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空を見ると幸せを感じる

12月4日(月)
朝、いつもより早く目が覚める。
玄関の引き戸を開けると、クローバー畑が霜で覆われていた。幻想的。雪が降っているみたい。クローバーは寒そうだけど、とてもきれい。

りんごについていた霜は溶けてキラキラ輝く露になっていた。瑞々しい。それにしても、実が紅くなったなぁと思う。

カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげて水を換える。

大きな車が止まる音がした。きっと宅急便さんだ。
パタパタと玄関に行って、ガラガラッと勢いよく引き戸を開ける。

「あ〜びっくりした〜。」と、Kさん。

「えへへ。音が聞こえたから。」と、私。

「これから忙しくなるね〜。」と言うと、

「もうすでに、すごいっす。」と、Kさんが笑った。

仕事をする。
せっせ、せっせと作画してゆく。かきかき、かきかき…。

ウーちゃんとルーちゃんを眺めながら昨日買ったりんごを食べる。
仕事に戻る。

お昼過ぎ、庭に出る。
ごはんさんがメダカと金魚にエサをあげていた。ちょっとおしゃべり。

家に入ろうとすると、Oさんがやってきた。
なんかキョロキョロして、にこにこしている。Oさんが、

「そこにおったよ。」と、ものすごくうれしそうに小声で言った。
なんだか重大な秘密を明かしてくれているみたいだ。

「何がですか?」と、私も小声で聞く。

「きゅうりさんちの回覧板受けに、まぁるくなって寝とうと。猫。見て。」と、Oさんがクスクス笑った。

「どれどれ。」と言いながら、きゅうりさん家の玄関前に置いてある回覧板受けを見た。

むくむくに大きな猫が、回覧板受けに ぎゅうぎゅうに詰まって寝ている。すごく可愛い。

「うふふ、可愛いですね〜。」と、言うと

「可愛いね〜、可愛い。」と、Oさんが満面の笑みになった。

バナナさんに ”ジャム” と呼ばれているその猫が顔をあげてこっちを見た。
以前、卵どんぶりを食べたあの子だ。

今日のOさんは、上下お揃いの柄の ちょっと もこもこしたフリースの洋服を着ている。くまさんみたいだな。と思った。

「池にも行ってきたよ。」と、Oさん。

「今年、水、少なかったでしょ。」と、私。

「うん、増えちょうかな〜思て見てきたとこ。あんまり増えちょらんかったけど、鴨がようけ来とったよ。」と、Oさんが言った。

「私この前、見に行ったんですよ。そのとき、鴨少なかったけど増えたんですね。よかった。鴨も可愛いですよね〜、グエッグエッ。」と、鳴き真似をした。

「似ちょうね。」と言って、もこもこのOさんが笑った。

家に入ると、修一郎が起きていた。
食事を用意する。

仕事をする。

ピンポーン。とチャイムが鳴った。

「は〜い!」と言って玄関の引き戸を開けると、お向かいのIさんが立っていた。

おしゃれをして、ばっちりお化粧もしている。
これからお出かけをするということ。ちょっとおしゃべりをする。そして、

「いってらっしゃい!」と見送る。

仕事に戻る。

早めの夕方、夕食の支度をする。
修一郎はまた寝たので、ウーちゃんとルーちゃんを眺めながら先にいただく。

今週は、お買い物に行かない予定なので、修一郎の夜食を用意しておく。野沢菜炒飯にした。椎茸を小さく切っていっしょに炒めようと思ったけれど、なかったので舞茸にした。

仕事の続きをする。
ラフに描いていなかったものを描き足したくなる。描き足す。押しているスケジュールがさらに押すけれど、描き足してゆく。うん、いい。

修一郎が起きてくる。

昨晩、眠る前にもう一度外に出た。深夜1時くらいだった。ものすごく星がきれいだった。オリオン座も大星団も昴も見えた。空気がキンと冷えて澄んでいて、星のぜんぶが くっきりとしていた。半月も輝いていた。幸せだった。

朝でも昼でも夕方でも夜でも、空を見ると幸せを感じる。

今日はどんな夜空だろう。と、外に出る。きれい。いつもと同じようでいて、一瞬だって同じだったことはない。冷たい空気を吸いこんで夜のぜんぶに「おやすみ。」と言う。

カカオは私の後ろに置いてある籐の椅子で のびのびと寝ている。あ、くしゃみした。

今日もいい一日だった。

自然に、りんごの木に行くための小道ができた。
ずいぶん紅くなった。
小さいりんごの木についている実も紅くなってきた。
朝の霜で くたっとなっているクローバーたちだけれど、
午後には元気になっていた。

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