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ふたつになった
9月20日(水)のこと。
朝起きてウーちゃんとルーちゃんにエサをあげて水を換える。
コーンブレッドを焼く。
りんごが少しずつ色づいてきている。ほっぺが ぽっ とピンク色になっているみたいで可愛い。
今日は蒸し暑い。
ごはんさんが網戸の網を張り替えてくれることになった。
わが家の網戸を外しにきてくれる。長年閉めっぱなしだったので、なかなか動かない。これは外すのも入れるのも大変だと思った。
「力を入れて少し くの字にしながら外すと外れると思いますし、そうやって入れることもできますよ。網戸を入れたままで網を張り替えることもできますよ。」と、言ってくれている。
ごはんさんの力なら、まちがいなくできるだろう。なにしろハンマーひとつで3段に積んだ長ーーーいブロックを壊して鉄筋も素手で ねじねじして、ねじ切ってくれたのだから。
でも、背の高い網戸が4枚もある。蒸し暑くて私がくじけた。まだ何もしていないのだけど。そこでいいアイデアが閃いた。
網戸の網と縁のゴムだけ外して、網なしの網戸にするのだ。これは素晴らしいアイデアだ。網戸は全く使っていない。カカオの出入り口を確保しているため、ガラス戸も開かないように固定してある。今後も当分使うことはないだろう。なので、網戸は必要ない。ふふ。名案だ。
それを、ごはんさんに言った。
「えっ。いいんですか?それで。全然、張り替えできますよ。」と、ごはんさん。
「うん。いい。いつか網戸を使うときがきたらお願いします。」と言った。
網なしの網戸にして すっきりしたあと、ごはんさんが見つけた背の高いりんごの木を買いに連れていってもらうことにした。
修一郎に「2本目になるりんごの木を買いたい。」と話すと、大賛成だった。
「ごはんさんに よろしく言ってな。」と見送ってくれた。
背の高いりんごの木には実が たわわについていた。
以前、ごはんさんにウーちゃんをもらったあとルーちゃんを見つけて、ウーパー救出大作戦を決行してウーパールーパーが2匹になった。なんか状況が似ている。今回は救出じゃないけど。
そのあと、お買い物をする。ごはんさんと ぷりんさんのおかげで買い物が苦手だった私が少しお店で買い物をするようになった。
車の中で ”上を向いて歩こう” を歌いながらお店に向かう。
明るい店内に入ると、りんごがたくさん置いてあった。トキが出ていたので「トキが出てる!」と叫んでカゴに入れる。
それから、ごはんさんが椎茸の売り場に連れていってくれた。
なんとそこに、ものすごく軸の太い椎茸が燦然と輝いていた。
「すごい!見て見て!この軸、まるで松茸!松茸!」と大興奮の私。
「みるさん、こっちのも軸がすごいですよ!わっ!ここの椎茸全部でかっ!」と、ごはんさん。
はじっこにある椎茸コーナーで、ふたりとも大興奮。
今度みんなでバーベキューするときは、ここで椎茸を買おう。と決めた。
帰り道、
「みるさん、茶碗蒸しどうですか?食べれませんか?椎茸入れるとおいしいし。」と、ごはんさんが言った。
「う〜ん、お出汁がどうかな。」と私。
「塩だけで味つけてもいいんじゃないですか?」と ごはんさん。
「そうだね、茶碗蒸しか〜、全然思いつかなかったな。うん、明日作ってみよう。」
実家の母も、私が食べれるレシピを考えて電話をくれたり、お料理本に載っている食べれそうなレシピを送ってくれたりする。まりこりんや友人たちも、あれこれアイデアをくれる。こうやってみんなに気にかけてもらって私は本当に幸せ者だ。
帰り着いて、りんごの木を2鉢並べる。すごく素敵でうっとりする。
「これ、鉢の隙間から根が出ていて、はちきれそうですよ。」と ごはんさんが言った。
側面の下の方を見ると確かにそうだった。そして、背の高さに比べて鉢が小さいのでちょっと不安定だった。これは早めに庭植えにしたほうがいいかもしれない。風が吹いたら倒れるだろう。
ごはんさんが庭に植えてくれることになった。クローバー畑の中に植える場所を決める。道路から見て奥の方に間隔を空けて2本並べて植えることにする。
ごはんさんが鍬で穴を掘ってくれる。汗の玉が ぽたぽた落ちている。
穴に木を入れる。土をもう少し足した方が良さそうだ。わが家に予備の土がなかった。ごはんさんが家に戻り土を1袋持ってきてくれた。ありがたい。
クローバー畑に りんごの木。素敵だ。どんなふうに育ってゆくんだろう。楽しみで仕方がない。
冬にクローバーが枯れなければ、緑の中に紅い実がなるんだ。クリスマスツリーのように見えるかもしれない。
春にはクローバーの白い花が一面に咲いて、りんごの白くてうっすらピンクの花も咲くんだ。なんて素敵なんだろう。想像すると、ものすごく胸がときめく。
バナナさんが通りかかる。
「おっ。」と言った。
「りんごの木、植えたの。」と、私。
「いいねぇ、楽しみだね。」と、バナナさん。
バナナさんのお兄さんのパジャマさんが通りかかる。
「りんごの木、植えたんです。」
「ほぉ、すごいですね。」
ごはんさんに
「ごはんさんて本当に親切だよねぇ。」と言うと、
「いえ、これが普通ですよ。」と、さらりと言った。
おぉ…名言だ。
これが普通だなんてすごい。私には思いつかない。
ごはんさんが帰ったあと、りんごを眺めていると、いつも赤ちゃんを抱っこしてワンちゃんのお散歩をしている女性が通りかかった。
「りんごの木、植えたんですよ。」と言うと、
「昨日は玄関の前に置いていましたよね!あんまりきれいだから飾り物かなぁ、本物かなぁって思ってたんですよ。あっ2本になってる!」と笑顔になった。
「本物、本物!実がなったら、ぜひちぎってね。」と言うと、すごくうれしそうだった。
家に入り、修一郎に りんごの木の写真を見せる。
夕食に、今日買った椎茸の立派な軸に、岩塩をパラパラっと振って、オリーブオイルでじっくり蒸し焼きにして食べる。うぅ…とびきりおいしい。
夜、絵本のラフを描いていると、カカオが「遊んで」と言って机の上に寝そべり、描いている私の手に自分の手を重ねてくる。
福島県のMさんと近況報告と絵本の進捗状況をLINEでやりとりする。
この時期は普段以上にいろいろな方とやり取りをするが、1年でいろいろ変化がある。
眠りにつく前、庭に出る。もう夜中の2時半なので、ご近所の灯りは消えている。空一面、雲に覆われていて真っ暗だ。風が吹いている。濃い夜の色の中で りんごの木は見えないけれど、庭に植えてもらってよかったなと思った。
カカオは風の中、遊びに行った。
今日もいい一日だった。
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