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今日もキャンドル

6月9日(日)
私が使っている枕はとても大きい。10年くらい前に首を痛めてからメディカル枕というかなり大きな枕に変えたのだ。

朝、目が覚めると、たっぷり余っている枕のスペースにカカオがまるくなって眠っていた。私の頭にピッタリとくっついている。猫は体温が高い。頭の左側が ほかほかだ。

むくりと起きあがる。カカオも伸びをして ぴょんと枕から降りたので、すかさず枕をベッドの背に立てかける。はっはっは。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。今日も蝶々たちがクローバー畑で遊んでいる。ツバメがスイーッと飛んできた。素敵。うっとりする。

ポーポロッポ、ポーポロッポ。鳩が鳴いている。あぁ、なんてクリーミーないい声。幸せだ。

カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサを控えめにあげる。

昨晩遅く、友人Rさんからメールが来ていたのに気がついた。
リールで流れてきた素晴らしくファンタジックな動画をすぐさま転送してくれていた。その動画とは、

カメの形のバスタブが次々に出てくる動画なのだ。素敵すぎる!こんなカメ風呂に浸かってみたいものだ。こんなバスタブを考えついて本当に作るなんてカメ愛に満ち満ちている人たちなんだろう。

今日も こもれびの森に行く予定。
修一郎のお弁当を作っておく。

昨日梱包した絵本をポストに出しに行く。てくてく歩く。風が心地いい。

出かける支度をして ごはんさんのところへ行く。

「みるさん、今日は早めに帰ってきて、この前のキャンドルを切り落とした蝋で小さなキャンドル作ろう。」と、ごはんさんが素敵なことを提案してくれた。ときめいた。

わくわくしながら こもれびの森へしゅっぱーつ!

お昼ご飯を食べることにする。
人気の天ぷらやさん。それぞれちがう天ぷら定食を注文する。アレルギーで食べれないものを ごはんさんのお膳に どんどん乗せてゆく。私が食べれるものを ごはんさんが私のお膳に乗せてゆく。

コンタミネーションはないので衣をむいてご飯に乗せ、お塩をかけて もぐもぐ食べる。私にしてはたくさん食べた。おいしかった。

おなかいっぱいになって しゅっぱーつ!

大好きな道を通る。
広々としていて山が連なる。霧のような雨が降っているので、山が厚い雲の帽子をかぶっている。雲が生き物のように向こう側から山を滑ってこちらに流れてきている。おもしろい。

いまの季節は私の大好きな水田が目白押しだ。本当に美しい。水田に空の雲が映っている。山が映っている。胸が躍る。空の鏡だ。あと数ヶ月もすれば山つきのおいしい新米が食べれる。「わくわくするね。」と話しながら車は進む。

到着。

猫たちにカリカリをあげる。子猫たちも出てきた。今日も ごはんさんが抱っこしている子猫を渡してもらって ちゅ〜るをあげる。にくきゅうが ぷにゅぷにゅしていて きゅんきゅんする。

こもれびの森は山に囲まれている。空に届きそうな背の高い木々に囲まれている。その豊かな木々が小雨に濡れて、白っぽく、艶っぽく輝いていた。神秘的だ。じっと眺めていたくなる。

用事を済ませ早めに帰路に着く。

途中で ごはんさんがその地域で有名なお菓子屋さんに寄ってくれた。
小さくて素朴な感じのお店には人がたくさん来ていた。そこにプリンがあった。迷わず買う。修一郎へのお土産の おまんじゅうもたくさん買う。

駐車場で車に向かう。

「わ、みるさん見て。ナンバー遠いとこばっかり。ぜんぶちがう。」と、ごはんさんが言った。

そのお店は地元の人しか分からないような場所に ぽつんとある。まわりは田んぼや畑が多い。そこに遠いところからお菓子を求めてやって来ているんだ、おいしいお菓子の引力ってすごいなぁ。と思った。

