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【ポケカAdvent Calendar2024 8日目】さよならレギュレーションFブロック~10枚のポケモンで振り返る2年間~

前置き

こんばんは。この記事は、いちょーさんの「ポケカアドベントカレンダー」という企画の参加者として寄稿させていただいたものです。

概要は下のリンクからご確認ください。

25日も続けてポケカの記事が読める、心躍る企画です。僕自身も昨年に続いて参加させていただきます。
どれも素敵な記事に仕上がっていると思いますので、ぜひ他の参加者の方の記事もチェックしてみてくださいね。

ごあいさつ

広島を中心にポケモンカードを遊んでいるささみと申します。
主にシティリーグ等のジャッジとして活動していたり、時折大会に参加していたりしますので、見かけた折には声をかけてもらえると嬉しいです。

早いもので、2024年もあと20日と少しになりました。来年1月24日には「バトルパートナーズ」が発売され、いよいよポケモンカードゲームはレギュレーションHブロックに突入します。それと同時に、レギュレーションFブロックはスタンダードレギュレーションの範囲から外れることになるでしょう(恐らくCL大阪で公式発表があるのではないかと思っています)。

今回の記事では、筆者が独自に選んだ10枚のポケモンを起点にして、レギュレーションFブロックと歩んできた2年間を振り返りたいと思います。いろいろとツッコミどころ(このカードが入ってないのはおかしい!や僕はこのデッキにこのカードは入れてませんでしたetc...)はあると思いますが、全て筆者個人の感想ということで飲み込んでいただければと思います。


本文

① アルセウスVSTAR

起源にして頂点。

主な実績:CL2022愛知(優勝)、PWCS2022(優勝・準優勝)など

まず最初に取り上げたいのは、レギュレーションFブロック最初の拡張パック、『スターバース』のパッケージを飾った『アルセウスVSTAR』です。最初に登場したVSTARポケモンであり、その後多くのVSTARポケモンが登場する中でも第一線で活躍し続けたポケモンです。

色拘束がなく、ポケモンVであればどのポケモンにでも加速ができるわざと、種類の拘束なく山札の全てのカードにアクセスできる特性は多くのポケモンVの相棒として非常に優れており、登場当時はアルセウスと組んでいればなんでもデッキに見えたほどでした。

余談ですが、このカードの登場によって『アルセウス&ディアルガ&パルキアGX』のアルティメットレイはアルセウスがひとりで担当していたことが判明しました。

『うらこうさく』の特性を持つインテレオンと合わせてメインアタッカーとして起用され、ピンポイントサーチを駆使した器用なデッキとしてCL2022愛知で優勝した他、環境への回答札を詰め込んだバレットのエンジンとして起用され世界チャンピオンにも輝くなど、まさに神の力に相応しい実力を示してきた『アルセウスVSTAR』。第3・5・6・7期ポケカ四天王のシマダダイチ選手がPWCS2022で準優勝した際に手にしていたカードとして記憶されている方も多いのではないでしょうか。まさにレギュレーションFブロックを代表する1枚であることは疑いの余地がありません。

② かがやくゲッコウガ

誰とでも寝る忍者。汚いなさすが忍者きたない…

主な実績:省略

次に取り上げるのは『かがやくゲッコウガ』。強化拡張パック『バトルリージョン』から収録された新しい枠組みであるかがやくポケモンの第1弾として収録された3種のポケモンの1匹であり、デッキに1枚しか入れることのできないかがやくポケモンの枠において常にトップシェアを獲得してきたポケモンでもあります。あまりの汎用性の高さに、再録がかかるまでの間の異常な高騰ぶりが記憶に残っている方もいらっしゃるでしょう。

