私はもったいなくない
人は恋愛の話が好きだ。
恋愛のコンテンツはよく読まれるし、どの映画やアニメ、物語にももれなくラブストーリーが盛り込まれる。
それは、人として生きていく以上、というか生殖していく以上(とかいうとなんか生々しいんだけど)本能的にあるもので、恋愛なきにして人は語れないからなのだと思う。
それを十分に理解したうえで、本題に移りたい。
誰かしらとごはんを食べるとき、必ず話題に上がるのが「最近いい人いる?」という話だ。
私は、人並みに恋愛はすると思うが、別に恋人がいないからといって寂しくて死にそうにはならず、割と普通に生きていけるタイプである。
もちろん、人を好きになることは素晴らしいし、それに越したことはない。ただ、私の場合はそもそもそんなに人のことを好きにならないので、恋愛にもあまり発展せず、あまりいい報告ができなかったりする。
ただ、そうやって「最近いい人いないの?」と聞かれたときに、「いないよ」と答えると、決まって返されるのが「せっかく可愛いのにもったいない」という言葉だ。
可愛いのにもったいない。
もったいないってなんだ??
なんだろう。普通に捉えれば「可愛いのにそれを使わずに持て余しているのがもったいない」の「もったいない」だと思うんだけど。むしろ褒められていると思うんだけど。
なんかすごくもやっとした。
幸せの定義は人それぞれだとみんな頭ではわかっているくせに、なぜか恋愛に関しては、「人は恋愛をしていないと不幸である」みたいな共通認識がずーっとある気がする。
ただ、1人でいるだけで、この人は孤独で寂しいんじゃないか、とか哀れまれる。1人も1人でいいとこあるよって言ってみても、強がりとして捉えられてしまう。
わたしだって別に意図的に1人でいるわけじゃないけど、「ちょっと好き」くらいの人と無理やり付き合いたくなんてないし、寂しさを埋めるためだけの恋愛なんて悲しいからしたくない。
それはさておき。
1人でいる時間は誰かに捧げなきゃもったいないんだろうか。
かわいい服を誰にも見せず、自分のためだけに着るのはもったいないんだろうか。
綺麗な肌は、綺麗なうちに誰かに触れてもらわなければもったいないんだろうか。
可愛さは、可愛いうちにだれかに与えなきゃいけないんだろうか。
そんなことない。
だって私は自分のために自分を全力で消費できている。それがもったいないなんて野暮だ。
だから、1人で生きている人たちも、もったいなくない。誰も、もったいなくない。
自分のためにたっぷり自分を使っていいんだよ。
それで、恋に落ちたら落ちればいいんだよ。
そんな、もったいないなんて言われても、どうしようもないんだから。
胸張っていこう?
Photo:Shun Nakayama(@nk_shun)