【HiGH&LOW THE 戦国】拳が刀になるんだってよ!
ずっと楽しみにしていたHiGH&LOW THE戦国の舞台が開幕した。
https://www.high-low.jp/sp/stage/sengoku/
現時点での残り公演数はおよそ30。まだ折り返してもいないがとにかく感想を書いておかないとという昂りに任せて書き始めた。過去最速のスタートである。
しかしなんともまとめられず舞台そのもの以外の話も多いので、手っ取り早くキャストの感想だけを求めているお方は以下の目次から飛んでいただきたい。ちょっと今回込める思いが多すぎてどうにもこうにもだったので。
私のLDHの親はハイロー
感想の前に私とハイローについて語らせて欲しい。ただの身の上話なので興味が無ければ飛ばしてくれて構わない。
ある日、知人に誘われて映画館に行った。彼女の推しの山田裕貴さんが出ているというHiGH&LOW THE MOVIE2 END OF SKYという作品だった。
結構前から私のTLを賑やかしていたシリーズで、興味はあったがドラマや映画も複数あって今更追い難いなと感じていた作品だ。良い機会なので誘われるまま観に行った結果まんまとどハマりしてしまった。
過去作も一気に観て、個性豊かな人物や奇想天外なストーリーにハマると共に楽曲にもハマった。今までLDHの音楽に興味は無かったものの、元々EDMは好きだし新しく触れるHIPHOPも最高に好みだった。LDHのグループってみんな歌も上手いんだなと感心し、色んなグループの楽曲を聴き漁りMVも見まくった。
とにかくハイローの楽曲が好きだったので、ハイローの味を感じる力強く攻撃的な楽曲をひたすら求めていた。そんな私の要求に一番応えてくれたのがTHE RAMPAGEだったのだ。
THE RAMPAGEのボーカル達は3人とも歌が上手かったが、その中でも1人私の脳を突き抜けるような鮮烈な感動を与えてくれたボーカルがいた。それがRIKUさんである。
RIKUさんの歌声はピンと張った糸のように綺麗で、それでいて恐ろしくパワフルだった。少年のようなイノセントな声で力強く殴られる、初めての体験をした。
RIKUさんが歌うTHE RAMPAGEの楽曲をハイローの味がする!!と大喜びで聴き続けて今に至るのだ。ここで面白いのが当のご本人は過去ハイローにキャストとして一切出演していないということだが。
そんなRIKUさんがとうとうハイローに出演するという。しかも今回のハイローは舞台作品にして時は戦国。更に共演者にはあの宝塚の男役の方々が2人もいらっしゃる。想像もしなかった状況に驚きつつ、期待にはち切れそうになりながら開幕を待っていたのである。
かくして猛々しい法螺貝の音と共に戦国の幕は上がった。
いざ、修羅の頂へ。
HiGH&LOW THE戦国はちゃんとハイローの舞台か?
OPで立木さんの声がしたらそれはもうハイローだるォ!この時点で私の細けぇことはいいんだよゲージがMAXに振り切れた。振り切れはしたが舞台好きの心が油断するなと囁いて来る。ハイローとしてのハードルはガバガバでも舞台を舞台として観る心は揺るがないぞと。
ゲネ映像で見てなんでだよォ!と一気に不安にさせられたハンドマイクを持った三国のアタマ達の歌を改めて生で聴いて、この楽曲は最高にハイロー!!!と震えながらも警戒は怠らなかった。
そして訪れる尊武国のシーン。
私の推しRIKUさんの住まう国である。
鳴り響く槌の音、筋肉。真っ赤な炎、筋肉。ラップ、ダンス、筋肉。
RUG POUNDさんと翔平くんのLDH丸出しのパフォーマンスで「これは…正しくハイローです…」と危うく揺れそうな頭をしっかりと固定した。まだ尊武のお芝居観てないし…!
