありましたよ!」と言ってお財布を渡す。植木屋さんの顔が安堵と喜びで輝いた。よかった。

ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。ぱくっ。

お散歩に行く。
青空に白いうろこ雲が広がっている。きれい。たくさんの羊が ぷかぷか浮かんでいるみたい。

霊園の入り口でTAKAさんに会う。
手を振りあう。

風がやわらかく、陽射しが優しく、本当にきもちがいい。
てくてく坂道を上る。溝に積もっている枯れ葉がとてもきれい。茶色、黄色、橙色、赤色…。うっとりみとれる。

てっぺんからいつもの池を眺める。

家に戻り絵本のラフを描く。
せっせ、せっせ。本当にあと少しだ。

お昼ご飯の支度をする。
木曜日のわが家の冷蔵庫はガラガラだ。
金曜日にコープさんと元気カーが来るから。

冷蔵庫の中を見渡す。
冷凍庫の中も見渡す。

栗の皮を剥いて冷凍してある。それを使って栗ご飯を炊こう。
それと、さつまいもの天ぷらにしよう。

麺つゆを作る。
栗ご飯の炊けるいい香りがしてきた。厚めに切ったさつまいもをじっくり揚げる。

無口な植木屋さんが「うまい。」と言って食べてくれた。

絵本のラフを描く。

午後早い時間に剪定が終了した。すっきりきれいになった。風通しが良くなり陽が入り明るくなった。よかった。

植木屋さんを見送って家の中に入ろうとしたとき、Oさんがやってきた。

シエンタの話になる。

「ごはんさんがバックドアとファンベルト替えてくれたんです。」と、私。

「すごいな。まぁ、ごはんさんなら出来るやろね。シエンタ、いい車やん。よかったね。」と、言ってくれた。

「可愛くって。」と、私。

Oさんが帰ったあと、きゅうりさんがやってきた。

「みるちゃん、車替えたと?」と、きゅうりさん。

「ごはんさんがくれたんです。」と、私。

「えっ!この車くれたと?すごいね。」きゅうりさんが驚いた顔をしている。

「すごい太っ腹ですよね。」と、言ってふたりで笑顔になる。

ウーちゃんとルーちゃんの水槽の水を換える。
水の中に手を入れると、ウーちゃんが ぱくっとしてくる。可愛い〜。ルーちゃんも ぱくぱくしてくる。きゅん。

絵本のラフを描く。
細かいところを修正してゆく。

修一郎の食事をお弁当仕立てにしておく。

夕方、シエンタのお掃除をする。細かいところを ふきふきする。なかなかペイント作業まで辿り着かない。ぼちぼちするのが気楽でいいのだ。

ごはんさんが帰ってきた。
にりんさんとレトリバーのアランくんもお散歩から帰ってきた。

今日もアランくんが可愛くて、みんなで褒めちぎる。

ふと空を見上げると、広い雲が鮮やかなピンク色で素晴らしくきれいだった。

「今日も くるくる寿司に行こう!」と、はりきる ごはんさんと私。

道中の空がものすごく幻想的で胸がふるえた。

「ひとつだけ ぽっかり浮かんでいるあの雲、木星にある300年以上存在し続けている台風にそっくり。」ごはんさんが言った。

「何?それ?」と、私。

「みるさん、あの雲の形覚えとってください。」と、ごはんさんが言った。

そして、木星の台風の画像を見せてくれた。

「あ!これのこと!これ、台風なんだ。全然知らなかった。」

もう雲の形は変わったけれど本当によく似ていた。

くるくる寿司に到着。
今日も もぐもぐ おなかいっぱいになった。

お買い物をするため、お店に寄る。広い駐車場の端っこに車を停める。私は特に買うものがなかったので車で待っていた。

しばらくすると、駐車しているたくさんの車の上方に、ふっくらとして先がとんがっている大きな物体が、ズン、ズン、とこちらにやって来るのが見えた。暗いのでシルエットにしか見えない。なんだろう、あれは。

駐車している車で下の方は見えない。上下に揺れながら、ズン、ズン、と近づいてくる。人間の背丈よりずっと高い。不思議な物体。

まさか ごはんさんじゃないだろうし。と思っていると、ごはんさんが左肩に大きな こたつ布団を乗せて歩いて来た。あの物体は こたつ布団だったんだ。爆笑した。

笑いながら帰路に着く。

家に帰りつき、あれこれ片付けをする。

夜、庭に出る。
空一面の雲。雲もいろいろな表情を見せてくれる。夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

今日もいい一日だった。


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