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ニュルンベルク州立劇場『エウゲニー・オネーギン』雑感

幕間と終了後にメモ代わりに勢いで書いたものです!チェックが甘いのと、内容の批判が多いです!



先に結論を言うと、-1000000点でした。今回の舞台。
内訳は、第一幕:90点、第二幕:90点、第三幕:-1000180点です。


開演前・第一幕


休憩2幕と3幕の間なんだ。新国と違うね
てか字幕の出し方も違うね、逐語訳じゃなくて、ざっくりこんなこと言ってますみたいな要約程度のものというか


なんか最初に文字出てる
おばさんが舞台上歩いてる、黒子なのだろうか。
え、始まってもいる、そういう演出?!
なんかおばさん、初手の姉妹が遊んだりしてるとこで色々舞台を見て回っている、木の棒を置いてメイドを転けさせたりしてる、すな!
なんか、新国のオネーギンの決闘介添人を思い出す感じだな

大道具の家の上にスペースがあり、野生動物の上に『人生において大切なものとは?』みたいな事が書かれた映像が投影されている。
作品のテーマに肉薄してますね。

お母さん、「習慣は天からの贈り物」のくだりで手をジャムで真っ赤(手ずから剥いてたからそらそう)にしててビビる、エプロンで拭いてたけど、跡が血みたいでこわい。

オリガ、ターニャの本を茂みに投げるのはやりすぎだろ、いじめ?

農民がめっちゃ出てきた、40人はいる、おばさんもその中に紛れて観察してる
なんか、ロシアぽくないな、ドイツの農村感ある。ドイツ人でやってるからかな?



農民のダンスだっせーー!!!!!そういう演出と露骨にわかる。社交ダンスなどでなく、素人の創作ダンスみたいなのをやっている。オネーギンが飽き飽きしてる農民の生活を如実に表してるっぽいな
収穫して貴族に納めたっぽい食べ物とか食ってるし、めっちゃ食い方汚い。


オネーギン出てきた!なんか、猟師すぎる。毛皮のベストだし、腰からウサギ下げてるし、村の生活楽しんでない????てか、体格良すぎる、レンスキーよりがっしりしてるし、なんか、人生に悩みそうにないし、鬱病とかにならなそうな顔や、こいつなら村でやってけますよ

レンスキーは反対に神経質に見える。

手紙の場だ、寝てるのを表してるのかもだけど、村人が舞台装置の外で項垂れてるの怖すぎね。(朝になった!の下で起きたから多分そう)
てか、手紙の場で、タチアーナが後悔してるあたりで雑巾掛けされてたのなんなんですか?

手紙の場、手紙ほぼ書かなくて草、そもそもおばさんペンくれなかったし、タチアーナ枕破って羽毛散らした中から羽根ペン見つけて、日記?本?を破って手紙書くし
ずっとペン持って葛藤、最後に一気に描き始める。皿割らなかったな

手紙書くとこで後ろのマップに小説版の手紙の内容と鳥の羽ばたきが出てた、冒頭のタチアーナが恋に落ちた事を話すシーンでも出てたからタチアーナの恋のメタファーなんだろうな
羽毛だけが舞台に残されて鳥が飛んだ後みたいだった

ここで気づいたけど、舞台の完全暗転がない、大抵小道具や大道具を動かしてる時におばさんがなんかやってる、この人繋ぎ要員なんだ

オネーギンがタチアーナを咎めるシーン
あ、オネーギンが花束持ってきた、友人としてなら仲良くするよ、で渡して歌いながら近くの花積んで渡して、花探しながら退場
そういうやつか?田舎に適応しすぎじゃないか?タチアーナは号泣、心配するおばさんに花束を投げつけて退場。

第二幕


名前の祝い
やっぱり、ダンスダサい……(二回目)これはオネーギンさんもレンスキーに腹いせしようと思いますわ。
あーあ、オネーギンが意趣返しからダサダンスしている、うーん

トリケがお祝いをしている間、タチアーナは座椅子に寝そべっている。座椅子後ろにはカーテンの幕があり、そこにオネーギン小説版の森の中の夢の話が投影される。(ドイツ語訳で)一通り話が投影されるとクマが出てくる。オネーギンはつまらなそうにトリケの歌を聴いている。

オリガとばかり踊るオネーギンにブチギレするレンスキー、オネーギンに塩?をかけ、グラスをぶち割る。グラスって消え物なんだ。

レンスキーのアリアの間、オネーギンは後方で時間が経つのを待っている。あえてゆっくりきたのがわかりやすい演出やね。

やっぱおばさん、オネーギンの決闘介添人かい!
オネーギンは決闘やりたくなさが露骨に出ている、なんなら自分のこめかみに銃を当てるポーズまでするし、準備もしてないが、レンスキーがやる気なのを見て、ちゃんと決闘をする。

2幕はおばさんの叫びで終了


レンスキーと決闘するのが決まったくらいからオネーギンが鬱々としだした気がする、あれ?演技なんすか?あれ


休憩時間はプレッツェルを買い、早食いをしつつメモを取って終了。時間なさすぎ!


第三幕


(98%批判しかない)


は???????????第3幕、なに????打ち切り????それとも全部嫌になった????今年の10月プレミアしたんだよね?

