見出し画像

「だまされる」ーーレインコード感想

※これは「超探偵事件簿レインコード」の感想noteです。
※全章のネタバレを含むため、未プレイ・未クリアの方はお控えください。

※ダンガンロンパのプレイユーザーで、何の前知識も入れず本作をプレイしています。


0章

「オリエント急行殺人事件」のパロディを思わせる、カナイ区への直通急行列車が舞台の0章。
ユーマは記憶を無くした直後からスタート。結末を知っていると、このスタートもちょっと違ったものに見えてくる。

「主人公が記憶喪失」というのも、世界観をユーザに説明する「ちょうどいい理由付け」として定番ではあるものの、死に神ちゃんという味方なんだか敵なんだか分からない存在のおかげで、ギャグにしつつ円滑に話が進んだように思う。

まあ、このまま車内で殺人事件が起きて、到着までに解決しなきゃいけないのね。他に乗客がいないなら、さっそく殺されてしまう探偵がいるのか。まあゲームが終わる頃には探偵側は半分ぐらい死んでしまうんだろうな。あまり好きな子とか今作っちゃいけないな。でもプッチー可愛いな。

そう思っていた矢先に、1つ目の焼死。いきなりすぎて愕然としたが、あからさまに置かれていた消火器が怪しすぎて「嵌められてるな」としか思わなかった。
その先で、2つ目、3つ目…最終的に5つの焼死体。いや、多すぎる。
初っ端で殺しすぎじゃないか?もう超探偵5人も居なくなってしまったのか?久しぶりの新作ゲームでやる気満々に肩を回していたにしても一気に退場しすぎじゃないか?

呆然としながらも、0章ということもあって怪しい点が明らかに怪しい。
丸焦げの顔の分からない遺体は偽造工作だろうし、列車の5号車も多分トリック。この時点では、列車が逆になっているのでは?と推理していたが、「血のついていた救護室のドアのカギ」で、やり方は分からないけど元居たところに戻ってきているな、と察した。まさか切り離し・連結をトンネル前後で行っているとは思いつかなかったけれど。
現実では絶対こんなうまく行かないだろ!と多少文句も言いたくなったが、まあご愛嬌。

ただ、この時点では何の疑問も無かったが、クリアしてから思うと「血のついていた救護室のドアのカギ」は、赤い血だった。この時点でダンガンロンパユーザーなら当然の「血はピンク」という前提が無いことに気付くべきだった。なんの意識もしないままプレイを進めて、これ以降当然のように遺体のピンクの血を見て疑問を持たなかったのが、何とも悔しい。

犯人はジルチ。死んだ順番を考えれば絞れてはいたが、トリックの強引さと動機が分からず初の謎迷宮も長く感じた。
一気に死んだ超探偵たちと、そもそも本物のジルチに会えないまま0章が終わった。

1章

夜行探偵事務所へ入所。既に5人の仲間がいたが、さっきまで5人の仲間を失っている為暫くは「次は誰が死ぬんだ?」と疑心暗鬼になっていた。
カナイ区は常に雨が降り続き、ネオンと退廃的な街並みが広がり、奥には超高層ビル。まるでミッドガルだな、という感想を抱いたのはここが最初だった。なお、4章でアマテラス社に入ることが出来たが、そこでは「新羅ビルだ!!」とひとしきり喜んだ。

カナイ区まで辿り着けた探偵はユーマを除くとたったの4人。
それぞれの第一印象は、冷静で頭の良さそうなギャンブル好きの眼鏡の人。ムードメーカーになりそうな(小さい)少年。ド天然お嬢様。隅で寝ている人。この時点でヤコウ所長が苦労する未来が見えた。

その予感が当たるかのように、誰も事務所に現れない。ピアノの下で寝ている人はその肩書が無ければホテルを出禁になっても可笑しくないだろう。
こんな感じでサブクエやりながら話が進んでいくのかな、と構えていたら、突然時計台へ行くことに。あまりに急な展開だが、これぐらいの強引さがないと事件は起きないのかもしれない。

