忘れ物の日
3月14日(木)
早朝、ネコのケンカの声で目が覚める。家の中だ。ブータンと七三の声。静かになった。ベッドの中でしばらく ごろごろする。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。暖かい。
カカオとブータンにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。
今日は朝から出かける予定。
修一郎の食事を用意しておく。
支度をする。朝一件打ち合わせがあり、午後に遠賀信用金庫さんの本部で理事長とお話しをする。着物に着替える。江戸小紋に丈が長めの羽織りにする。
支度を整えて外に出ると、ちょうど佐川急便さんの大きなトラックが止まった。
博多阪急さんからだ。展示会が終了したので作品を送り返してくれたのだ。大きな段ボール6個。
「よかった!ちょうど出かける前で。」と、私。
「素敵なお召し物ですね。」と、言ってくれた。
玄関にぜんぶ入れてもらう。ぎゅうぎゅうだ。
さぁ、出発だ。約束の時間にちょっと遅れそうだ。でも、荷物を受け取れたからよかった。
車を走らせる。
ぽかぽかの陽気。きもちがいい。暑いくらい。エアコンをかける。なんとなく ぬるい風が弱々しく出ている感じ。気のせいだ。と、言い聞かせる。
遅れるかなと思ったけれど、約束の時間 2分前に到着した。やった。
話をする。濃い時間だった。濃厚で熱い。それぞれいろいろな想いを胸に抱いているんだなぁと感じた。私がこの中にいるのが不思議でしょうがなかった。
2時間の話のあと、そのまま遠賀信用金庫さんに赴こうとしたら、理事長に渡すものを忘れていることに気がついた。それを渡すために行くのに。気がついてよかった。家に取りに帰る。
もう一度、しゅっぱーつ!
本部で理事長と部長と話をする。私はアレルギーがあるので、お水とミルクとソルティライチとヤクルトだけ飲める。
それをご存知の理事長の心遣いで、総務のNさんがみなさんにはお茶を、私にはお水とお茶を持ってきてくれた。
「お茶は飲めないから、お水だけいただきます。」と、私。すると理事長が、
「みるさんは、地球外生命体だから地球の飲食物が合わないんだよ。」と、Nさんに言った。
「えっそうなんですか!?」と、Nさんが目を丸くしている。
「そうなんですよ〜。」と、私。そんなわけない。
話は、和気あいあいと進む。
1時間ほどお話して家に帰る。
玄関に ぎゅうぎゅうに押し込んでもらった段ボールを開ける。作品を取り出して片付ける。販売用の絵は、ほとんど売れていた。ありがたいなぁと しみじみ思った。
夕方、ごはんさんとお買い物に行く。
今日の月と木星もとてもきれいだった。おひつじ座で出会っているらしい。
そういえば、友人のRさんも昨日の月と木星を見て
「みるさんもこの月、見てるかもなあ」と、思ってくれたそうだ。
「今日の月と木星もきれいだね〜。」と話しながら、お店に入る。
わぁわぁ笑いながら お買い物をする。
セルフレジにカゴを置いて清算しようとしたら、手に持っていたはずの小さなトートバッグがなかった。お財布とエコバックをを入れている。車に置いてきたのかな。と思い、隣のレジにいた ごはんさんに
「お財布、車に忘れてきたみたい。とってくる。」と、言った。
「オレが買いますよ。ここ置いて。」と、ごはんさんが私のカゴを自分のカゴの上に乗せた。
「じゃぁ、車に戻ったら返す。」と、私。
「いいって。」と、ごはんさん。
そんなふうにやりとりしながら、ふとそばにいた店員さんを見ると、なんと、私の小さなトートバックを持っていた。
「あっ!それ、私のです!」と、私。
「パン売り場にあったそうです。」と、店員さん。
びっくりした。パン売り場の前は通ったけれど、何も買わなかった。どうやって置いちゃったんだろう。不思議だ。手元に戻ってきて本当によかった。
「中、確認しました?」と、ごはんさん。
「あ。」と、私。確認する。
ちゃんと ぜんぶ入っていた。親切な人が届けてくれたんだなぁと感謝のきもちでいっぱいになった。ありがとうございます。
今日は忘れ物の日だ。
家に帰り着く。
ごはんさんが買った青いオリーブの塩漬けを分けてもらう。カマンベールチーズといっしょに食べると、とてつもなくおいしかった。
梱包材の片付けをする。
カカオとブータンはいつもの椅子の上で眠っている。カカオはまるくなって。ブータンは だらーんと伸びて。つきたてのお餅みたいだ。
夜、庭に出る。
オリオン座が ぴかぴか輝いていた。そして、そのまわりに小さな星たちがキラキラ瞬いている。とってもきれい。北斗七星もクローバー畑の上で凛として輝いている。胸が高鳴る。星空って本当に素敵。ずっとずっと見ていたい。ずっとずっと。
今日もいい一日だった。