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NHKドラマ 小津安二郎の遺作「青春放課後」見事な最後。偉大な日本の監督
偉大なる日本の映画監督、小津安二郎を思う。彼の遺作「青春放課後」についての感想記録。
これは、NHKのテレビドラマでした。このドラマを取り終えて、小津はがんのため、この世を去ります。
なんと、1963年でした。
■脚本:小津安二郎、里見惇
■出演:
佐々木千鶴 - 小林千登勢
長谷川一郎 - 佐田啓二
緒方あや子 - 杉村春子
山口信吉 - 宮口精二
金子三枝子 - 環三千世
山口ふみ - 三宅邦子
緒方省三 - 北竜二
佐々木せい - 西口紀代子
三枝子の夫 - 高橋幸治
京子 - 稲野和子
ローガン - マイク・ダニーン
料亭の女将 - 藤代佳子
バーのマダム - 南美江
■音楽:斎藤高順
■演出:畑中庸生
■製作、放映:1963年、NHK。88分、白黒。同年3月21日放送
この主役の小林千登勢があんまり好きじゃない。わたしからするとワイドショーのレポーターのイメージが強いのですが、このかた、大人気女優だったということです。
京都の小料理屋の娘で母とふたりで暮らしている小林千登勢。かわいいけど、ちょっと婚期の逃した感。父親の若い頃の友達の教授と実業家にかわいがれて、好きに暮らしている。そんな彼女が東京にいって、佐田けいじに恋ごころを持つけれど、、玉砕。自分の父親はもしかして、この父の友達じゃないのかと疑問をもって暮らす。そして、そのおじさまの妻も小林千登勢は夫の子供じゃないかと思いつつ、やさしく接する。
こういう日本人が昔はいたんだなと思う。
昔のほうが自由で色気がある生活していたのかも。
そして、若さにかまけて、それが終わったことに気づく。それが青春放課後なんです。
だれもいない運動場。若さとはなんのか、青春の終わりに気づいてとたんに小林千登勢は憂鬱になります。恋心をいだいた佐田啓二には、実は、恋人がいて、結婚しそう。この時代からいい男はもう、だれかのものなんです。
佐田啓二は、本当にいい男です。如才のなさ、小林千登勢にふりまわされてうんざりしているけど、やさしい。
小林千登勢は、今通じるまずい美人を演じているかも。かわいい、かわいいといわれて甘いそぶりで男をふりまわしている。えらい迷惑。
そんな女を容赦なくえがく小津安二郎は、フェミニストではないかも。
案外、女性にうんざりしていて、そのために結婚しなかったのかも。偉いマザコンで母親とずーと暮らしていて、「ばあさん」っていって慕っていたことは有名です。
すごい美人女優に冷たかったらしいから、、案外、女性が嫌いなのかも。
女性にあんまり、美化せず、等身大をえがいていたかもしれません。
遺作まですごいひとでした。