♯5 社会人になって半年後


1999年 4月

私もビストロで働き始めて半年を超えました。

ここであらためて働いている人の紹介をします。

オーナー 45歳くらい?        ホール担当

増沢さん 40歳オーナーの右腕的存在  ストーブ担当

柴田さん 33歳 キッチンのエース    前菜担当

岡さん  5年ほど先輩        ストーブ担当

山崎さん 23歳 元美容師  前菜担当

私 21歳 デザート兼ホール

田中さん 23歳 新潟出身 未経験 ホール担当


こんな感じだったかな?

私が入社して半年で4人辞めてほぼスタッフが入れ替わった感じです。 

労働条件は

休みは毎週日曜日

給料は160000円

福利厚生は無し

賞与無し

以上です。

結構条件いいでしょ?



これは本当にそう思ってました。


たぶん多くの人が理解できないですよね。

そもそも正社員でありながらの福利厚生なしですから。

給料も時給換算だと、500円もないですし。 

でも私と同じ世代の料理人がみたら、絶対にもっと悪かった自慢できる人いるでしょう。

実際私よりいい待遇の人、まわりにはいた記憶ないです。


やばいですよね。


まさにブラック企業。

というかブラック業界です。


今はかなり改善されてきましたが、当時はこんなもんでしたね。  


こういう環境はできる限り変えた方が業界の発展のためにはいいと思うんですよね。

労働条件が悪くていいことは無いですから。


厳しい環境のほうが仕事が上達するとか本気で思っている人めちゃくちゃ多いんで。

環境が厳しいのと、劣悪なのは違いませんかね?

教育の仕方とかも、殴られて仕事ができるようになるならいくらでも殴られますよ、私なら。

でもそんなことはなくてただ痛いだけだし。


青二才の私はただ従うしかなかったわけで。

こんな世界で働き続けてきました。

慣れるというかマヒしてくるんですけど、たまに大学生の友人と会うと、一気に現実に引き戻されて 
 「なにやってんだろう」

ものすごく憂鬱になります。

挙げ句の果てには仕事が、終わらなすぎて日曜日に出社とかしてますから。

これを修行ととるか社畜ととるかは本人次第だと思いますが。

 

ただもう一度やれるかと言われれば100%無理です。 

今ご活躍されている料理人の人はだいたいこのような経験を積んでいると思います。 たぶんね。


そんな環境はもちろん辞める日まで改善されることはありませんでした。

親には「騙されているんじゃないか?」と仕事を辞めるように散々言われました。

毎日7時には出社して、帰宅は翌日ですからやはり普通ではなかったのは間違いないですね。


そんな過酷な修行も半年つづけていると、自分でも仕事覚えたような気になります。

私にも田中さんという後輩が出来て、始めて仕事を教えたりしてますから。
まあホールの看板出したりとか、トイレ掃除とかですけど。

この田中さんとは短い付き合いになってしまいました。

明日は田中さんのお話をしたいと思います。

ありがとうございました。






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