飛んでいないけれど鳥になったきぶん
1月26日（日）
朝、目が覚める。
小鳥の歌声が聞こえてくる。
幸せ。
むくりと起き上がる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう！」と あいさつをする。
澄みきった青い空。
ぽかぽかしている。
きもちがいい。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。
修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「は〜い！」と言って玄関に行くと
ご近所のWさんが
にこにこしながら立っていた。
お庭で育てている菊の花束と
手作りの べったら漬を手渡してくれた。
「この べったら漬は調味液と牛乳で漬けたと。」
Wさんが言った。
牛乳に漬けるなんてびっくりした。
今日は ごはんさんの新しい大きなバイクで
こもれびの森へ行く。わくわくする。
ごはんさんが心配をしている。
「みるさんが後ろに ころころころって
転がるかもしれん。」と。
「大丈夫。転がらないよ。」
と、私。
ごはんさんが ちらっとこちらを見て
持ち手のないバイクのシートに視線を移した。
私は おふとんみたいに暖かい
上着を着るために家に戻った。
膝下まであるブーツを履き
ヘルメットを抱えて
ごはんさんのところへ行く。
バイクを見た。
え。
驚いた。
なんと、シートに私用の持ち手が
しっかりとつけられていたのだ。
どういうことだろう？
魔法？
どうやら、私が支度をしている間に
ごはんさんは 別のシートについていた
持ち手を外して、新しいバイクに
つけてくれたのだ。
すごい。素早すぎる。
本当に驚いて、とてもうれしかった。
胸が躍る。
バイクに
「よろしくお願いします。」と言う。
さぁ！新しいバイクで しゅっぱーつ！
「加速がすごい」
と聞いていた。
確かに加速がすごかった。
後ろに乗せてもらっているだけだが
以前のバイクと全然ちがった。
運転している ごはんさんは
さぞちがいを感じているのだろう。
スピードも速いけれど
どっしりしている感じ。
少し高さが増したので
見える景色も微妙にちがう。
すごくきもちがいい。
とても楽しい。
ブレーキをかけたときに
前にズズズと滑ってしまい、
何度も ごはんさんのヘルメットに
頭突きをしてしまった。
景色がどんどん流れてゆく。
飛んでいないけれど鳥になったきぶん。
本当に楽しい。
こもれびの森に到着。
ごはんさんは ご用事で出かける。
ミケちゃんとお留守番をしながら
用事をしたり銀杏を拾ったり。
ときどき ごはんさんと歩く
美しいシダが生えている場所に行ってみる。
そこには竹林がある。しんとした中
カン。コン。カコン。
と、ときおり美しい乾いた音が響いている。
竹がお話しているみたいだ。
山桃の木を見たり、梅の木を見たり、
のんびりしていると、ふいに人の声がした。
振り返ると、ご近所のYさんが
ワンちゃんといっしょに空を見上げていた。
いつの間に。びっくりした。
人の声はラジオの音だった。
「こんにちは。」
と、声をかける。
お年寄りのワンちゃんを撫でる。
おとなしくて とても可愛い。
Yさんとお話していると
ブロロロロと音がして
ごはんさんが帰ってきた。
体の大きな ごはんさんに
大きなバイクは ぴったりだ。
しばらくしてYさんが帰り
私たちも帰ることにする。
遠回りして美しいダムの景色を
眺めながらバイクを走らせてくれた。
家に帰りつき、車に乗り換えて
もう一件用事を済ませる。
まだ何も食べていなかったので
食事に行く。
ごはんさんのご友人おすすめの
お店に行くことにした。
とてもおいしかった。
家に帰り着く。
ごはんさんが 銅釜の炊飯器をくれた。
びっくりしてものすごく ときめいた。
私のご飯はいつも土鍋で炊いていたが
忙しいときは、ご飯を炊かないときもあった。
明日これでご飯を炊くのが楽しみだ。
ウキウキする。
ネパールのクリシュナさんから
メッセージが来ていた。
子供たちの写真が添付されている。
メチャくん絵本を手渡すと とても喜んで
すぐに読み始めたということ。
絵本を買うことができない子供たち。
楽しんでくれて本当によかったな。
胸があたたかくなる。
夜、庭に出る。
ぽつりぽつりと星が瞬いていた。
可愛い。
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
今日もいい一日だった。