時計台の死体。不気味な人形だらけの中、釘で打ち付けられる死体。焼死体の次は釘とは、中々ぶっ飛んでいる。序盤でピラニアよりはマシかもしれないが。
密室というには既にトリックが見え隠れしていて、0章が大掛かりなトリックだっただけにこれだけか?と肩透かしを食らっていると、どうやら過去3件の事件、つまり通算4つの密室を解いていかなければいけない。いや、多すぎる。
レインコードはどうやら何事も過剰に…なのかもしれない。

ハララさんという誰よりも頼りになる相棒と共に事件の捜査をしていくが、1件1件は大掛かりなトリックでない。ただ、書斎の通気口から鍵を死体の下に投げ入れるなんて器用な真似、出来るか?どうにかして釣り糸みたいに回収出来るようなトリックがあるのかもしれない…と悩んでいたら、ただ投げ入れただけで解決していた。まあ、列車を再連結するよりは簡単か。

4件分調査がだいぶ面倒に感じてきたところで謎迷宮へ。犯人を追及するところでずっと「シスターの右手は怪しすぎる」と踏んで悩んでしまったが、「右手を怪我していたから犯行は出来ない」という結論に。いや、それも嘘かもしれないじゃないか!洋館の事件より後に怪我してるかもしれないじゃないか!と文句も言いたくなったが、可愛いから良しとしよう。
なお、これ以降メインストーリーはそれなりに月日が経っているようだったが、最後の最後までシスターは右手を怪我していた。こんなに長引く怪我ならもう練習はしない方がいい。

調査時点で愉快犯がいることを察してはいなかったが、段々と明らかになる事実で最後に綺麗な謎解きに繋がる快感が気持ちいい1章だった。
だが、ハララさんの性別という一番の謎はメインストーリーが終わってもなお解決されていない謎のまま。プレイヤーのご想像にお任せする、ということだろうか…。

2章

タイトルが女学院のような背景だったので、既に期待が高まる2章。
クルミという少女と出会い、女学院へ潜入することに。
何とも面倒な調査でナンパ男を見つけ出し(大声で名前呼びながら歩けばツッコミながら飛んできそうだが)、共に潜入調査へ。どうやら1人ずつ相棒になってくれるだろうことがここで察せられ、ヤコウ探偵事務所のメンバーが死ぬことは無さそうだと安心した。

潜入にあたって、まさかの女装イベント。デスヒコは超探偵能力で「変装」しているが、ユーマは完全に女装。その可愛さに笑顔になったが、事件が早々に起きてしまう為あまり女装姿でのシーンは多くなかったのが残念だ。

ご丁寧に演劇部の紹介もされ、手の込んだ演劇シーンを見させられる。この時点で劇中死は覚悟していたが、まさかの毒殺。美人が狂気の表情で倒れるムービーは中々辛いものがある。

潜入捜査がメインで死体は専門外だというデスヒコ。探偵なのにそんなことある!?とこの時は思ってしまったが、今後のメインストーリー、DLCのストーリーを読むと、死体とナンパ以外は本当に優秀な男だった。今回は運がなかった。まあ女の園への潜入とプラマイゼロだろう。

デスヒコの変装能力を共有して、調査を行うユーマ。1章ではそこまで感じなかったが、共有して一人で何度も変装出来ている時点で、能力共有ってとんでもない能力だな、と感じた。ユーマは最後まで死に神ちゃんの能力だと思っていたようだが、0章時点でユーザは気付いていたぞ…。

謎迷宮に入るまでは、「それぞれが協力していないと犯行は不可能」「カレンが誰かを殺そうとしていたが、逆に利用されて殺されてしまったんじゃないか?」「演劇部全員アイコのことが好きで、取り合っていたのかも」なんてことを想像していた。
実際は、カレンがアイコを殺してしまい、アイコのことが好きだった幼馴染3人の犯行…。途中でアイコの犯行を突き止めた時に全てを察してしまった時に、ユーマと同じく先へ進むのが嫌になった。

全体を通しても、2章の閉鎖的な環境、人間関係、女学生同士の感情の重さは多くのプレイヤーの心に刺さっただろう。
ただ、この感情は4章でまた抱くことになるとはこの時思いもしなかった。

