「『変なこと』のほうが記憶に残る」という真理 #化けるフェス
「糸島にキャンプ行かない?」
先日、川原卓巳さんと初めてお会いしたときにキャンプに誘われた。ゴリゴリの初対面である。
卓巳さんは妻のこんまりさんを始め、さまざまなコンテンツの世界展開を仕掛けているプロデューサーさん。一言で言うとすげぇ人である。
普段はハリウッドにお住まいなので、初対面でキャンプに誘うなんて、さすがアメリカンは違うぜ。
それはさておき、わたしの推しているアイドル、アンジュルムの楽曲のなかに「好いとうと」を連呼しまくる『糸島Distance』という超尖っている曲があるため、わたしは思わず反応してしまった。
「(あの)糸島に行けるんですか!」
ふたつ返事でOKした。
今思えば初対面でキャンプに誘う卓巳さんもクレイジーだが、よくわからないキャンプにノリノリだったわたしもまぁまぁクレイジーだったと思う。
それから約2週間。まったく連絡がなかったので、「あれは社交辞令だったんだな。やだァ、わたしったら間に受けちゃって〜」と陰キャ志向のわたしはアンジュルムのクリスマスイベントに申し込んでいた。
すると。
と、登壇者になってる〜〜〜〜〜〜!
そう、フツーのキャンプだと思い込んでいたものは、「化けるフェス」という名の川原卓巳さん主催の催しものだったのである。
しかも、わたし以外の登壇者がやたらとすごい。
安藤美冬さんの真下にある「ゆるふわ思考のライター」の字面がヤバすぎて飛び上がった。
場違い感がハンパないが、そうと決まればさすがに席を空けるわけにはいかねぇ。わたしは慌ててアンジュルムのクリスマスイベントをキャンセルした。
そんなこんなで急いで飛行機を取り、前泊をするためにホテルを取り、ついでに「サウナラボ福岡」の予約もして臨んだ。
そしてやらかした。泣きながら翌朝のフライトに変更をした。死ぬ気で6時に起床し、7:40の飛行機で福岡にやってきた。
ところで、福岡に着いてから知ったのだが、糸島は島ではなかった。島じゃないんかい。
そうしてやってきたフェス会場、「KARADOMARI VILLAGE」。
だだっ広い原っぱにインディアンの住まいのようなテントを見て、「リアル・ミッドサマーやん!」と思ったが、リアル・ミッドサマーになっては困るので絶対にひとりでいないようにしようと心に誓った。
しかし、そんな会場にも人が集まり、イベントが始まると、一気にフェス感が出てきた。ど平日にも関わらず多くの人が来ていて、みんなクレイジーだなぁと思った。
ちなみに、わたしの登壇テーマは『強みで尊敬され、弱みで愛されるためには?-ポンコツ×バリキャリ-』である。
説明文に、「実はポンコツでもいいと思える素敵な時間になるかも。笑」と書いてあり、「これは否が応でも素敵な時間にしないとヤバい」と謎のプレッシャーに震えた。
そんなイベントでわたしは、「ポンコツは受け入れるしかない」「みんな赤ちゃんになればいいと思うんですよねぇ」「半径5メートル以内が幸せならよくない?」という持論を展開しまくったのだが、これが神ファシリテーターのおかげで功を奏したのか、イベント後に「わたしもポンコツなんです!」と、たくさんのポンコツフレンズたちに声をかけてもらえた。
イベント後はBBQをして、おいしいものを食べまくり、酒を飲みまくり、楽しいひとときを過ごしたのだが、実はこのフェスで1番記憶に残っているのは、食べものでもトークイベントでもない。
深夜のありえないほどの寒さである。
どれくらい寒いかというと、寝袋のなかで縮こまりながら、「早く朝がこねぇかな」と天に祈るほどである。完全に冬キャンプをなめていた。
そんなもんだから、翌朝の話題といえば「マジで寒かったね」「生命の危機を感じたね」「靴下を3重にしたわ」という感じだったのだが、〆の挨拶で卓巳さんが衝撃的な一言を放った。
「なんかさぁ、変なことのほうが記憶に残るんだよね!」
思えば変なことだらけのフェスだった。平日の水曜日に50人規模で糸島のリアル・ミッドサマーな場所に大集合して、誰もがトークテーマをよくわかっていないまま登壇して爆笑を掻っ攫い、知らない人同士でジャンジャカ飲み食いし、慣れないテントで凍えて眠る。
これがたった24時間のあいだに起こったことだとはにわかに信じがたいが、わたしは今日のことを一生忘れないと思う。
そして、「変なこと」といえば、たくさんの参加者さんが「ポンコツトークおもしろかったです!」と声をかけてくれたこと。
それってつまり、わたしの話していることが「変」だったからなんじゃないか、と思った。
なぜなら、自らのことを「ポンコツです」と声高らかに言う人はあまりいないからである。
ポンコツというのは一般的には自慢することじゃないし、なんつーか社会不適合者を若干可愛くしただけで社会不適合者だからだ。
でもわたしは自らを「ポンコツ」と言っている。
それがもしかしたら、いろんな人の記憶に残り、「ポンコツの人」として認知されるようになったのかもしれない。
「変なこと」ってあまりポジティブなイメージがないかもしれない。ちょっと首を傾げたくなるようなこと。思わず口がぽかんと空いてしまうようなこと。
でもそれも、貫けば「オンリーワンな素敵なこと」になるのかもしれないな、と思った。
みんなは「ポンコツの話を聞いて元気が出ました」と言っていたが、わたしはポンコツを受け入れてもらえてとっても元気になった。皆さん、本当にありがとうございました。
これからも、自分が本気で思ったことを、本気で口にしていきたい。本気でやっていきたい。
たとえ「変」だと思われたとしても、記憶に残るほうが絶対にいい。
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