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劇場版ウマ娘『新時代の扉』がちょっと楽しくなるかもしれない競馬話

スペシャルウィークが日本ダービーを勝利したちょうど1ヶ月前、

ジャングルポケットが生まれた。


2歳

伝説の幕開け

それから2年
黄金世代の一角、キングヘイローが高松宮記念を不屈の勝利
テイエムオペラオーが前馬未到のグランドスラムを達成した2000年

伝説の新馬戦
のちに重賞レベルともいわれたそのレースで
ジャングルポケットがデビューを飾った
メジロベイリータガノテイオーを下し1着
ここからジャングルポケットの競走が始まった

つづく札幌3歳Sでもその勢いは衰えを知らず
タガノテイオーテイエムオーシャン相手にレコード勝利

邂逅

快進撃のジャングルポケット
前2走をレコードで勝ったクロフネ
新馬戦驚異の3ハロン33.8のアグネスタキオン
ついに激突したラジオたんぱ杯
三強対決と予想されるも、結果はタキオンの圧勝
あまりの強さにこの時点で三冠確実ともいわれた

一方
2歳王者を決める朝日杯
10番人気のメジロベイリーが制した
1番人気タガノテイオーは骨折しながらも2着
そのまま引退してしまうも強さを見せつけた

そしてこれがメジロ牧場最後のGI勝利となる
自家製産馬にこだわり続けたメジロ
その最後のGI馬は父サンデーサイレンスと、
まさに時代の移り変わりを象徴した

2歳女王となったのはテイエムオーシャン
その後、桜花賞と秋華賞の牝馬二冠に輝いた

3歳クラシック

年が替わりクラシック路線を占う、弥生賞
タキオンが出走すると聞き、回避をする馬が次々と
わずか8頭立てのレースとなった
アグネスタキオンの圧勝
5馬身差だった
天才、貴公子、どの形容も足りなかった
5着までサンデーサイレンス産駒
そこにはマンハッタンカフェの姿もあった

皐月賞

ジャングルポケットアグネスタキオンの2強対決
1番人気のタキオンは1.3倍
3番人気のダンツフレームは16.8倍
それはトニービン産駒とサンデーサイレンス産駒の頂上決戦だった
しかし、蓋を開けるとまたもやタキオン圧勝
無敗のまま一冠目を手にした

超高速の輝き
それがどこまでも続くと誰もが思っていた
屈腱炎
それがタキオンを若すぎる引退に追い込んだ
三冠間違いなしといわれた
サンデーサイレンスの最高傑作といわれた

その名馬が、わずか四度の戦いで神話となった

東京優駿(日本ダービー)

タキオン不在の日本ダービー
1番人気のジャングルポケットには負けられない理由があった
タキオンと同じく幻の三冠馬と呼ばれたフジキセキ
そのフジキセキと騎手、調教師、担当厩務員、馬主が同じジャンポケ
タキオンには二度負け、さらには幻の三冠馬ともてはやされている
ここにはいないのに
絶対勝ちたかった

2番人気はクロフネ
彼にも負けられない理由があった
同じくタキオンに苦汁を飲まされ、
NHKマイルCを勝利し日本ダービーの挑戦権を得た
黒船来航、芦毛の外国産馬クロフネ
実は、日本ダービーが初めて外国産馬にも開放された年だった
エルコンドルパサーが出走叶わなかった日本ダービー、
過去幾頭の外国産馬の思いを背負っていた

3番人気は皐月賞2着のダンツフレーム

三強対決
直線一気、勝利を掴んだのはジャングルポケットだった

最強の称号を手に入れるのは、最後まで立ち続けたものだ
「うおおおぉおーーー!!」
喝采を浴びながら、彼は、空を裂くように咆哮した

菊花賞

夏の上がり馬
夏季開催のレースで力をつけた馬のこと
メジロマックイーンをはじめ数々の名馬が夏に鍛えて秋競馬を勝利している

クラシック最後の一冠、菊花賞
京都競馬場に一頭の夏の上がり馬がいた
エアエミネム
ジャンポケ、クロフネ、ダンツフレームを次々と負かし初のGI
クラシック戦線に名乗りをあげた

