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#映画感想文 「夢売るふたり」 結婚詐欺を繰り返す阿部サダヲの魅力がすごい 

この映画面白かった。

新しい子料理店をオープンした夫婦(松たか子、阿部サダオ)が、火事で早々に店を失う。目的を失いそうになる。そんななかでも健気にがんばる妻、松たか子。
ラーメン屋で働き、また、お金をためる松たか子。阿部サダオは、こだわりが多く、外で板前をしてもうまくいかず、どんどん、酒浸りになり松たか子のラーメン屋で昼なら飲んだくれる。
そんなおり、 阿部サダオが彼らの店の常連客(鈴木砂羽)にばったり会う。その日、鈴木砂羽は、不倫相手の弟(香川照之)から手切れ金100万円をたたきつけられて大酒飲んでいてた。鈴木砂羽は泥酔し、駅で終電のがし、阿部サダオといっしょになって、介抱をうけ、関係を持つ。阿部サダオにその手切れ金をいらないといって渡す。
それをきっかけに、この夫婦は、結婚詐欺をして、新しい店の開店資金を調達しようとする。阿部サダオが結婚詐欺ができるのか?というのが不思議なんだけれど、これが案外ありうる。
この映画の松たか子がすごい。阿部サダオが浮気をしてもどってきて100万円を持って帰ったら、すぐにわかって、腹を立てて100万円燃やしてしまう。食パンをむしゃむしゃ食べる姿が鬼気迫る。そして、夫の阿部サダオに結婚詐欺をさせるように仕向けていく。
阿部サダオが、巨漢のウエイトリフティング選手とうまくいきそうになると、やっぱりかわいそうと思って、ひきかえそうとする。それをみて阿部サダオは、「そんなふうに思う、お前のほうが怖い」といって、ふたりはどんどん、心が離れていく。
そして、美しいシングルマザーの木村多江にあって、阿部サダオはどんどんひかれていってしまう。 夫がどんどん離れていくことがわかる松たか子はどんどんおかしくなる。
この詐欺にあう女たちがみんな面白い。まったくお金がないのに、売春してお金を渡そうとする風俗嬢を演じるのが安藤玉恵。そして、そのヒモの真っ黒な男を演じるのが、なんと伊勢谷友介というすごい豪華キャストです。鈴木砂羽にお金を渡す不倫相手の弟が香川照之だし。
この映画は西川美和第4作目ということで、本当にすべての作品が素晴らしい質です。
「蛇イチゴ」、「ゆれる」、「ディアドクター」の次がこれですが、本当、すごい監督です。女性だから女性の描き方がうまいんだけれど、男性も容赦なく描くところが女性なんだけれど、うまいなと思う。
日本映画の懐のすごさを思うね。