初収穫!
11月11日(土)
朝、目が覚めてカカオと ごろごろしてから いっしょにベッドから起きだす。
ご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげて水を換える。
りんごの木の様子を見る。
かなり紅いりんごが ふたつ。そのうちのひとつは元々少しキズがついていた。そこが黒くなってきている。これを収穫しようと手を伸ばす。
ダメだ…ちぎれない。
しばらく眺めて家に入る。
修一郎が起きてきた。
「昨日テーブルに置いてあった まんじゅう、ノラちゃんが食いちらかしてたよ。」と、修一郎が言った。
「あんこ食べてた?」と、私。
「あんこは残してた。皮だけ食べてた。」と、修一郎。
あんこを食べていなかったようで、ほっとした。あんこは猫にはよくなさそうだ。
以前は、カリカリを出しっぱなしにしておいた。そして、家のネコたちの出入り口からやってくる、どこのネコも食べていいようにしていた。家にいたネコたちも、「しょうがないね。」という感じで共存していた。
でも、カカオは ちがった。
カカオがいるときに他のネコが家に入ってくると、すごく怒る。ときにはケンカになる。そうすると、どちらかがケガをする。どちらもケガをすることもある。
なので、家の中にエサを出しっぱなしにするのはやめることにした。
修一郎に洋梨を剥いて出す。食事の用意をして、冷凍しておいた梅ヶ枝餅を解凍する。
仕事をする。
午後、また、りんごの様子を見に庭に出る。
ごはんさんが庭に出ていた。
「こんにちは!」とあいさつしあう。
「りんごをちぎろうと思ったんだけど、ちぎれない。可愛くて。ごはんさん、ちぎって。」と、私。
「いいですよ。」と、ごはんさん。
いっしょに りんごの木のところへ行く。
「これでいいですか?」と、ごはんさん。
「うん。」固唾をのんで見守る私。
ぷち。
初収穫!
もうひとつ、小さいのも ちぎってもらった。
ドキドキしながら外でちょっとかじってみる。
今度は ごはんさんが見守っている。
カリッ。
「どうですか?」と、ごはんさん。
「…おいしい。」と、つぶやく私。
「ほんとにですか?」と言いながら、ごはんさんがこっちを見ている。
「…ちょっと早かったみたい。」と、えへへと笑う。
そう。ちょっと早かった。色はしっかり紅いのだけれど、早すぎる味と食感。キシキシしていて渋いような すっぱいような味。わずかな甘味。
でもすごくうれしかった。じわ〜っと喜びの波が押し寄せてくる。感動。
紅く紅くなっても、もう少し待とうと思った。
そうだ、クリスマスまではこのまま置いておくといいかもしれない。クリスマスツリーみたいだ。クリスマスの日だけ、てっぺんに星を飾ってもいい。
家に入って半分食べて置いておく。もうひとつは追熟させてみようと思う。
仕事をする。
せっせと作画していると、カカオがまわりをうろうろしている。私の仕事用の椅子に座りたいときの仕草だ。カカオにゆずる。折りたたみ式の小さな椅子を持ってきてそれに座って作画の続き。もくもく。
東京で暮らす修一郎の妹トッツィーからLINEがきていた。noteの日記を読んでくれている。
「生活そのものが仕事にいかされていて、円く一つになってるよう。」と書いてくれていた。
まさにそうだった。
実は昨日の日記に書こうとしていた。暮らしと仕事の境目がない、切り離されていない、ひとつづきだということを。
トッツィーとは本当の姉妹のようだ。
東京で暮らしていたとき、いっしょに過ごす時間が楽しくてたまらなかった。イベントや、何かをするとき、いっしょにするといつも楽しく実りあるものになった。
とても優しくて思いやりにあふれているトッツィー。いつも喜びをのびのび表現していて朗らかだ。
早めに夕食の支度をする。
修一郎が今日は早く夕食を食べたいという。おなかが空いているみたい。私はホットミルクだけ飲んで仕事をする。
夕方、庭に出る。
ごはんさんが帰っていた。買い物に連れて行ってもらう。今日は町でいちばん大きなスーパーマーケットに行ってくれる。
車に乗り込もうとしたとき、にりんさんがタオルを片手にお庭に出てきた。
「お買い物に行ってきま〜す!」と言うと、タオルをぐるぐる回しながら
「行ってらっしゃ〜い。」と言ってくれた。
さぁ、しゅっぱーつ!
明るい店内にはいる。野菜売り場を見る。ある野菜をみつけて私はそこに引き寄せられた。
「カリフラワーがある…!」
カリフラワーが大好き。そして、数少ない食べれるものの中のひとつだ。
でも、カリフラワーはあまり売っていない。コープさんのカタログにも載ったことがない。グリーンコープの はなおさんに「カリフラワーが入荷したら持ってきてください。」とお願いしてあるけれど、「カリフラワー、入ってこんですね〜。」と、いつも額に手をあてている。
白い宝石。カリフラワー。
カリフラワーを育てたこともある。
カリフラワーを食べたいなぁと思っていたとき、たまたま寄ったホームセンターに苗が売っていた。気がつくと、いくつか抱えてレジに並んでいた。
すごくむずかしかった。なんとかひとつだけ小さいのを収穫できた。ちょっとだけおいしかった。でも、カリフラワーを育てるのはあきらめた。
白くて大きなカリフラワーをカゴに入れた。
家に帰って、小さく切ってオリーブオイルと塩で炒めた。それから小房に分けて硬めに茹でた。
とてもおいしかった。
夜、庭に出る。
寒くない。夜空は雲が覆っている。でも、真っ暗の闇ではない。夜の色がうすく感じる。
遠くで電車の走る音が聞こえる。それに重なる少なくなった虫たちの声。「もうそこまで冬が来ているね。」と言っているよう。
カカオは私のベッドで寝ている。おまんじゅうを食べたネコは元気に歩いていた。よかった。
今日もいい一日だった。