3章

探偵事務所を失うところから始まった3章。余韻に浸る隙も無い。
ここで初登場したのがマコト・カグツチ。
どう考えてもラスボス。どう見ても怪しい。というかほぼカムクラ。

このレインコードにおいて、ユーマの背格好は中々に特殊である。周囲の人間がほとんど大きいのに対して(1名除く)明らかに小さい。そのユーマとほぼ瓜二つと言っていい背格好にお面、長髪…。むしろユーマが少し頼りにしているのが謎なほど。

そんな怪しい存在に加えて、仲間を失ったユーマはレジスタンスと出会う。
海洋生物ネーミングで揃えられた面々は、揃いも揃って怪しいやつらばかりだったが、リーダーのシャチは人徳のある人間のように見えた。

そんな彼らに半ば脅されるような形で引き受けた防犯カメラの設置。正直ここまで、信頼こそしていなかったものの裏切られるとも思っていなかった。
だが、ド天然お嬢様ことフブキさんと合流し、すべてのカメラを設置した時、カメラが爆弾であることを告げられる。

「こんちくしょーーー!!!」と、リアルに叫んだ。裏切りやがって。裏切るにしてももっと捏ねて捏ねて、最終的に裏切られるのかと思っていた。
本当に「ただで帰す気」などなかったのだ。酷い話だ。

フブキさんの便利な超探偵能力を頼りに保安部を跳ね除け、爆弾解除の合間にアジトへ。そこでリーダーのシャチが殺されてしまう。
こめかみを貫通する銃弾、かなりの勢いだろう。やっぱりあの4人の誰かが裏切ってたんだ。ここで二度目の「こんちくしょーーー!!!」が出た。

ただ、この時点で屋上の密室トリックは一切分からなかった。傘が怪しいかも?隣のビルの間に何か橋渡し出来ないか?考えても分からないまま、その場を後にした。

そんな中、マルノモン地区が浸水しているとの情報が入った瞬間、すべてを悟った。トリックは分からないけどもう犯人は一人しかない。自信満々に何処でも泳げるって言ってたやつがいた。動機も手段も分からないけれどもう犯人は分かっていた。

そしてマルノモン地区に到着した時、絶句。浸水ってもう少し軽度なものを想像していたけれど、もう修復できないほどだった。
色々と分からないことも多いまま、謎迷宮へ。3章の唯一の癒しは、フブキさんと死に神ちゃんのやり取りだったな、と後からは思う。

犯人は分かっているものの、屋上のトリックは直前まで分からなかった。死体を見つけた瞬間から左利き用だから自分で撃てるわけがないことも分かっていた。それに犯人がその場にいたのは間違いないけれど、脱出の方法は検討も付かない。爆破の爆風で逃げたのかも?なんて考えていた。

そして突然明かされる「排水口」
ここで三度目の「こんちくしょーーー!!!」が出た。
そんなの分かるか。新事実だわ。というか、排水口に狙って飛び込むにしてもあの高さから飛び込んで無事な程水深があるのか?本当に?まあ、列車を再連結するよりは簡単か…?

動機については、正直、シャチと思想が対立していたんじゃないか?ぐらいにしか考えていなかったが、まさかの銀行強盗。
「しょうもねーーー!!!」と叫んだ。2章の後の事件がこれで大丈夫か?町中を巻き込んだだけのしょうもない事件はこうもあっさりと終わった。
何か他に、今後に響く謎が噛んでいて、実はこの3章が重要な何かを秘めているのかもしれないと最後まで信じていたが、一切そんなことはなかった。
窮地のユーマをハララさんとデスヒコを始めとした探偵事務所メンバーが助けに来てくれたところで大興奮したので、よしとしよう。

4章

まさか、あの3章の後にこんな話が来るなんて思ってもみなかった。ダンガンロンパシリーズにおいて「5章」というのは大きな転機、重要キャラクターによる大掛かりで切ない話が用意されているものだが、レインコードの4章はまさにそれに当たるものだろう。