冷静になります、冷静に全部を振り返ります。
まず、舞台上手には現代ドイツのディスコホールの入り口みたいな扉と落書きされた壁が出てきます。壁にはネオンがあり、победа(勝利?)って書いてあります。落書きは扉にあって、Hel?とか書いてあります。
下手にはドイツのよくあるバス停(プラの壁で覆われてるベンチがあるやつ)があり、よくある感じで時刻表などが貼られてます。
そして、ギラギラのチューブトップに腕と首周りにファーのついた短いコートを着た女性たちが何人か出てきて踊ってます。(バブル期の服装っぽい)そして、オネーギン3幕の舞踏会の音楽が流れています。

?????????????????????

オネーギンも出てきます。癖毛の茶髪から一転して、黒髪オールバックでサングラスをしていて、黒いコートを着ています。ヤンキーみたいになってる。この時点でもう帰宅の2文字がチラついてました。バイロイトのタンホイザーやワルキューレとかで現代的アレンジが流行ってるとは知ってたのですが、実際見ると、私からは「原作の破壊」としか思えず、本当にがっかりしました。

貴族社会と政治体制へのオネーギンの葛藤や彼がタチアーナに惚れた理由である「完璧な公爵夫人の振る舞い」、公爵夫人としてのタチアーナ、結婚相手の公爵、当時のロシアの閉塞感、原作が描き出してる当時と登場人物全てを虚仮にするような演出としか思えません……。

そして、スーツケースを持って、迷彩柄のスーツを着た公爵と、真っ赤なタイトなドレスを着たタチアーナが出てきます。

それで3幕の進行通りに物語は進んでいきます。理想的な公爵夫人だったタチアーナは「ディスコクラブの女王様」程度に、オネーギンは「飛行機で簡単に旅行できる時代に自分探しの旅に出たダルい20代」になっていましたが。

字幕もカスです。「俺が昔フったタチアーナがあんな美人に?!」くらいのニュアンスになってました。

タチアーナの部屋に行くオネーギンは、酔っ払って帰ろうとするタチアーナをバス停前で引き止めて長話する形になってます。
タチアーナが拒絶したところでライティングが変わり、血のような赤で描かれたнетが出てきて謎の落書きがнетだったと判明するのは驚きでした。驚きだけです。нет войнеなんですかね。

てか、文だけを見てると、タチアーナは自分の行為を省みるのでなく、オネーギンが冷たくフった事を強調してますね。

途中からおばさんも出てきます。ウルトラライトダウンみたいなやつを着てました。
おばさんはタチアーナの味方で、彼女を不幸にするオネーギンをレンスキーの決闘で使った銃で撃とうとします。しかし、彼女は撃てないまま終わります。ラノベぽく解釈すると物語の強制力に負ける主人公みたいですね。

「幸せはすぐそばにあったんだ」というセリフはそもそもあまり納得してないですが、今回の改変(笑)だと本当に一時のノリで別れた事を後悔する大学生カップルみたいな、軽い言葉にしか聞こえませんね。

音楽は良かったです。第3幕は目を瞑りさえすればまあ良かったですね。

前半の一二幕である程度丁寧にオネーギンを解釈して積み上げたものを三幕でぶち壊されて虚無になりました。
てか、帝政ロシアの閉塞感と今のロシアの閉塞感をリンクさせたいなら舞台をちゃんとロシアにするべきだった。ドイツ人にとっては(東ドイツもあるし)ドイツも十分「東」なのだろうけど、独裁もされてない現在のドイツじゃあ意味が軽くなりませんか?ここ西ドイツのニュルンベルクだし……。
一階席スタンディングオベーションゼロだったのがウケを物語ってますよ。第三幕始まった時ざわついてたし……。

なんか、終わった後全部嫌になって駅まで走りました、無意味に。

一幕と二幕が普通に完成度高かったため余計にダメージを受けています。作品のメッセージと魅力を100%出し切れてないのに上からさらにメッセージ性を付け足すの、普通に総合的な完成度落ちるのでやめた方がいいですよの気持ち。

そりゃ、ロシアのウクライナ侵攻を支持してる訳ではないし、一刻も早く終わるべきと思ってますが、それはそれとして先人に敬意も払わずに名前だけを利用して自己満足の政治活動をして作品を汚すのはやめて欲しいです。


はぁ、オペラの現代アレンジ(笑)ムーブおわんないかな……普通のオペラに飽きたなら、オペラを壊すんじゃなくてオペラ以外の芸術見なよ。それか現代オペラとかの分野で住み分けしてよ……。


追記:ハンドブック斜め読みしたのですが、タイムマシーンについての解説(言い訳)が一切なくてビビっている。怖い。なにか恐ろしい国に来てしまったのかもしれない。


追記2: 演劇学を学んでるドイツ人と話す機会があったので少し聞いてみたけど、

・時代設定自体をガラッと変える改変は、ドイツではもはやよくある感じになってきている

ニュルンベルク州立劇場がそもそもそういう奇抜な演出をしがちらしい(比較的歴史が浅い劇場だから…?)

・やっぱりドイツ内でも賛否両論ある

・同じ演目を何回も見て見飽きてる人のために奇抜な演出で新鮮みを持たせてる

・あと今でもオペラには社交場としての立ち位置がまあまあ強く、演目より「どこに座ってるか、誰と見てるか」のが気にされる

(確かにみんな綺麗な服で誰かと一緒にきてたし、見切れ席の位置にめっちゃ豪華な席あった(下:参考写真))

中央にシャンデリア付きの個室席があるのが見える

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