アルセウスVSTARと同じく特性・わざともに高水準であり、『クイックボール』や『ネストボール』、『カイ』からアクセスして毎ターンドローが期待できるカードとして、あるいは『オリジンパルキアVSTAR』や『ミラージュゲート』でエネルギーを加速して強力なベンチ狙撃を実現できるカードとして、多種多様なデッキで採用されて活躍しました。デッキ構築時点でこのカードの存在と『マナフィ』で読み合った経験は、多くのプレイヤーにあるのではないでしょうか。CL2023横浜の決勝戦で勝負を分けるげっこうしゅりけんを放った他、CL2024札幌の決勝戦ではかくしふだで勝負を決する2枚を揃えてみせるなど、ここぞの場面での決定打を放つ勝負強い1枚という印象も強いです。

レギュレーションから外れる間際の現在でもドローソースとして採用しているデッキは多く、このカードがなくなった後のドロー基盤を思うと頭が痛いのは僕だけではないはずです。

③ オリジンパルキアVSTAR

意外にも無冠の帝王のまま引退しそうです。

主な実績:PJCS2022(準優勝)など

次に取り上げるのは、拡張パック『スペースジャグラー』収録、ソードシールドレギュレーションの環境の中心であり続けた『オリジンパルキアVSTAR』。色拘束はやや重いものの、260ダメージまで伸ばせる打点に加えて相手にベンチの管理を強要するわざと、トラッシュからエネルギーを一気に加速する強力な特性を持ったポケモンです。

レギュレーションEブロックで、似たようなわざである『ブリザードロンド』を持ったスイクンが幅広い活躍を見せた中、V進化ポケモンとはいえさらに強化された打点と耐久を持ったパルキアの強さには疑いの余地がなく、券面の発表時には「このカード、本当にこのテキストで収録されるのか?」と思った記憶があります。

前述した『かがやくゲッコウガ』や『インテレオン』と組み合わせたデッキは抜群の安定感を誇り、多くのプレイヤーから愛されました。意外にもCL以上の規模の大会で優勝したことはありませんが、PJCS2022では第6期ポケカ四天王のササキヒロム選手が使用して準優勝に輝いた他、PWCS2022でも環境の中心として存在し、優勝したアルセウスデッキは『そらをとぶピカチュウVMAX』や『サンダース(S4)』でオリジンパルキアに対して徹底的にメタを張ったデッキであったことからもこのポケモンの影響力がいかに大きかったかをうかがうことができます。

先攻での制圧力の高さや特性の強力さなど、筆者個人的にもかなり好きなポケモンでしたが、算数が苦手な筆者にとっては何度も打点計算をしなければならない煩雑さを持ったカードでもありました。

④ レジギガス

豪快なテキストで多くの愛好家を生みました。

主な実績:PJCS2022(優勝)、CL2023京都(優勝)など

次に取り上げるのは拡張パック『タイムゲイザー』収録、ユニークかつ強力な特性と豪快なわざで多くの愛好家を生んだ『レジギガス』。場にレジ系のポケモンを5匹揃えるという決して平易でない条件が付されている代わりに無類のエネルギー加速特性を持ち、それぞれのレジ系ポケモンでわざを使い分けられる器用さも持ち合わせたポケモンです。

当初はそのハードルの高さと構築単位での拘束の厳しさからいわゆる地雷系デッキと目されていたように記憶していますが、第6期ポケカ四天王のヤマノタケル選手がPJCS2022で使用して優勝し、そのポテンシャルの高さを見せつけました。レギュレーションFブロックで、非ルールのポケモンを主軸としたアーキタイプでCLを複数回優勝しているのは『レジギガス』だけであることが、その強さが唯一無二であることの証左でしょう。

『ゼロの大空洞』が収録されてからはベンチが広がったため、レジ系以外のポケモンへのエネルギー加速も可能になって再注目されるなど、レギュレーションから外れる間際まで話題に事欠かないカードでもありました。

⑤ カビゴン

多くの議論を巻き起こした『問題児』でもあります。

主な実績:CL2024福岡(ベスト4)など

次に取り上げるのは、強化拡張パック『ポケモンGO』に収録された『カビゴン』です。ここまで取り上げてきたポケモンたちと違って大型大会で目立った(準優勝以上の)実績を残したポケモンではありませんが、レギュレーションFブロックを振り返る上で避けて通れないポケモンだと考えています。

