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車を見に連れていってくれた

6月30日(日)
朝、私にしては早く ぱちりと目が覚める。
目が覚めたとき、小鳥の歌声を聴けるのは本当に幸せだ。しばらく ごろごろして、むくりと起きあがる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

カカオにご飯をあげる。ミルクが飲みたいようだ。冷蔵庫の前で座って待っている。レンジで 10秒温めたミルクをあげる。

そのとき、「にゃー。」という高い声がした。カカオが顔を上げて目を見開いている。

その声は…。

”七三” と呼んでいる暴れん坊ノラちゃんにまちがいない。どうして七三かというと、顔は白い毛で額のところだけグレーの七三分けみたいな模様なのだ。

そして、七三の暴れん坊ぶりは相当なものだった。人には懐くのだが、カカオをはじめ近所の猫たちは七三にいつもケガを負わされていた。

キョロキョロ見回したがどこにもいない。カカオは仕事部屋の私の椅子の上に戻っていった。

ふと、キッチンに置いてある食卓の下をのぞいてみた。すると、食卓の椅子の上に七三が まるくなっていた。びっくりした。どうしよう。

顔を覗き込むと、ずいぶん弱っているように見える。どうしても追い出せず、そのままにしておくことにする。七三が小さな声で「にゃぁ。」と鳴いた。

ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。

修一郎が起きていた。

「お誕生日おめでとう。」と言う。

「この歳になったら全然うれしくないね。寝るよ。」と言った。

わが家は誕生日に特別なことは何もしない。クリスマスやお正月のイベントもいつも通り過ごす。

私の誕生日も東京にいるトッツィーがプレゼントを送ってくれる以外何もしなかったが、数年前から友人たちがお祝いしてくれるようになって華やかなものになった。

両親と電話で話す。

豆乳シフォンケーキを焼いてお弁当を作っておく。

今日は ごはんさんが車を見に連れていってくれる。帰りに こもれびの森 に寄る予定。

ここのところ車を探していた。中古車だ。好きな車を見つけていたが、とても遠いN市にある車屋さんだった。N市は行ったことがない。雨も降っている。高速道路に乗らなくてはいけないし自分で行くのはとても無理だった。

ごはんさんが快く連れていってくれることになった。車にとても詳しい ごはんさんがいっしょに行ってくれるので、すごく安心できる。

車屋さんへ しゅっぱーつ!
わくわく。ドキドキ。

高速道路に乗る。
ちょっとした旅行気分だ。わくわくする。途中のお店で買った ゆで卵やサンドイッチを車の中で食べる。車の中で食べるのはピクニックみたいで楽しい。

サービスエリアに寄ってみたかった。
先日、まちがえて高速道路に乗ってしまったとき、サービスエリアに寄ってみたかったけれど、勇気がなかった。ごはんさんが「寄ろう。」と言ってくれた。ウキウキする。

人がいっぱいだった。少し食べ物を買って、あとは ぶらぶらお土産を見る。テーマパークみたいでおもしろい。ますます旅行気分だ。お土産は買わずに しゅっぱーつ!

高速道路を降りてからはとても混んでいた。知らない街。分かりにくい場所にあったが無事到着。遠かった。

気になっていた車が一番前に置いてあった。可愛い。すごく可愛い。ときめく。ときめくぅ〜〜。その車の名はサンバークラシック。パールグリーンの車体にミラーとホイールが白。ヘッドライトは まんまるの瞳。コアラみたいな顔をしている。

少しへこんでいたり塗装がはげているところもあるけれど、とにかく可愛い。
エンジンをかけさせてもらう。エアコンも効く。中にカビも生えていない。

他にもたくさん車があった。あれこれ見る。

「ミラジーノあるよ。」と、ごはんさん。

ミラジーノも好き。可愛い。まるい瞳の可愛いのが好きなのだ。このミラジーノはパールホワイトだった。内装が素敵だった。MOMO製のハンドルが特にいい。塗装が劣化しているところがあるけれど、とても低価格でびっくりした。迷う。すごく迷う。

頭と胸がいっぱいになって分からなくなり帰ることにする。ちょっと考えようと思う。

タイヤ屋さんに寄った。
帰るとき、お店の人が ごはんさんにColemanの保冷バックを渡した。私はここ最近、小さめの保冷バックがほしいな。と思っていた。ごはんさんがもらったその保冷バックはデザインも素敵でサイズもちょうどよかった。じっと見る。ごくりと唾を飲み込む。

車の中で、

「保冷バック袋から出して見ていい?」と、聞く。

「もちろんどうぞ。」と、ごはんさん。

希望にぴったりだ。すごくいい。じっと眺める。

「すごくいいね。」と、私。

「いる?」と ごはんさんが聞いてくれた。

天使がラッパを吹きながら私のまわりを回った。花びらも撒いている。天使がラッパを吹き終わるまで両手で持ったまましばらく固まっていた。

「めちゃくちゃうれしい。」と、私。

こもれびの森へ行く。
土砂降りの雨。バケツをひっくり返したようだ。雨は弱まったり強くなったりを繰り返している。手短に用事を済ませる。

お買い物をして帰路に着く。
帰り道、森の木々に白鷺が 30羽くらい留まっていた。びっくりした。

「見て、あの白い鳥すごい数!」と、私。

「わ、すごい。白鷺だね。」と、ごはんさん。

そのとき、走る車のすぐ脇をトンビが飛んでいった。なんだか大迫力の光景だった。

家に着く。
カカオにご飯をあげる。ちゅ〜るを食べてミルクを飲んで出かけた。
食卓の下を覗くと、七三が椅子に まるくなって眠っていた。そのままにしておく。

修一郎が起きてきた。ごはんさんが車屋さんに連れていってくれたことを話す。「よかったね。」と言ってくれた。

夜、庭に出る。
雨が降っている。玄関の戸にナメクジがいっぱいくっついている。バッタもくっついている。ヤモリの赤ちゃんもくっついている。どうして夜になるといっぱいくっつくんだろう。朝になると 1匹もいなくなる。どこから来てどこに帰っているんだろう。不思議がいっぱいだ。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。

今日もいい一日だった。


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