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血のりを愛する

血の出るシーンにうるさい。
演出上虚構であることを強調するのでなければ、ある程度のリアリティを追い求めたくなる。
赤くしただけ、というような仕上がりだと、血のりに対する愛情がないとすら思う。
血のりに対する愛情を持つ者が血のりを施すべきだと思い、それは私だと思う。

手伝いで血のり係をやらせてもらい、非常に勉強になった。
シチュエーションは背中の刺し傷。
凶器はペティナイフ。

【外傷から出る血】
・さらっ!血(アシスト)
https://www.assist-wig.com/item/012966
さらさらしすぎずある程度の粘度があり、色みも黒すぎず黄すぎず明るめの赤色で、床材などについても水拭きで落としやすく、からだに着いたらメイク落としシート+おしりふきの二度拭きですっきり取れる。
水で伸ばすと霧吹きもできてとても扱いやすかった。

【口に含んで垂らす血】
・チョコシロップ(ハーシー)
https://tomiz.com/item/00079902
・食用色素 赤(共立食品)
https://www.kyoritsu-foods.co.jp/product/263/
混ぜるだけで赤黒くドロドロした血の表現ができる。
瓶に詰めて振ってもきれいに混ざるし、混ぜる食紅の量を調節すれば明るめの色味になる。
歯についた感じも不気味で良い。
ゴポッと吐き出すこともできそうだし、口内に行き渡らせた後は飲み込んでしまえば、雰囲気を保ちながらはっきり聞き取れるしゃべり方ができる。

【口に含んで吹く血】
・ケーキシロップ メープルタイプ(正栄)
https://shoei-honey.co.jp/product/%e3%82%b1%e3%83%bc%e3%82%ad%e3%82%b7%e3%83%ad%e3%83%83%e3%83%97-%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%ab%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%97/
・割るだけ ボスカフェ 焦がしキャラメル(サントリー)
https://products.suntory.co.jp/d/4901777348318/
・食用色素 赤(共立食品)
https://www.kyoritsu-foods.co.jp/product/263/
口の中の血を吹きかけるという演出があったので、チョコシロップより粘り気の薄いものも作った。
パンケーキシロップははちみつよりさらさらしていて、食紅を混ぜると明るい赤色の血のりになる。
より水っぽく暗い赤にしたかったので、コーヒーベースで割ると色みも粘度調節も良い具合だった。
シロップの容器をそのまま使い、振り混ぜることもできる。
白いネルシャツに刺し傷を作る時、さらっ!血の原液と薄めた霧吹きで染みを作り、ナイフで布地に穴を開けてからシロップの血のりでとろみやテカリを加えると、傷口から出てくる濃くて粘り気のある血と染みになった部分とのグラデーションができた。

普段のパフォーマンスではトマトジュースを血のりがわりに吐き出したり、ソーセージをケチャップまみれにして腹に仕込んだものを内臓として食べたりすることが多いが、映像作品ではおいしくてリアルな血のりを口に含んでいただきたいと思ったので、良いレシピが作れてよかった。

今回刺し傷に使ったものは乾きが早く、血を足すタイミングに気をつけなければならなかったのと、倒れた人からジワーっと血が流れ出てくるところを撮りたいという動きのあるリクエストに咄嗟にうまく応えられなかったことが心残り。
ビニール袋に血のりを入れて切れ目を何箇所か作り、腹に仕込んで自重で潰してもらったが、潰れてはいたもののうまく床に広がらなかった。
ラップかローポリ袋に血のりを多めに入れたり、チューブを使うなど、実験を繰り返してジワーっと出る仕組みを工夫したかった。

本来ならば刺される側の年齢性別などのキャラクター設定もより深く踏まえ、解剖学的視点から臓器の位置ももっと考えて施したかったが、予習が足りなかったので日々鍛錬を心がけたい。

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