バイクに乗せてもらって気づくこと
10月20日(日)
朝、アラームが鳴る前にぱちりと目が覚める。小鳥の歌声が聞こえてくる。可愛いな。むくりと起き上がる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。
水を換える。
ルーちゃんが土管にすっぽり入っている。つもり。しっぽと後ろ足が出ている。可愛い。きゅん。
植物たちに水をあげる。
今日も こもれびの森に行く予定。
修一郎の食事をお弁当仕立てにしてふたつ作っておく。
今日は ごはんさんのバイクに乗って行く。
わくわく。楽しみだ。
バイクに乗ると寒いということ。ちょっと暖かいものを着てみる。ブカブカでパジャマみたいだ。暖かいので気にせずブーツを履く。
ヘルメットをかぶって上着を着て しゅっぱーつ!
バイクの後ろに乗せてもらうのは とてもきもちがいい。風が びゅうびゅう吹いているが、運転している ごはんさんの背中がとても広いので、私には直接風が当たらない。
こんなところにトウモロコシ畑があったんだ。車に乗っているときには気がつかなかった。緑が、山がきれい。ぐんぐん通り過ぎてゆく。
あぁ、なんてきもちがいいんだろう。楽しいな。
今日は呑山観音寺で秋の大祭があり、ごはんさんの ご友人Kさんがそこに参加しているということで会いに行く。
標高が高い山の中を走り抜ける。
ものすごく美しかった。深い山、渓谷、苔もシダも とことんきれい。
過ぎゆく景色を うっとり眺める。
何台ものバイクとすれちがった。
バイクの後ろに乗せてもらうときの、景色を肌で感じることとか、体が軽くなる感じとか、ケセラセラな感じとか、そういうところがとても好き。
標高が高いと空気がひんやりしている。
「寒くない!?」と、ごはんさんが何度も聞いてくれた。太ももが少し寒いだけだった。
呑山観音寺に到着。
出店がたくさん出ていて、たくさんの人が訪れていた。
Kさんが見当たらない。ごはんさんが電話をかけてみる。電波が弱く繋がらなかった。こもれびの森も電波が弱い。電波が弱くて不便でも、自然は私たちを豊かな きもちにしてくれる。
残念ながらKさんには会えなかったけれど、私は道中の素晴らしい景色を肌で堪能できたので大満足だった。
こもれびの森へ向かう。
こもれびの森はいま、銀杏がどっさり落ちている。栗の次は銀杏。豊かな自然の恵みだ。
背の高い高い大きな大きなイチョウの木がある。葉っぱが ふさふさ茂っている。
こもれびの森の木々たちはどうしてこんなに大きいのだろう。イチョウ、モミジ、栗、桜、梅、椿、山桃、小蜜柑、銀木犀、桐など…他にもあらゆる木があるが、どの木もびっくりするほど大きい。
銀杏を拾っておいてほしいと、YOさんから ごはんさんへ伝言があった。
ふたりで銀杏を拾うことにする。手袋をはめて、ブリキのバケツを持って、どんどん拾ってゆく。
これがすごい。キリがないほど銀杏が落ちている。動物が食べた痕もある。
最初とても楽しかった。夢中で拾った。さくらんぼみたいなのがあったり、ふたつがくっついているのがあったり、拾った銀杏を見せっこしながら拾っていた。
でも、拾っても拾っても銀杏が落ちている。拾うそばから強い風に吹かれて銀杏が ぽとぽと落ちてくる。
だんだんと楽しいきぶんを通り越して仕事になってきた。一心不乱に銀杏を拾い続け、見つけたら拾わずにいられなくなり、銀杏を残したまま途中で止めることができなくなっていた。
「キリがない。」
「わー、こっちにもある。ここにもある。」
などと言いながら、ふたりとも拾う手を止めない。
「腰痛くなってきた。」
「足痛くなってきた。」
「休憩しなくちゃ。」
「もういいんじゃない。」
などと言いながらも、もくもくと銀杏を拾い続けている。
ついに、ブリキのバケツ山盛り 3杯分になった。
こんなにたくさんの銀杏誰が食べるんだ。
ついに銀杏の姿が見えなくなった。やっと ごはんさんと私は銀杏を拾う手を止めることができた。銀杏から解放された瞬間だ。
銀杏がどっさり入ったバケツの中に水を入れておく。
今度はYOさんがやってきて攪拌機を使い実を剥くのだ。
用事を済ませて帰路に着く。
家に帰りつき、ごはんさんがお庭に置いてあるメダカの水を換える。
ごはんさんのところで生まれたこのメダカたちはとても美しい。いろいろな種類の掛け合わせでオリジナルの美しい色が出ている。
車に乗り換えてお買い物に行く。
いつものお店。
修一郎に ぼた餅をふたつ頼まれていたのだが、無かった。隣町の うどん屋さんにおいしい ぼた餅が売っているので買いに行く。棚にたくさん並んでいた。
車の中で、マーチとシエンタの話になった。そこから
「去る者追わずなの。」と、私。
「いっしょ。済んだことをあれこれ考えてもしょうがない。これからの方が大事。」と、ごはんさんが言った。
過去に夢中になりすぎると、いまここにある輝きを見失ってしまう。
家に帰り着く。
りんごを しゃりしゃり食べる。甘くてちょっと酸っぱくて おいしいなぁ。
夜、庭に出る。
飛行機が飛んでゆく。流れる赤い星のよう。きれい。月が厚みのある雲の向こうで輝いている。
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
今日もいい一日だった。