おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 66 感謝
キルギス
2023.0919 Tue
『I want to stay this hostel. You have a dormitory?』
『How much I pay one night?』
『And tell me the Wi-Fi number, please.』
海外にパックパッカーとして飛び出してから早3カ月半。こんな感じで、わたしはいままで安宿にチェックインしていました。これが当たり前だと思っていました。
でも、これからは違います。
『Do you have the Wi-Fi number?』
『Oh, it’s very helpful! Thanks a lot! And tell me the Wi-Fi number, please.』
Wi-Fi番号教えてよ! そう無邪気に聞いていた過去の自分に、心の中のケンシロウが警告します。
“おまえなんか勘違いしてるんじゃないのか?”
Wi-Fiがあって当たり前。それは大きな間違いです!
金を出せばなんでもかんでもOK! そんなコンビニエンスな世界って、意外とそんなに広くないのです。
はっきり言いますよ。世の中って、金以外の重要なものがたくさんあります。金で買えないものがいくらでもあるのです。
わたしはそれを知っています。なぜなら、パミールハイウェイをチャリで走ったから…。
“MAPS ME” でいくら確認しても、宿泊施設が廃業しているときがあるのです。食堂が閉まっているときは仕方ないのです。食料雑貨店が影もカタチもないときだってあるのです。
夕方、人っ子一人いない、彼方の山肌にもヤギさえ見つけられない道路を独り、ホームステイ先を探してチャリを走らせます。寒風が吹き始めた道路には、乗用車やトラックはおろか動物の影さえ見当たりません。
すっぽり被ったフードの隙間から寒々しい風が吹き込み、絶望的な気分に心も視界も狭くなってきた頃、1件の建物が視界に浮かび上がります。
“期待するな…!”
わたしの心が叫びます。こういう場合、期待は禁物です。期待のすぐ裏には絶望があるからです。
ここはパミール高原、標高4000mの世界です。チャリの荷台に積んだテントと寝袋、それらは中華製の三流品、いや四流品であり、真夏の現在でも標高3000mが限界です。もしあの建物が空き家で戸締りが厳重だった場合、わたしは次の宿泊予定地までチャリを走らせなければならない。もしあの建物が単なる民家で宿泊を断られた場合…。
建物から出てきた人物に、わたしは自分が怪しいものでないこと、日本人ツーリストであることを伝えます。
「今夜、ここに泊まらせていただくことは可能でしょうか?」
Yesの場合、まずは礼から始まります。宿泊金額を確認するのは後回し! 『ここに泊まることができてどんなに助かるか』を相手に伝えます。そして次に、夕食と朝食を用意していただくことができるか、それを確認します。そのあとにようやく宿泊金額の話です。シャワー? あるわけないでしょう。Wi-Fi? なんですか、それは?
今日、2023年9月19日、わたしは無事、キルギスの首都ビシュケクに到着することができました。日本語の話せるスタッフとコミュニケーションをとり、温かいホットシャワーを浴び、清潔なトイレを使用し、そしてWi-Fiを使ってPCからネット接続することもできています。そのうえ宿から歩いて3分の売店に、なんとビールまで売っているのです。
これって、当たり前ではないのですよ! めちゃくちゃに恵まれているのです!
“ありがたい”という言葉は漢字で“有り難い”と書きます。
“快適な世界”は、当たり前ではないのです。そして“快適な世界”を得るために払う金を稼げることは、当たり前ではないのです。
夜、安心して眠りにつき、朝、体力の回復とともに目覚め、そして健康的に腹が空いている。これって、当たり前のことではないのです。とんでもなく有り難いことなのです。
さあ、声に出して感謝しましょう。
『有り難てえ! 有り難てえ!』