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遠くに行かなくても

12月7日(土)
朝、アラームが鳴るちょっと前に目が覚めた。
やった。

小鳥の歌声が聞こえて幸せなきもちになる。
可愛くてうっとりする。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。

ウーちゃんとルーちゃんの水槽の水を換える。

修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。

午後、ごはんさんと
こもれびの森へ しゅっぱーつ!

到着。
もみじが色づいてとても美しかった。
黄色から紅色へのグラデーション。
うっとり眺める。

こもれびの森には、そんな もみじが何本もある。
もみじだけではない。
あらゆる大きな木が健やかに伸びている。

雪みたいに真っ白な椿も咲いていた。
深緑色の背景に凛とした佇まい。
神秘的な静けさを纏っている。

高さ20mくらいある
いちょうの木の葉っぱが ぜんぶ落ちて、
ふかふかした黄金色の絨毯を作っていた。

「遠くに行かなくても、こもれびの森で
 紅葉が見れるってすごいことかもしれない。」
と、ごはんさんが言った。

その通り。
そして、それはとても素敵なことだ。

本格的に寒くなる前に
ごはんさんが冬の準備をしている。

ごはんさんは いろいろなことをよく知っている。
そして、なんでも自分でする。

「どうしてそんなにいろいろ知っているの?
 自然に身についたの?」
と聞いてみる。

「うん、自然に。
 なんでもよく見てたんだろうね。」
と、ごはんさんが言った。

すごいなぁと思った。

ふたりで用事をする。
その用事が済んだあと、ごはんさんが
ふいに素晴らしいものをプレゼントしてくれた。

びっくりした。
私が大好きなものだった。
思ってもみなかったプレゼントに胸が高鳴った。

貴重なものなので
もらっていいものかどうか迷ったけれど、
ありがたくちょうだいした。
すごくうれしかった。

ずっとずっと大切に使わせてもらおう。
と、心から思った。

外に出ると、にゃーにゃーと声がした。
ミケちゃんがいた。
ごはんさんの足にまとわりついている。
チャミーと呼んでいるトラネコもやってきた。

なでなでして「またね」と言う。

お気にいりの天ぷら屋さんへ行く。

きれいな景色を眺めながら車は走る。
景色は毎回ちがう表情を見せてくれる。
山々の彩がなんともいえず美しかった。

到着。

いつものように

「幸せ〜。」

「うん、幸せ。」

「おいしい〜。」

「うん、おいしい。」

と言いながら、もぐもぐ食べる。

みんな幸せな顔をしている。

帰る途中で、地産地消のお店と
スーパーマーケットが合体したような
お店に寄る。

小さな瓶に入った はちみつを買った。
れんげはちみつ。きれいな琥珀色。
少しずつ大事に食べよう。

山道や田舎道を走る。
車のライトがなければ真っ暗闇だろう。

「歩いてたら真っ暗でコワイだろうね。」
と、私。

「コワイ?」と、ごはんさん。

「うん、転んだり落っこちたり、
 大きな猪が来たりしたらコワイと思う。」

と言って、光ってすごいなぁ。と思う。

家に帰り着く。
イルミネーションがキラキラ光りながら
「おかえり」と言ってくれているみたい。
きれいだな。

夜空に浮かぶ雲の隙間から
星たちが ぴかぴか顔を出している。
星を見ると胸が躍る。

光はあらゆるところにあって
私たちを楽しませてくれている。

夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

今日もいい一日だった。

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