しかし追って登場したRIKUさんの歌唱で「ハイローでーす!!!!」の思考にどっぷり浸かってしまった。仕方がない、RIKUさんの歌にハイローを感じてLDH人生を歩んできたのだから。しかし私の推しは相変わらず本当に歌が上手い…。
尊武のシーンは総じて熱く、勢いに溢れていた。RIKUさんと翔平くんの声が強くデカいのでとにかく圧倒される。RIKUさんは過去の役達とは全く違う粗暴な玄武を演じることが本当に楽しそうで、活き活きとして見えた。その姿を見られただけで全チケット代の元が取れてしまった。今後観る回は全て実質タダである。
序章としてまず最初に須和国、次に尊武国、最後に乃伎国と各国の状況説明がされるのだが、この構成がなかなか上手い。
須和国はハイローオリジナルシリーズでいうところの山王連合会の空気に近く、置かれた環境やビジュアルはRUDE BOYZに寄っている。オリジナルシリーズのファンを一番意識した国だと思われる。役者を本業とするキャストが多い須和からのやや軽いタッチでの導入により舞台への信頼感やとっつき易さも増す。
そこから尊武国に移行することでLDHサウンドとダンスパフォーマンスのアピールをし、ハイローシリーズの楽曲面の強さを出す。
更に乃伎国に移行し、かつてハイローで一切描写されなかった純粋な美、宝塚の空気をお披露目する、と…。
見事な野菜、肉、甘味の登場順である。あまりにもベスト。須和は固定として尊武と乃伎の順が逆になったら違和感があっただろうなと思う。
綺麗な導入でそれぞれの国の特色を知り、違和感なく(違和感を気にしないことがハイロー作法である)世界に入り込めた。またキャストのお芝居が上手い…!
結論として、私の中でこれはちゃんとハイローの舞台であると認定された。
どうしてもマイクが
違和感を気にしないことがハイロー作法であるとは言え、どうしても気になる点が1つあった。そう、ハンドマイクである。
私が過去見たことがある舞台でハンドマイクを持っていたのは『メタルマクベス』だけである。あちらはメタルをテーマにした舞台で、衣装やメイク、マイクを含むプロップ全てのデザインがメタル調だった為全く違和感は無かった。
しかしこちらは戦国の世でキャストが突然マイクを持つ。その度に没入感が削がれる感覚がした。とは言えそれも徐々に気にならなくはなるのだが、最初から気にならない方が尚良くはないか。ハンドマイク無しで歌う湧水のシーンは全く違和感無く世界に入り込めたままだったのだから。
HiGH&LOW THE戦国はミュージカルとは明記されていない。総合エンターテイメントとだけ表されている。ミュージカルではないからミュージカル調の演出は宝塚のキャストの歌唱シーンのみに絞ったのだろう。
LDHが『総合エンターテイメント』というジャンルを確立するという意識を100%持った結果がマイクを持つことであればこの方向性もありだと思う。
しかしもし舞台に触れたことの無いHiGH&LOWシリーズのファン、Jr.EXILEのファンの入り口を広げるつもりのライブ感覚でマイクを持たせたならそれは新規ファンを侮り過ぎだろう。考え過ぎだろうがそうではないと信じたい。
何故私がこんなに劇中マイクを持つことを嫌がっているのかというと、RIKUさんがミュージカルで「歌うな」と教わって来たことがマイクを持つことでリセットされてしまうような、そんな不安があるからなのだが…それこそRIKUさんを侮った考えなのは承知していて、でもでもわかってはいるけど…!とゴロゴロしているのである。単純にRIKUさんにミュージカルして欲しかったんですよね…今年も観られると思っていたので…ハァ…。
しかし今回RIKUさんの歌唱はライブ寄りではあるもののライブとも微妙に違うので、ご本人的にも「歌うな」の教えが頭にあるのだと思う。これは翔平くんのラップも同じように感じる。
結論、「マイク持つな」は私の我儘である。
最高のキャスト