古くは旧裏から存在する『とおせんぼ』の特性を持った『カビゴン』。逃げることができないというのは、ゲームスピードが早いうえに攻める側が有利に立つことが多いポケモンカードの特性上非常に有効に働く場面も多く、このロックを抜ける手段を搭載していないデッキは実質的に何もできないまま山札切れを待つことになるため、いわゆる相手を『詰ませる』ことに特化した『カビゴン』を主軸に据えたデッキは常に一定数環境に存在し、時に批判の対象ともなりました。

個人的には、環境的に適したタイミングで持ち込む『カビゴン』は非常に通りがよく好みでもありましたが、使う側にも使われる側にもマナーという名の枷がかかってしまう点は明確に悪だとも感じており、今後こういった特性のカードにはより慎重になってほしいなとも思っています。

⑥ ギラティナVSTAR

過去にも例を見ないほど美しくシナジーしたテーマだったと思っています。

主な実績:CL2023横浜(優勝)など

次に取り上げるのは拡張パック『ロストアビス』収録、他の神たちから少し遅れて登場した反骨の王、『ギラティナVSTAR』。ロストゾーンを利用する新たなテーマの筆頭として登場し、その強力なわざと豊富なサポートカードで多くのプレイヤーに愛用されました。

すべてのVSTARポケモンを一撃で気絶に追い込むことができる『ロストインパクト』と、厳しい条件付きではあるもののデメリットなしで相手のバトルポケモンを気絶させることができる『スターレクイエム』の2種のわざを持ち、耐久も280と高くさらに弱点を持たない『ギラティナVSTAR』は強力なアタッカーであり、自身が特性を持たないことから『頂への雪道』を強く使うことができたことも追い風で、主にロストゾーンのカードの枚数が増えてきた中盤以降から徐々にゲームを掌握していくロストギラティナデッキはレギュレーションEFGブロックで隆盛しました。また、『マキシマムベルト』の登場以降は『リザードンex』を一撃で気絶させることができるポケモンとしても注目されました。

CLで優勝したのは登場後間もないCL2023横浜の1回のみですが、その後は『アルセウスVSTAR』と組んでCL2024福岡で上位に入賞するなど息の長い活躍を見せ、多くのプレイヤーに好まれたポケモンでした。

⑦ ヤミラミ

個人的にはFレギュレーション1の問題児かなと思っています。

主な実績:CL2023横浜(準優勝)など

次に取り上げるのは、『ギラティナVSTAR』と同じく拡張パック『ロストアビス』収録、その凶悪なわざでロストギミックを一躍トップティアに押し上げた『ヤミラミ』です。

このポケモンは強力な特性を持っているわけではありませんが、その唯一無二のわざの性能で環境を席巻しました。厳しい条件付きではあるものの、「非ルールのポケモン」が「たった1エネルギー」で「12個ものダメカン」を「好きなように」置くことができる『ロストマイン』は凶悪そのもので、当時非ルールたねポケモンの主流であったHP60を根こそぎ刈り取っていき、再設置すら許さず枯らしてしまう展開もよく見る光景でした。

入れ替え系のカードを多投して『ヤミラミ』と『かがやくリザードン』を何度も押し付けていくおとくん考案のロストバレットがCL2023横浜で準優勝して以降、多くの型が生まれたロストバレットで常に器用なアタッカーとして活躍し、『ジラーチ』が登場するまでは実質対策不可能ともいえるほどのパワーを誇った『ヤミラミ』。可愛らしいイラストがトラウマになってしまった人も少なくないのではないでしょうか。

⑧ ロトムV

収録から時間を経て評価されました。

主な実績:省略

次に取り上げるのは、前の2匹と同じく拡張パック『ロストアビス』収録、『ロトムV』です。ここまで取り上げてきたポケモンたちとは少し違った理由で、レギュレーションが進んでから評価を上げたポケモンでもあります。