ついにカナイ区最大の秘密に迫るユーマは、最終手段としてマコトを頼る。
ユーザーからすれば、そんな敵の中心に突っ込みにいくことは何もいいことないよ、と止めたくもなったが、やむなく突入することに。

アマテラス社に入ると、そこは新羅ビルだった。
大興奮で暫くビルを眺めていたが、マコトについていくことに。横暴な博士や可愛いロボに癒されていると、あっさり拘束されるユーマ。言わんこっちゃない…と溜息をついていると、所長とデスヒコが助けてくれた。いつだって二人はヒーローです。

可愛い音が沢山するアマたんを操作して、博士の無事を確かめることに。この時、音が可愛くて全部の音をずっとかき鳴らしていた。その音を所長が聞いていたとすると、よく笑いを堪えてくれたなと思う。もちろん、所長にとっては笑うような状況ではなかったのだが…。

愉快な音を鳴らしながら、1度だけパネルをミスして先に進む。謎迷宮で何度も所長が電撃を浴びているようなスチルがあったが、スムーズに進んだ多くのユーザーは「自分じゃなくてデスヒコのせいです!」と思ったことだろう。

最後、アマたんパンチを繰り出して開くドアが、あまりに死角すぎて、この瞬間「ここで誰か侵入したな」と思った。ただこの時点では犯人の目星はついておらず、毒ガスを回避する策がない為侵入タイミングしか分からなかった。

誰かに倒されたアマたんに映る博士の死体。また密室か。レインコードのトリックの8割は密室で出来ている。
まあ殺されるのは博士だよね、なんて楽観的に見ていたら、外で刺されているヤコウを発見。この時点で、一度コントローラーを投げた。まさかここまで来てヤコウ探偵事務所から死人が出るなんて。0章以降探偵が死ぬことがなかったので、レインコードはもう探偵は死なないんだ!なんて考えていた。甘かった。逆に、ここまで探偵の死が無かったからこそ、すごく辛かった。

保安部の手から隠れつつ、ヤコウ所長に心臓マッサージをし続けてくれるハララさん。この後調査して謎迷宮に行って、もう助からないと分かっていてもマッサージを続けてくれていたハララさんの人間味が、とても好きだった。

ここまで登場シーンの多くなかったヴィヴィアが、満を持して相棒に。能力共有で幽体離脱をすると魂がうじゃうじゃ居て、5回は触れて死んだ。他の人の感想で理解したが、この魂は死者の魂で、「空白の一週間事件」で亡くなった人たちがとてつもない数この研究所に亡霊として残ったままだとしたら、かなりグロテスクな絵面だ。

正直、ここではまだ犯人を特定していなかったので、言葉は遠回しに、行動は鬼気迫る様子で調査を邪魔してくるヴィヴィアは相棒として信頼するよりも恐怖と得体の知れない存在だと思っていた。
ただ、ヴィヴィアは犯人を知った上で「居心地の良い場」と「信頼できる人たち」で出来た居場所を奪われたくなかっただけだった。後から探偵たちの語らいで知ったが、「兄弟が沢山いたから怒られる行為でも構ってくれるのが嬉しかった」と話すヴィヴィアにとって、ヤコウ探偵事務所で狭い中で騒がしく、かつ構ってくれる環境はとても大切な場所だったんだ。と知れて、大変よかった。

謎迷宮に入る前に「誰かの死体を身代わりにして逃亡しようとしているな」と勘づいたこと、所長がいたところに隠された写真を見て、少なくとも犯人を特定してしまった瞬間、こんなに先に進みたくないと思うことが2回もあるのか?とライターの心を疑った。ありがとうございます。

毒ガスを浴びて、刺されて、それを前提に探偵たちの能力を信頼して、計画を練って…私たちの知るヤコウ・フーリオは確かに彼の本質だけれど、それ以上のものがあったのだ。まだ特典は読めていないが、きっとそこに触れるものが前日譚なのだろう。

