秘密基地みたい
1月11日(土)
朝、目が覚める。
寒い日のおふとんの中は天国だ。
まろやかな鳩の声まで聞こえてきた。
ぽろっぽー、ぽろっぽー。うっとり。
本当に天国じゃないだろうか。
勇気を出して むくりと起きあがる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。
修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。
アライ商店のヒライさんが
灯油を持ってきてくれた。
奥さまが手編みのアクリルたわしをくれた。
お花がついている。
たわしが「おしゃれしたの。」
と言っているみたい。
カラフルで可愛らしい。
「ミャウさんにも渡してね。」と言って
アライ商店のヒライさんが にっこりした。
ルーちゃんの水槽の水を換える。
ネパールのクリシュナさんからメッセージ。
メチャくん絵本の翻訳の進捗状況、
お互いの近況報告などなど。
午後、ごはんさんと近くの天ぷら屋さんへ行く。
ごはんさんが頼んだ定食に
ブロッコリーの天ぷらがあった。
半分もらう。
ブロッコリーの天ぷらを初めて食べた。
とてもおいしくてびっくりした。
「幸せだね〜。」
と言いながら、もぐもぐ食べる。
ごはんさんは たくさん食べる。
そして早い。
私は少しだけ食べる。
そしてゆっくり。
「ゆっくりいいけんね。」
と、いつも言ってくれる。
家に帰る。
とても寒い中、
ごはんさんはお庭にビニール製の
倉庫のようなものを組み立て始めた。
途中で冷たい雨が降ってきた。
雨に濡れながら組み立てている。
ドリルでコンクリートに
ドドドドドと穴をあけている。
雨が降っても途中でやめないのが
ごはんさんだ。
私は家に帰りウーちゃんの水槽の水を換える。
水を換えるとき、頭を なでなでする。
じっとしている。きゅん。
水換えを終えてミャウさんのところへ行く。
ヒライさんから預かった
手編みのアクリルたわしと
メチャくんカレンダーを渡しに行く。
ちょっとおしゃべり。
ごはんさんの倉庫の様子を見る。
ほぼ完成していた。早い。
それは、大きな がっしりした
テントみたいだった。
中に入ってみる。すごく楽しい。
ただ入っているだけで とにかく楽しい。
窓がついている。
ライトも吊るせるようになっている。
キャンプ気分。わくわくする。
「なんか楽しいね〜。」
「秘密基地!」
「隠れ家!」
「テントでキャンプ!」
と、ふたりで はしゃぐ。
そして、こもれびのの森へ しゅっぱーつ!
道中、山々の雪化粧が美しくて
うっとり眺める。
到着。
ものすごく寒い。
ものすごくものすごく寒い。
雪が残っていた。
氷も張っていた。
冬の美しさが あちらこちらで輝いていた。
ふたりで銀杏を拾う。
「楽しいね〜。」
と言いながら、こつこつ拾う。
暗くなってきた。
ごはんさんが ぐるぐる洗う。
私はやってきたミケちゃんで手を温める。
猫って本当に温かい。
バケツ半分くらいの銀杏を
持って帰ることにする。
お家で仕上げるのだ。
家に帰り着く。
冷たい空気。空一面、墨色の雲。
玄関の戸を開ける前に
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
これから眠くなるまで絵本の作画をしよう。
今日もいい一日だった。