本題前にやたらと寄り道してしまった。
ここからは素晴らしいキャスト達に触れていきたい。
まず別枠で触れておきたいのは今回まさかのご共演となった水美舞斗さんと瀬央ゆりあさん。
私は宝塚の知識がほぼ無く、専科という枠組みも『かげきしょうじょ!!』に出て来たからうっすら知っている程度の身である。すみません、劇団四季育ちです。
先んじて宝塚でハイローが上演されると発表された際にも、こんなとんでもないことも起きるんだなぁと驚いた。
舞台の前にチラ見せしてくれるらしいと聞き配信で観た『FLY WITH ME』が凄く良くて期待が高まった。思った以上にハイローだったのだ。当然『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』も配信で観た。コブラが恋愛をしているのは違和感があったが、これが宝塚のカラーなのだろうと納得は出来た。何より予想外に直接的な乱闘が多くてハイロー過ぎたので全部OKだった。
1人、私の好みにストライクな人がいた。ROCKY役の芹香斗亜さんである。
オリジナルのROCKY役の黒木啓司さんは引退されてしまっているので今後ROCKYにはもう会えないと思っていた。しかし啓司さんのROCKYとも違う、それでいてこれはROCKYだと確信出来るROCKYがそこにいた。
この方に映像でもROCKYを演じて欲しいなと思った。流石に急に姿が変わって出て来たらおかしいから無理だろうけど、それなら新しいWhite Rascalsのリーダーとして、ROCKYの意思を受け継ぐ別の人物として出演して欲しいと思った。性別とかどうでも良いし、むしろ男性として出て欲しかった。
この願いが今後叶うかはわからないが、今回のザ戦でその夢が叶う片鱗を見た。
水美さんと瀬央さんは男性としてハイローの舞台に立つことになった。そんなことを思い付いて実行する、ハイローチームは本当に最高だなとつくづく感心した。
そんなの絶対面白いに決まってるじゃんね!?
そのお2人を含む各国の感想を思うままに書こうと思う。
須和国
前述した通り須和のメインキャストは全員役者さんなので安定感が素晴らしい。舞台作品には初出演の主演片寄さんをガッチリフォローして固める布陣なのだろう。
小野塚さんとうえきやさんのコンビが本当に良くて、そこに絡んでいく瀬央さんが意外過ぎた。どうやら瀬央さんはコメディもお得意な様で…!?あのビジュアルと佇まいで!?と驚いた。
(余談だが事前に拝見したビジュアルやインタビュー等で何故か瀬央さんに犬みを感じてしまい、犬のRIKUさんを好きな身としてはこれは危険なお人だなと予感していた。予感は的中してしまったかも知れない。)
小野塚さんとうえきやさんのアドリブは何回でも公演に入りたいと思わせる大きな要素の1つだろう。このお2人が座組にいてくださって本当に良かった。
須和に関して唯一不満な点は瀬央さんの歌唱がほぼ無いこと。乃伎のように相手役が歌わないパフォーマーというわけでもないのだから、デュエット調にしてもっと黄斬との関係性を見せて欲しかった。そこだけが本当に残念。それも込みで言葉足らずの2人という表現だったのかな…。
しかし瀬央さんは歌唱もほぼ無いのにあんなに違和感無く須和に溶け込めているのが本当にすごい。お芝居は勿論ダンスまでまるっきり男性でしたよ…驚き。
乃伎国
この国は…本当に……新体験をありがとうございます。今までに無い感動でした。
水美さんの全てが素晴らしい。観る度に引き込まれる吸引力が凄まじい。うちの藤原樹くんは元々小柄な方ではあるが、湧水様があまりにも大きく見えて混乱した。王子王子と呼ばれて来たあの藤原樹が…お姫様になる日が来るとは……。それだけでなく樹くんのお芝居がどんどん良くなっているのは絶対水美さんの影響だと思う。素敵なお姫様になれて良かった…新境地だね樹くん。