全てが終わったあと、仲間たちの泣く声を聞きながら、暫く呆然としていた。

5章

例の如く、何の心の整理も付かないまま、気付けばレインコードはバイオハザートになっていた。

急展開すぎて干渉に浸っている場合でもなくなった。日本の古き良き田舎、真っ暗な村、溢れるゾンビ。急に何ゲー?どこぞの民俗学者の降霊術を思い出す。

どうやら、これまで死んだはずの人たちがゾンビになっているらしい。なんだこれは。突然突拍子もないゲームになって、混乱が続く。

誘われるまま工場へ。どう見ても怪しい。無人なのに意味ありげなアナウンスまで流れている。
そして、突然現れる仲間の服と血。
いやいやいやいやいやいや。そう言いながら一度コントローラーを投げた。
ヤコウ所長の件があったからといって、それはない。なんで?これまで一緒だった仲間が何の理由もなく突然現れたゾンビに殺されるの?いやいやいや。
暫く呆然としていた為、せっかく調べてくれたらしい手紙の内容も全然頭に入ってこなかった。
しかもいつもユーマを助けてくれたマイメンが一番手だったからこそ、あまりのショックに頭が真っ白だった。

そこから立て続けに出てくる仲間の服と血に、さすがに何かの間違いだ、そういうパラレルワールドですよ、みたいなV3展開でしょ。ぐらいには思っていた。

仲間が死んでいないと思ったのは血の色の件から、「仲間の血がピンクなはずがない」と確信を得られた。そして今思ってみると、「マコトはフブキさんがド天然なのに超探偵能力で最後の方まで生き残ったのかも、って言ってたってことはデスヒコは真っ先に死ぬだろうと考えたんだ」と面白くなった。よく探偵たちのことを見ているんだな。恐らくその最悪の状況になったら、仲間を守る為に体を張りがちなデスヒコが先に死んでしまうんだろうな。

工場の中で、ジルチと再会する。結構なボリュームをプレイしているせいで、すごく懐かしく感じた。そういえばジルチはヨミー様の手先だったな、とこの時思い出した。そして、本物のジルチには結局会えないままなことが、少し寂しくもあった。
0章で殺された探偵たちは保安部に処理されてるだろうし、ホムンクルスでもないので肉まんにされてしまったのだと思うと、悔しくてならない。

探偵たちの残してくれたメモや「無人の工場で肉まんを作っている」という時点で全てを察してしまったが、改めて他から死体を密輸して肉まんにして堂々と人に食わせていると思うと、かなり絶望した。
絶望もしたし、ユーマと同じく吐き気もしたし、ゲームのレーティングを確認した。Dだった。正直Dでも足りていないぐらいだ。まさか、V3の更に上をいくとは。

街の皆が美味しく食べてる肉まんが、人の肉…。ユーマたちも食べてたし、それを知って普通に過ごせなんて無理がある。すべてが終わったあとに「街の皆は肉まんを食べなくなった」なんてあっさりと終わらせられていたが、実際吐き気が止まらない人だって居ただろう。まあ、このレインコードの結末が、「ホムンクルスとして生きていく覚悟」という前向きな決断で締めくくられる為、この件についても「気持ちが悪くても、そうしなければ生きていけなかった自分たちを守ってくれたもの」として頑張って受け入れたのかな、と理解した。

欠陥ホムンクルス、博士やマコトのこと。知れば知るほど、全部の手がかりが1本の線になっていく。ここでは調べるたびに「なるほどね」と呟いていた。内容は相変わらずグロテスクだが、謎が1つになっていく快感が気持ちよくて、読み進む手は止まらなかった。

謎迷宮に入る前に訪れた、廃墟と化した銭湯。ここまで不気味なものも中々ない。
人工的に作り出された雨、晴れると倒れたクルミ、現れるマコト…。すべてが繋がって、最後の謎迷宮へと二人は歩き始めた。

謎は大方繋がっていたのですんなり進めたが、「カナイ区の住人の肉体的な異常さ」と言われて、本当に分からなかった。
そんなもの、あったか?思いつかない。「血が○○○」血が??
嫌な予感がする。死に神ちゃんの樽を見る。しろ、など色の選択肢が何個か見える。
思わず「小高ァ!!!!」と叫んで一旦pauseした。
血がピンクなのが可笑しいって!!そりゃそうだ!!可笑しいのはユーマではなくユーザーだったってか!!そりゃそうだ!!

