映画「愛と喝采の日々」 Turning Point バレエ好きにはたまらない名作
この映画は77年で、10部門のアカデミー賞ノミネートされたのに、無冠に終わるという信じられない結果となりました。この年は、「アニー・ホール」が受賞。「アニー・ホール」を見てないひとからすれば、とんでもない番狂わせだと思うのですが、「アニー・ホール」はまごうことなき傑作なので、この受賞は正しい。
しかし、この「愛と喝采の日々」、間違いなくこの年でノミネートでなければ、たくさん受賞していたと思う。
わたしも、子供のころからバレエを習いたいのに、母にだめといわれて、なぜと思った。この映画をみていたら、絶対バレエをやっていたとおもう。
もう、ぼけて施設にはいっている母に聞いたら「バレエはブルジョアの習い事でお金がかかるから絶対だめとおもっていた」ということでした。
残念。母がもう少し理解があれば、わたしはもっとバレエがうまくなっていたと思う。
ディディとエマの対照的なふたり。
妊娠をしてバレエを捨てて家庭をもってオクラホマでバレエ教室を経営しているディディがシャリー マクレーン。家庭をもたずにバレエ人生をまっしぐらのエマをアン バンクフロスト。このアン バンクロフトが素晴らしい。憧れの女性です。
ふたりが再会するくらいから、なんか、とげとげしい。
ディディは妊娠したときに子供を選ぶか、バレエを選ぶかで悩んでいたときに、子供を失うと夫も失うといわれてバレエ人生をあきらめる。
ライバルからいわれた言葉に対して、そのアドバイスに従い、子供をうんだとことをくやんでいる。
そんなディディがすむオクラホマにエマのAmerican Balltet Theatreのツアーがきてふたりは再会。ディディの娘エミリアは、彼女のバレエスクールでバレエをやっていて、美しく成長した彼女はエマにみそめられてNYCからのツアーに参加するということでNYCにやってくる。
NYCへ娘をひとりでやることが不安でディディは娘とともにNYCにやってきてなんとカーネギーホールに住む。羨ましい。NYCでも生活がとてもすごい。ロシアンティールーム。。。わたしもいったけどいったときはすでにしまっていた。。
バシシニコフがすごくチャーミング。
NYCで再会した元コーチの家に居候生活をしているディディとみんなで朝食をとっているときにバリシニコフ演じるユーリを「彼はベスト。アメリカでも最高」というと「彼はロシア人でしょ?」という言葉。
また、オクラホマでもディディの家で開かれたバーティでバレエにまったく興味のない次女がホストとしていろいろケータリングをしていてその席でABTの代表の女がバーカウンターにすわって、「やっと最高峰のバレエ団ができた」という彼女に、次女は「それはアメリカでということでしょ? 」って冷たい言葉。アメリカのバレエ団は尊敬されていない。。ABTはバリシニコフ、バランシンなどがきてかわった。。
ABTもこの頃が一番よかったのでは?なんといってもバリシニコフがいたわけだし。。
アメリカは偉大なる他者。
それは音楽など、色々な意味でもかわらない。。。
この映画は、バレエの醍醐味がつまっているけど、やはり核心をついているのは、人生を描いているということ。友情を描いていること、青春の浅はかさ、そして、輝きを描いていること。
ディディの娘、レスリー ブラウンが演じている。輝くばかりの美しさ、可愛らしさ、いじらしさ、頑固さがあって、それが母のディディ、エマからすると眩しい。
でも、さらに人生を歩んで、悔いがないわといっているエマとディディのふたりはもっと美しい。
ひとはみんな誰かが妬ましく、自分はつまらない人間、なんて、無駄なことをしていたのかと否定したくなるけど、それはそうじゃないと思わせてくれる。。でも、がんばってきたエマ、ディディだからできること。
あと、ふたりとも才能があったということも重要。
バレエは才能が左右する。。
天性のものが左右するから。
ヌレエフはだれよりも努力したといわれるけど、怪物なみの運動神経があったらしい。
努力できるのも才能。なによりもとりつかれたようにその道をいけるというのが、また、才能なんだわと思った。