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おっさんだけど、仕事辞めて北海道でチャリ旅するよ\(^o^)/ Vol,17 恐怖

2024 0722 Mon
 
自分の思う “常識” とか “普通” を逸脱する不愉快な出来事が起こったとき、人は怒りを感じます。
たとえば、人で込み合う帰宅時の駅構内。もっと具体的な設定にしましょう。お盆休みが終わったばかりの月曜日の深夜23時半。東京は新宿駅の中央線。乗車率は250%で、北斗の拳のトキ状態みたいにパンパンの車内。その発車間際に、赤ら顔のおっさんが無理やり乗車しようと、乗車口にギリ乗っかっているあなたに汗まみれの身体を押し付けてくるのです。車掌さんの制止を無視し、あなたに身体をしこたま押し付け、しかもおっさんはあなたを睨みながらこう言うのです。
「おまえ、もっと奥に行けや!」
これに腹を立てないというのは、なかなかの試練です。並の神経の持ち主ならば、
「もう一度言ってみろ!(ナンチャン風に)」
となってしまうでしょう。

厚岸町をくさすつもりはまったくありません。厚岸町のキャンプ場が常軌を逸して蚊が多かったという事実を言いたいだけなのです。ちなみに、この写真のラーメンは、何の変哲もないにもかかわらずメチャクチャ旨かったナイスワン。魚貝の炊き込みご飯と合わせて、この北海道チャリ旅で最高の昼飯でした。お店のお母さんもお姐さんも楽しい人でしたしね。厚岸町の『一福』です。


ですが、自分の思う “常識” とか “普通” をメチャクチャに逸脱する不愉快な出来事が起こったとき、人は怒りを通り越して、恐怖を感じます。たとえば、上記と同じ状況で、あなたに汗まみれの身体を押し付けたおっさんがこう言うのです。
「あんたホントはこういうのが好きなんだろ?」
はっきり言って、これは恐怖です。自分の身を守るために暴力も辞さない、くらいの恐怖を感じるでしょう。

達古武湖のこのキャンプ場は、良かったですね。wi-fiあり、売店あり、室内テーブルあり、シャワーあり。しかも虫かなり少なめ。虫の多い少ないって、なにがどう関係しているのでしょうか?


 
まぎれもない事実だから、地名を書きます。北海道は厚岸のキャンプ場の話です。
チェックインしようとしたとき、先客が居たので、事務所の外で待っていました。3分くらいでしょうか、その間に、これまで見たこともないくらいデカい蚊が寄ってきました。1匹、2匹、3匹…。
“まあまあまあまあ…”
夏に蚊が湧くのは当たり前。しかもわたしはチャリ漕ぎ。人一倍体温が高いし、人一倍汗をかいているのです。
チェックインの時におじさんに聞いてみました。
「あれ、外にいるデカい蚊って刺すんですか?」
「刺すよ」
にべもない答え。なぜか入国審査並みに「どこから来てどこに行くのか?」と入国審査官並みの態度で問われ、料金を払い、型にハマった規則の説明を長々と聞かされて、ようやくわたしは解放されました。
“まあまあまあまあ…”
先にフリーサイトに入ったビッグスクーター乗りが、なぜか芝生の上を右往左往しているのを見るでもなく眺めながら、わたしはまったく冷静でした。
“経験不足、もしくは能力不足ゆえのアレやから、あのおっさんの場合…”

シカでさえ入水するこの異常な暑さ。地元の方々も口をそろえて「今年は異常」。地元の方々はこうも言います。「でも、これから毎年この異常な暑さが続くかも…?」


そして、フリーサイトの芝生にチャリを乗り入れた瞬間です。半パンを履いたわたしの脚に、あのデカい蚊が寄ってきたのです。3匹、5匹、10匹…。
「なんだワレら!?」
一瞬で20匹以上の蚊に集られ、我知らずわたしは叫びました。バッグを開け、慌てて長ズボンに履き替えます。その間にも、蚊がガンガンズンズングイグイ集ってくるのです。
堪らず、芝生を飛び出しました。速足でチャリを押して歩いても、蚊の大群がわたしを追ってきます。ふと前を見遣ると、さっき芝生を右往左往していたビッグスクーター乗りが、蚊の大群から避難しようと速足で歩いていました。迷わず声を掛けます。
「蚊、ヤバいっすか?」
「ヤバいっす!」
そのままチャリに飛び乗り、わたしはキャンプ場をあとにしました。返金などは放っておきました。もしまたあのおっさんと対峙した場合、いまのわたしなら良くないことが起きることは火を見るより明らかだったからです。

もう一度言いますよ、厚岸町をどうこう言うつもりはないですからね。わたしが言いたいのは、厚岸町のキャンプ場に、夢でうなされるくらい異常な量の蚊が湧いていたということだけです。


ひとまず冷静に対策を練ろうと、厚岸町の銭湯に寄りました。1975年生まれのわたしでも経験したことのないような良くも悪くもマジレトロな銭湯。味わい深い湯をいただいたあと、番台のお姐さんに尋ねてみました。
「そう、この町自体もともと蚊が多いんだけど、今年は特に多いわね」
やっぱり…!
「キャンプ場なんて大変でしょう、蚊で」
そうそう、まさにそうなんですよ。
「わたしらだって、夕方とか外に出たら慌ててクルマに乗るもの」
…マジっすか?
お客のおじさんも交えて蚊の話をしていると、さっきのビッグスクーター乗りが銭湯にやってきました。なんと、あの蚊の大群のなか、テントを設置したというのです。
「あそこに泊まるんですか? …オレは道の駅に泊まりますわ」
そう言うと、スクーターの青年は
「その手がありましたね…」
と残念がりました。
「これから夕方にかけて、さらに蚊が増えますよ」
冷酷にそう告げると、鳥肌を立てながら青年はこう言いました。
「…夢に出てきますね」

こんな虫が寄ってくるなら楽しいんですけどね。でも、いくらクワガタでも、一瞬で30匹以上に身体の周りをブンブン飛び回られたら恐慌をきたしますよ、絶対!


オフィシャルには宿泊禁止である厚岸町の道の駅。しかしながら車中泊のメッカであるとの情報を聞きつけ、申し訳ないながらもわたしはテントを広げさせていただいたのですが…。夜、夜中、明け方、そこはまさしくカオスでした。
19時に道の駅の営業が終わるので、20時前にこっそり戻ってみると…。そこには、夕方から居るであろうキャンピングカー共が平然とそのまま居座り…。ジジイ3人がアコギをアンプにつないで『ヘイ・ジュード』を熱唱したりと、やりたい放題。夜中もひっきりなしにクルマが往来し、アイドリングし放題、歓談し放題。子供が騒ぐのはまだしも、明け方4時半からNHK FMを爆音でかけるジジイはどうしたものかと…。
本当に怖ろしい空間でした。しかも、車中泊しているのはほとんどが老人。おっさんではなく老人でした。
どうなってるんだ、日本! 怖すぎるぞ、おい!

キャンプはキャンプ場ですべき! だって、北海道にはこんなにも素晴らしいキャンプ場がたくさんあるのですから! ここ霧多布キャンプ場なんてタダでしたよ。いやカネ払わせてくれよ!

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