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「似てるって言われませんか」を飲み込んだ話

今月も連続で投稿しませんか、の通知がnoteさんから来ていますが、体調崩したり身辺ごたついていたりであまり今書ける話もないかなぁ。。。
と思ってぐだぐだしていたところに思い出した件があるので、トライしてみようかと。

いつか書こうかなとぼんやり思ってはいたものの、ふわっとした話だし、あまりセンスよく書ける自信がなかったのです。意を決するほどのことでもないし、ただ事実だけベタ打ちしてもふーん、で終わるし。

そんなことでグルグルしても自分の中でハードル上がるだけなので、ふつうに書きます。本当に「なーんだ」で終わる話です、悪しからず。

まだ子が乳児の頃なので5年以上は前、夫が気を遣って、というより自分の遠出(アウトドアスポーツ好き)と引き換えに、なのですが、たまには一人で遠出してきたら、と半ば無理やり?週末の1日を与えられたので、少し考えた挙句、京都弾丸日帰りを決行しました。

午後に現地で所用もあり、その前にどこか観光?と考えていて、そうだあそこ、と唐突に思いついたのが、養源院。

テレビでたまたま所蔵の俵屋宗達の杉戸絵を紹介していて、白象図の実物を見たいと思っていたところで。
未だに生没年不明で記録が殆どないという正体不明な作者の、杉戸一杯にどーんと描かれた、圧がすごい象。無性に惹かれて気になってしょうがなかったのです。

ここからどう転んで表題の話が出てくるんだと思われるでしょうが、もう少しご辛抱を。

当日午後の予定に間に合う必要があったので、頑張って早起きして、早朝の新幹線で午前早めに京都駅着。この辺りの記憶が曖昧で、恐らく遅い朝食をカフェかどこかでとったと思われる??のだが写真残っておらず。当時、育休復帰直後数か月で、相当疲労困憊の毎日だったはずだが、疲れた体に鞭打って無理やり這って出てきたと思われます。

その日は確か変わりやすい天気で、いざ養源院、と思ったところで雨が降り出し、そして何故あの場所??か最早思い出せない道すがらでバスのあてもなく、止む無くタクシーを拾いました。

どちらに参りましょうか、と聞かれて即答で養源院お願いします、と答えたところ、運転手さん思いがけずハイテンションで(以下、朧気に覚えている会話を再現)

運:珍しいお客さんですなぁ!!養源院でっか???

き:(ややビビり気味)は、はい。。そそそんなに珍しいですか???

運:そらそうですわ、ワシら毎日清水寺だの金閣寺だの、同じようなところばーっかり回ってうんざりなんですわ。養源院さん???なんでまた??

き:最近テレビで俵屋宗達の絵を紹介してて。実物見たいんですよねー。あの、象の絵。

運:たわらやそうたつ!!!またなんでですか??

き:あのえも言われぬ迫力というか。。うまく言えないけど、引き込まれてしまって。すごい絵じゃないですか?

運: そんなこと言わはるお客さん、逢うたことないですわ。そら嬉しいですなあ!!ってはい、養源院さん、着きましたよ^^。

ここまでものの10分程度、弾丸トークに圧倒されているうちにあっという間に連れて行ってくれました。
その間何度も何度も、養源院て!と連呼していて、そんなに珍しかったのかとこちらも段々可笑しくなってきて。

京都人の盛大ないけず???と途中で不安になりましたが、とりあえず喜んでいる様子??だったので、ほっとしつつ。運転手さんのテンションに煽られる一方、途中から気になって仕方なかったことがあって。。

声もしゃべり方も、土井先生(お料理の)にそっくりだったんです。
これ実は先生が運転してて、ドッキリ番組の覆面ロケじゃないよな??とそわそわするぐらいに似ていて、何度も

「・・似てるって言われませんか・・・?」

の言葉を飲み込み、結局言えずじまい。もしかすると似てると言われるので一芸的にものまねを仕込んでたりするのかな、と思ったり。

色々情報量多すぎの10分間でお顔もワンチャン似てたら、と確認する暇もなく、ふわっふわの頭のまま降車したのが残念です。

肝心の養源院は大充実で、来てよかったなと思える場所でした。
雨雲で薄暗い建物の中で見る宗達の杉戸絵、襖絵、そして血天井も。

血天井は手形などはっきり残っていて生々しさの極みである一方、不思議と怖いという感情が湧かず、絵とともにこの形でここに残っていることに、毒気を抜かれる気すらしました。魔界人だからかな。思いの外ドロドロしたものはなくて、静まり返っていた。

書いていたらまた行きたくなってきました。前回は秋だったので、また別の季節に訪問してみたい。

それにしても、あの運転手さん一体何者だったんだろう。。。

紅葉がまだ残ってて綺麗だった境内

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