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ドラマ「オードリー」 時を経て、改めて傑作だと思う

この朝ドラは、実際に放映されていたときは私は観てなかった。あまり、話題にもならなかったような気がしている。
大石静にしては変と思ったのと、長島一茂??と思ったのかな。あと人生で一番、働いていた時期だったので朝ドラを観るなんて余裕はまったくなかった。
どういう話なのかなとも思った。
再放送を第1週から見て、最初から違和感を感じていた。
なんといっても、血の繋がりのない女が勝手に知り合いの夫婦を自分の旅館のとなりに住まわせて、子どもが生まれたら勝手に連れていって自分の子どものように育てるという設定に無理があると思った。
大石静は御茶ノ水の有名な旅館の娘で生まれたときに祖母が猫可愛がりし、母から引き離してまるで自分の子どものように育てたという自分の逸話を下敷きに作られているんだなと思ったけど、このドラマの大竹しのぶ演じる滝乃の行動は異常でまったく理解できなかった。
アメリカで生まれた日系人の父で戦争で日本にきた父と戦争孤児になった母の間で生まれた佐々木美月。どういうことなのか、わからないのですが、この両親が父がなかよくしている京都の老舗旅館を営む大竹しのぶ演じる滝乃の旅館の離れに住み始めて子どもが生まれるとこの滝乃はこの子を自分の子のように可愛がり、旅館につれていってしまい自分の子どものように育て始めます。
最初の頃はこの大竹しのぶの行動が嘘すぎて、まったく感情移入ができなかった。それを許している主人公 佐々木美月の両親(段田安則、賀来千香子)の心情もまったく理解できなかった。
そんなこんなで京都 太秦の近くの老舗旅館で育った主人公美月は映画村に出入りするようになって映画の現場が大好きになり、スターに可愛がれたりして、ひょんなことから、子役で映画デビュー。
大竹しのぶ演じる滝乃からはそんなヤクザみたいな稼業のひとたちとの付き合いは禁じるとか言われつつもスタジオに入り浸り、映画の魅力に取り憑かれ、高校卒業とともに大部屋女優になり映画界に入っていきます。大部屋俳優たちにいじめられたり、色々な思いをしながらも映画人になっていくと筋書きです。

まず、大部屋俳優の切られ役の錠島尚弥を演じた長嶋一茂がきちんとした俳優であったことが驚きでした。。。
錠島との恋など中盤の軸になっているけど、朝ドラとは思えないくらい激しい感情のぶつかり合いで、朝からこんな濃厚なドラマをやっていたのかと最初の頃に感じた違和感をさておき、話にのめり込んでいきました。

さすがに大石静なので、最後の最後まで事件が続き、物事が2,3転して、テーマはどんどん変わっていきます。美月の入った大京映画は映画の斜陽とともに傾きはじめ、TVにどんどん押されていくようになり、大京映画は倒産の憂き目に会う。そして、父親は失踪。といつも失踪する段田安則であった。

ふたりの母、家族とは、自分の道を生きるとか、生まれとは、そして映画とTVとは、家族の形も変わって、新しい家族、そして友情という在り方を考えると新しい視点がたくさんあった見応えのあるドラマだったと思います。

まず、第一に日本映画、時代劇とは?という視点で日本映画界の栄光と衰退を描いたことが私はとても、面白く見入った。彼女は、最後は35ミリのフィルムを回す、映画監督になるわけですが35ミリ回すというのは本当に大変なことです。

だれひとり、脇役はいない全員が主人公というコピーにあるようにすべての配役がきちんと意味をもってその役を生き続けていたのもとてもよかったなと思います。

そして、奇しくも今年、真田広之がエミー賞を将軍で受賞。日本の時代劇をつくるつづけてきた諸先輩へ感謝を述べてました。
日本映画はすごかった。黒澤明、溝口健二、成瀬巳喜男、、、
日本の映画人へのオマージュとして、映画が好きな私にとっては忘れられない作品となりました。