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【300字小説】清掃の時間
「時間だ、目を覚ませ」
薄目を開けた先にはひとりの男。金髪、気だるげな表情、真っ黒の服。いつも仕事を持ってくる相棒のようなものだが、そう思われてはないらしい。私の仕事を下に見ている。だったらお前も底辺の仕事をしていることになるのに。
「わかってるわよ。で、今日はどんな仕事?」
「酒飲んでこい、お前酔わないだろ?」男は胸ポケットから一枚の写真を取り出した。「こいつと一緒だ」
テレビ越しに何度も見たことのある男。裏社会との癒着をウワサされている、政治家、だったろうか。
「ふうん、この人を誘惑すればいいの」
「話が早くて助かる。生け捕りでもいいが、情報さえゲットできりゃ生死は問わん」
「簡単な仕事ね」
夜に紛れる。
お題「夜行性のおはよう」