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祖母の命が終わる音

私が中学生の頃、
祖母はずいぶん前から煩っていたガンが身体中に転移し、入院していた。

ある日の未明、家の電話が鳴った。
4時か5時くらいだった気がするのだが、こんな時間に電話がかかってくるのだから、祖母がいよいよ危ないんだろうと察した。

朝起きると、母から
「おばあちゃんがいよいよ危ないみたいだから、今日は学校から帰ってきたら、みんなで病院にお見舞いにいくから。すぐ帰ってきて。」
と言われた。

この日、私は参観日だったのだが、参観日に行くつもりだった母は、私の学校に来ることはできなかった。

学校では、参観日のため、授業が1限繰り上げられていて、
いつもだったら4限目の時間が、給食と掃除の時間になっていた。

12:25〜12:40
この日の掃除時間、私は教室の掃除担当だったので、
ホウキを持ってゴミを掃いていた。

12:39
掃除終わりのチャイムが12:40に鳴るほんの少し前だった。
あと1分しかないのに掃除は半分も終わってなかったので、
友達と「間に合わないよ、急ごう」と話していた時だった。

私の頭の中で「ピーン」という音が聞こえた。
同時に、祖母が亡くなったと感じた。
今の時代のように携帯もなかったので、何の情報もないのだが、
直感で「今だったか…」と思った。

その後、参観日の授業をして帰宅すると、大勢の親戚が家に集まっていた。
その様子を見て、やはり祖母が亡くなったのだと理解した。

一応、、、と思って聞いてみた。

私「おばあちゃんはいつ、亡くなったの?」
母「12:40くらいだね」

私が聞いたのは、祖母の最期の音だった。

この出来事を最初に、
残念なことに、誰かが亡くなるのが分かるようになった。

親族はもちろんのこと、仕事で出会う人、
そして、テレビに出ている芸能人たちも。
病死だけでなく、自死や事故の時は特に分かってしまう。

全然嬉しくない能力なのだが、
いつか誰かを救うことに役立てないかを、ずっと考えている。

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milkteary
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