#映画感想文 「僕達急行 A 列車で行こう」 早すぎる死 死ぬ直前まで現役の森田芳光監督
日本映画監督の話を書いてきたので、大好きな森田芳光の遺作の感想を記す。
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2011年12月20日 急性肝不全でなくなった森田芳光の遺作。
あまりにも突然の死、61歳でした。やはり、「家族ゲーム」が有名でしょうか。なんともいえない間がある監督で、褒めすぎかもしれませんが、小津安二郎のような風格がありました。その影響が高いのが、この遺作では?と思います。カットのつなぎなどが小津らしいです。基本、作風というのがあまりなく、いろいろなことができる監督というイメージがあります。東京都渋谷の出身で子役だったというから、おもしろいですね。
わたしは、HALという映画が好きだったな。椿三十郎もよかったです。
映画の作り方に、力みがなく、非常にクレバーな監督というイメージです。あまり、苦しみながら、作品をつくるという感じではありませんでした。なので、長く、このまま、自分のペースで創作をつづけるのかと思いきや、突然の死にびっくりです。2011年の12月になくなり、最後の作品の公開が12年ということは死ぬ直前まで 現役だったということで幸せな監督人生ではないかと思いますが、この遺作は監督のオリジナル脚本で構想、30年ということなので、本当に映画をつくることの大変さを思い知ります。
そして、この映画、本当にほんわかといいです。
あらすじ (wikiより引用)
「のぞみ地所」の会社員小町圭(松山ケンイチ)と「コダマ鉄工所」で働く小玉健太(瑛太)は互いに「鉄道が好き」という共通の趣味をもつ友人同士。ふとしたきっかけで出会った二人は早速意気投合し、鉄道趣味に花を咲かせる。
(wiki 引用終わり)
そして、九州に転勤になった小町を追って小玉が九州に遊びにくるところで大手食料品工場の誘致に挑む小町が鉄道の旅を通して、鉄オタ同志で意気投合し、仕事も恋もうまくいっちゃうというラブコメディでもあります。(雑な紹介ですみません)。
松山ケンイチがいいです。このダサいけど、もてる不動産の社員というのが彼らしい。セリフまわしが、小津っぽい。ちょっと、無責任男っぽい感じもします。ださい髪形とランニングするのに、ハイソックスはいているところがリアルです。こういうひといますよね。松山ケンイチは自分をかっこよく見せたいとかという気持ちが皆無なところがすごいひとだと思います。エゴがない。自分をなくしてしまうところが偉大な俳優だと思います。いったん演技にはいったら、自分がどう見えるかと、どうでもいいんでしょうね。ハンサムだからできるんじゃないかと思います。
その反面、瑛太はなにを演じてもかっこいいかも。これも稀有な役者ですね。
まじめな鉄道ファンのふたりのふれあい。鉄道ファンといっても松山ケンイチ演じる小町は、音楽と車窓から見える風景が好きという鉄道ファン。 瑛太演じる小玉は、鉄道の車両の鉄が好きというオタクです。
かっこいいのに、ふたりとも女性の気持ちがまったくわからない。だから、もてずにふられてばっかりという、肉食の女性からはもってこいのかわいい草食男子です。
松山ケンイチのよくいそうなキモイ若者の演じ方が圧巻でみいってしまいました。完全なる猫顔。スタイルもいいのに、ださいスーツと髪形で、休日のファッションも肩掛けポシェットみたいな今どき、こんなのしているひといるんだというとっぽさがひかってます。本当、松山ケンイチ、偉大すぎる。
脇も松阪慶子、ピエール瀧、伊武雅刀などがかためて、さすが森田監督。
これが最後なんて、信じられない。
ひとの命はわからないです。同世代の偉大な監督、根岸吉太郎が心配です。
どうしているか、根岸吉太郎って思ってます。
森田監督の素晴らしい映画の数々を胸に合掌。