抱擁のシーン等、立場が逆だったらこの新体験は生まれなかったことだろう。恐らく私は湧水に女性の面影を感じてしまう気がする。2人の役者の性別を知っているメタな側面からと純粋に物語の中の関係性からもこの抱擁があまりにもベストだった。素晴らしい…。
櫻井佑樹くんもこんな上手いんだな!?と新発見だった。ザワクロでの印象がほぼ無くて申し訳ない。改めてもっとちゃんと扱って欲しい役者さんである。犬属性好きとして鉄湯は非常にツボなキャラクターだった。こちらは次回作に激しく期待。
とりあえず乃伎国には早急にスピンオフが必要。
尊武国
そして推しの国…長くなります。
LDHのイメージを一身に背負った国。国別シーンで最初にTHE尊武を見せてくれるRUG POUNDのダンスパフォーマンスが素晴らしく、あのダンスのお陰で尊武のイメージが一気に固まった。更にはアンサンブルとしてのお芝居や殺陣まで任されてデビュー早々どれだけ大変だったかと思う。これからのご活動にも注目したい。
そしてRIKUさん演じる玄武と翔平くん演じる白銀が……もう……。
最初に情報が出た時にこの2人の関係性は琥珀さんとコブラなんだろうなと思った。しかし誰彼構わずブチ切れる玄武を見るに天下井と須嵜の方が近いのか?と考え直した。だがそうなると須嵜のキャラが白銀とズレる。白銀はもっと真っ直ぐに思いを伝えて来る。純粋さが重いパンチを産むタイプだ。そう、レンブラント(ETERNAL)のような。性格こそ違えど玄武はリーフェンに近い。玄武と白銀にハイローみとETERNALみを感じて私は悶絶した。
更に尊武の2人は本当に良く動く。競技系全般に強い2人なのでアクションの量が半端ない。過去2作品(RIKUさんは3作品)で殺陣の経験を積んでいる2人の殺陣はとても力強くて説得力があった。そのムキムキの人、ボーカルですよ。
最初にキャストが発表された時、尊武には宝塚の方がいないのでこれは外との関係性も薄そうだしヅカオタさんには刺さらない国になるだろうなと少し寂しく思っていた。ところが蓋を開けてみればRIKUさんと翔平くんの歌や殺陣、お芝居はしっかりと評価していただけていた。こんなに嬉しいことがあるだろうか。RIKUさんと翔平くんが積み上げて来たものが報われた気がした。特にRIKUさんはずっとLDH主催の舞台に出ずっぱりで、外部の評価もいまいちわからなかったのだ。私の推しがちゃんと評価される成長を遂げられていたことが嬉しくてちょっと泣いた。本当にありがとうございます。
RIKUさんのハイローでの役が玄武で本当に良かった。なんか本当に楽しそうに暴虐の限りを尽くしているし。
出来れば何故白銀がそこまであの玄武に惚れ込むことになったのかのもっと詳細なエピソードをいつか明かして欲しい。
拳は刀となった
他のキャストさん達やダンサーさん達も本当に素晴らしくて、更には皆さんとても仲良く過ごしていることが伝わってくる。こんな座組はもう二度と無いかも知れない。いや、続編で再び集結して頂きたい、絶対に。
様々な属性をぶち込んだザ戦の中でも特にヅカオタさん達とLDHのオタク達との交流が蚊帳の外から見ていても面白く、こんな世界線があるなんてなとしみじみしている毎日だ。かく言う私もブロマイドこそメインキャスト6人分を買っていたもののアクスタはRIKUさんだけだったところを、翔平くんのアクスタを追加購入するタイミングで何故か水美さんと瀬央さんのアクスタも買っていた。
舞台の力って凄いよな…とつくづく思うのである。いずれ樹くんと片寄さんのアクスタも追加される気がする。
今後とも良きお付き合いをしていただく為にもまずは千穐楽まで何事もなく走り切っていただき、そこから円盤、続編と軽やかにステップを踏んで貰いたいものである。
まだまだ閉幕まで通い続けようと思う。幕は開いたばかりなのだ。行ける限り行くぞ。
それではまた、戦場にてお会いしましょう。
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