ジャングルポケットにとって
タキオンがいない今、クラシックは俺が主役

ダンツフレームにとって
皐月賞、日本ダービーともに2着の惜敗を喫し
今度こそは勝ちたい一戦

第4コーナー曲がって最終直線、馬群が膨らんだところで間隙を縫い
「エアエミネム差し切ってゴールイン!勝ったのはマンハッタンカフェ」

実況の言葉である。それほどまでに予想外の結果だった
マンハッタンカフェの勝利

もともと体が弱く、春は思うように走れなかった
そんな彼も夏に力をつけた一頭
父サンデーサイレンスと瓜二つの美しい青鹿毛に一筋の流星
産駒としては珍しいおとなしい性格は
内側の激しい想いの裏返し

最後の一冠を奪ったそれは、カフェにとって挑戦の始まりだった

古馬への挑戦

クラシック三冠を
アグネスタキオンジャングルポケットマンハッタンカフェ
が分け合い、次は古馬に挑戦することになった

はじめに名乗りをあげたのはクロフネ

ジャパンカップダート

黄金世代のダート路線で輝いたウイングアロー
チリ競馬、初のダート三冠馬となったリドパレス
を抑え、ダートに転向したクロフネが世界レコードで圧勝
芝とダート、真逆のレースでGIを獲得した

ジャパンカップ

翌日にはジャングルポケット
テイエムオペラオー
メイショウドトウナリタトップロードステイゴールド、トゥザヴィクトリーの並みいる強豪相手に勝利

有馬記念

一年の締めくくりの有馬記念では
テイエムオペラオーメイショウドトウナリタトップロード、トゥザヴィクトリー、テイエムオーシャンのそうそうたる顔ぶれが揃う中
マンハッタンカフェが勝利
世紀末覇王に引導を渡した

アグネスタキオンは幻の三冠馬?
それを否定するかのように彼がいなくなったレースを戦った

4歳古馬

天皇賞春

クロフネが屈腱炎で引退した2002年
天皇賞春、マンハッタンカフェには負けられない理由があった
前年の最優秀3歳牡馬に選ばれたのは
菊花と有馬を制したマンハッタンカフェではなかった

年度代表馬とともにその栄光を掴んだのは
ジャングルポケット

菊花賞で対決し、勝利した相手
そのジャングルポケットが天皇賞に出る
最強は自分だと証明するためには、もう一度勝つほかなかった

ここにナリタトップロードも加わり三強対決
三頭とも中団に睨み合うようにかたまった

第3コーナー、先に仕掛けたのはナリタトップロード
マンハッタンカフェはまだまつ
第4コーナー、外からはジャングルポケット
最終直線、前開けたところをマンハッタンカフェが抜けていく
奇しくも菊花賞と似た展開
しかし、なかなか距離を広げられない

ジャングルポケット
タキオン以外の奴に、二度も負けてたまるか!
必死に食らいついていく

ナリタトップロード
ジャンポケには阪神大賞典でJCの雪辱を晴らした
ここでカフェに年末の借りを返して先輩の意地を見せつけたい

三頭の想いが交差して
唯一無二の盾を手にしたのは

マンハッタンカフェ

名実ともに現役最強馬となった

黄金世代に負けない強さ

この世代の層が厚かったのは間違いない
クラシックでずっと後塵を拝したダンツフレーム
エアシャカールツルマルボーイを抑えて宝塚記念を勝利

短距離ではスプリンターズSと高松宮記念を制したビリーヴ

アイビスSD1000m直線のレコードホルダー
カルストンライトオの記録は未だに破られていない

海外に目を向けたら“天才”ガリレオもいたりする

凱旋門賞

マンハッタンカフェは凱旋門賞の出走を決定

あらたなステージへの挑戦であり
蛯名騎手にとってはエルコンドルパサーで成しえなかった夢
小島調教師にとってはサクラローレルで成しえなかった夢だった

しかし、結果は惨敗
レース後に屈腱炎とわかりそのまま引退

ジャングルポケットもその年の有馬記念を最後に故障のため引退

同期が次々と故障に見舞われる悲しい世代
世紀末覇王の時代を終わらせた彼らもまた
新世代の怪物
シンボリクリスエスファインモーションヒシミラクル
に飲み込まれていった


そして、この年はある一頭の馬が生まれた年でもある

その名は、ディープインパクト


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