レインコードの多くのユーザーはダンガンロンパのユーザーで、ダンガンロンパでは特に何の説明もなく血がピンクだったから「レインコードの死体の血がピンクである」なんてことに1ミリも疑いが無かった。
そりゃ血がピンクなのは可笑しいよ。でもそんなゲーム的なメタを、ここで覆されるなんて。
これがレインコード。ダンガンロンパチームが、プレイヤーを信じて作ったトリック。
負けた。騙された。面白い。ここで、強くそう思った。

それから、マコトがナンバーワンのホムンクルスであることは明白だったが、マコトがユーマのホムンクルスだとも思っていたからこそ、その2つがどうしても両立しなかった。「でもユーマがナンバーワンなわけがない」とも思っていたからだ。

正直、ここまでラーメン屋の件を適当に聞いていて、「本物のユーマ・ココヘッドは誰?」と聞かれても本当に分からなかった。なんでこの変な顔の人ここにいるんだろう、でも消去法でこの人しか居ないんだけど。ぐらいに思っていた。

まさか、ユーマがナンバーワンでパッとしない地味なラーメン屋が…本物のユーマ・ココヘッド…?いまだに半信半疑である。
メタ的であるが、本物のユーマ・ココヘッドが何かしら偽名で生きていかない限りユーマ・ココヘッドという同姓同名が存在することになってしまうし、仲間もユーザーもユーマのことはユーマと呼ぶだろう。ラーメン屋はそれをどう思うのだろうか。既に名を捨てているのかもしれないけれど、自分がそれまで生きてきた名前をナンバーワンに貸したまま、それが本物のユーマ・ココヘッドかのように生きていくのは中々、心が痛む話である。

それはそれとして、ユーマもユーマだ。ナンバーワン?この、彼が?死に神ちゃんに引き摺られて人の為に泣いて正義に溢れた真っ直ぐな彼が…?未だに半信半疑である。
でも、死に神ちゃんと契約した過去映像に出てくるナンバーワンは、どっしりとした態度、落ち着いた声、芯のある意思がある。これは、ナンバーワンさんだ…。そう理解した。
それにしたって、身体は小さく顔は女装も似合うぐらい可愛いが…。

そして、マコト・カグツチ。顔は似ていると言われれば似ているが、瓜二つという程だろうか?髪のせいか、眉毛のせいか。もしかしたらユーマと比べているせいでそう思うのかもしれない。ナンバーワンとしての彼とは、見間違うほどに似ているのだろう。

最終局面、すべてを公にするか、闇に葬り去るのかを決めることになる。もちろん、謎迷宮を壊す方を選択したが、結果的にマコトの行動を信じることに。
だが、ここで綺麗に終わるゲームではなかった。
死に神ちゃんとの別れがこんなに辛いものだとは、思いもしなかった。一緒に頑張ってきたこともすべて忘れてしまうなんて。しかも、こんなに構って貰いたがりで、寂しがりやで、甘えん坊な死に神ちゃんが、また一人になってしまうなんて。
ゲームを始めた時は思いもしなかった。

そうして、カナイ区は新しい日常を迎えていた。
あんな残酷な真実からは考えれられないぐらいのハッピーエンドに向かおうとしていた。これがこの世界で生きる人々の強さなのかもしれない。
少なくとも、ユーザーからしても、一番前向きになれる終わり方だろう。
ただ、ホムンクルスとして生きるみんなが、本当に外の世界でも頑張れば普通の人のように暮らしていけるのか、何か事件が起きてしまうのではないか。それは、余計な心配だろうか。

生きていた探偵たちは、全員所長に礼を言って去っていく。「必ずコインを拾いに戻る」というハララさんがコインを置いていくなんて、あまりに粋だ。

外の世界へ旅立つクルミと、世界から未解決事件を無くすと言って、世界探偵機構を辞めて日和で旅をするユ…ナンバーワン。

クルミとユーマ、死に神ちゃんとナンバーワン。
二人の再会が、ユーザーとレインコードというゲームの再会になることを願って。


#超探偵事件簿レインコード #レインコード #ゲーム感想


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?