特性の『そくせきじゅうでん』は、使用すると番が終わってしまうものの3枚ドローすることができ、置きドロソとして非常に優秀です。また、ポケモンVであることから『森の封印石』をつけることもでき、『ペパー』と『森の封印石』で必要パーツを揃えるピジョリザのポケモンV枠としてLAICをきっかけに認知され、以降2進化デッキの基盤として多くのデッキに採用されました。

当初はそれほど評価されていなかったカードが環境の変遷とともに評価されていくのも、カードゲームの面白さだと感じます。

⑨ レジドラゴVSTAR

先攻制圧の権化のようなポケモンでした。

主な実績:CL2025東京(ベスト4)など

次に取り上げるのは拡張パック『パラダイムトリガ―』収録、最強のコピー忍者ドラゴンこと『レジドラゴVSTAR』です。わざの特性上当然といえば当然なのですが、このポケモンも、ドラゴンタイプに強力なポケモンの収録が増え、かつ最高の相棒を手に入れたレギュレーション後半に一気に勢力を伸ばしました。

『オーガポンみどりのめんex』の登場で色拘束の厳しいわざのエネルギー供給問題をクリアし、『ドラパルトex』と『キュレム(SV6a)』を獲得してからは2ターン目の強力な二択を相手に迫ることができるようになり、苛烈な先攻制圧力を手に入れました。

遅咲きだったこともあり、CL以上の規模の大会ではCL2025東京のベスト4が最高成績ですが、『エネルギーつけかえ』や『レガシースター』を絡めたブン回っている時の展開力・制圧力は他を圧倒し、シティリーグ等でも大活躍しました。CL大阪2025では最後の雄姿を見ることができるでしょうか。

⑩ ルギアVSTAR

???「結構上手く作れたかなと」

主な実績:CL2024福岡(優勝)、PJCS2024(優勝)など

最後に取り上げるのはもちろんこのポケモン、拡張パック『パラダイムトリガー』収録、『ルギアVSTAR』です。『アーケオス(S12)』との強力なデザイナーズコンボで、登場から現在に至るまで常に一定のシェアを誇り、結果を出してきました。

『ルギアVSTAR』の真価は、本体の性能もさることながらその凶悪な特性で『アーケオス』をベンチに直接展開し、比類のないエネルギー加速性能で様々なアタッカーを瞬時に育成してぶつけることができる部分にあります。登場以降、『ムーランドV』『ライコウ(S3a)』『イベルタル(S4a)』『カビゴン(S12)』『テツノカイナex』『チラーミィ(SV5K)』等々、数多くのポケモンと手を組んで破壊の限りを尽くしてきました。

登場して以来初の大型大会であるCL2023京都で準優勝して以降、2度の優勝を含む幾度にも渡る上位入賞を果たしており、いかにそのパワーがすさまじいかを物語っています。このポケモンの登場以降の特殊エネルギーは、常にこのポケモンと『アーケオス』の存在を念頭に置いて作られていたことでしょう。個人的には相性の悪いポケモンでしたが、いざスタンダードから外れるとなると寂しいような…いややっぱり早くいなくなってほしい。

まとめと終わりに

今回は10枚のポケモンとともに、レギュレーションFブロックの2年間を振り返ってきました。改めて振り返ると、Fブロックは「強力な特性を持ったポケモンが存在感を増した」レギュレーションだったように思います。
シティリーグで卓に付いてジャッジをしていたとき、お互いのプレイヤーがサポートをほとんど使用していないのに、いい動きでぶつかり合っていることにふと気が付いたことがありました。それほどに、特性が強力なレギュレーションだったということでしょう。

別れの寂しさがあれば、出会いの楽しみもあります。レギュレーションHブロックでは、一体どんなポケモンに会えるでしょうか。楽しみにしながら、残り少ないFブロックのポケモンとの日々を楽しみたいと思います。

それではまた、何かの機会にお会いしましょう。

2024年12月8日 ささみ



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