いつものお店でお買い物をする。

家に帰ると修一郎は寝ていた。

荷物を置いてまず、ごはんさんがガジュマルを大きめの鉢に植え替える。

そして、朝の約束通りキャンドルを作ってくれることになった。ぱちぱちぱち。

どうやって作るんだろう。

「厚紙あればいいですよ。」と、ごはんさん。

土台になる白くてまぁまぁ太さのある短い蝋燭を用意する。厚紙をそれよりひとまわり大きくチョキチョキ切ってゆく。テーマソングはもちろん

♪ でっきるかな でっきるかな ♪

グホグホ(ゴン太君)

ごはんさんのお庭にある台の上に厚紙を敷き、その上にくるっとまるめてセロテープで留めた円柱形の厚紙を乗せる。真ん中に白い蝋燭を置く。

「ねぇ、これハート型にして。」と、私。

「えっ、ハート型…。」と、ごはんさん。

自分で無理やりハート型にしてみた。歪んでいる。くじけた。ごはんさんがハート型に調整してくれた。

そして、型の中の白い蝋燭のまわりに水色の蝋のかけらをガスバーナーで溶かしながら入れてゆく。ゼリーみたい。底から漏れてきたのでびっくりしていると、

「すぐ固まるから大丈夫。」と、ごはんさんが言った。

「こういうのって楽しいよね。」と、話しながら ごはんさんが作ってゆく。お酒片手に。

言った通りうすく漏れた蝋が固まって蓋となり、それ以上漏れることはなかった。途中で小さなかけらを ぽちゃんと落とす。少しずつ溶かし入れてゆく。蝋燭の芯をピッと立てる。最後のかけらを溶かし入れると、溶かしたかけらの量が過不足なくぴったりだった。

「すごいすごい!」と、大興奮して手を叩く。

「これで固まったら紙を剥がせばいいんです。」と、ごはんさん。

固まるのを待つ間、にりんさんとアランくんが遊んでいるのを見たりおしゃべりする。

少し固まりかけてきた。プリンが固まる途中みたいだ。触りたいのをグッと堪える。

ごはんさんが面白いことばかり言うのでゲラゲラ笑いながら待つ。

まだ温かいけれど固まっているみたいだ。
ごはんさんが押して確かめようとするので、さっとひったくる。ごはんさんの怪力で押したら潰れるかもしれない。と考えたのだ。

「もう紙剥がして大丈夫。」と、ごはんさん。

おそるおそる剥いていると、ビーッと ごはんさんが剥いた。

「あぁぁっ!!」と、私。

見ると、すべすべに固まっていた。

息を呑んだ。すごく可愛い。「ハート型にして。」と頼んで本当によかった。あのかけらがこんなに可愛く出来るなんて。ときめく。すごくうれしくなる。

「火を灯すのがもったいない。」と言うと、

「火を灯して蝋が溶けてきたら中の白い蝋燭が見えてそれもいいよ。」と、ごはんさんが言った。

それもそうだな。と思う。灯してみたい気もするけど、やっぱりしばらく火は灯せそうにない。黙っていると、

「また作るといい。」と、ごはんさんが言った。

「前にもキャンドル作ったことあるの?」と聞いてみた。

「これ初めて。」と、ごはんさん。

ええっ!なんで作り方分かるんだろう。と、思った。

蝋のかけらから見事に生まれ変わったハートキャンドルを手のひらにずっと乗せておく。キャンドルと石鹸て似ているなぁと思う。

大事に持って家に帰る。

修一郎が起きていた。
たくさんのお土産を喜んでいた。キャンドルを見せる。びっくりして「よかったね。」と言ってくれた。

夜、庭に出る。
墨色の空。静か。じっと耳を澄ませていると遠くからカエルの声が耳に届く。しっとりとした夜気の中でクローバーたちは葉を閉じて眠っている。木々のシルエットが影絵みたいにきれい。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。

カカオは遊びに出かけている。

今日もいい一日だった。

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