はてなRPG
幼い頃から学びへの意欲が止まらない人間だった。何故?が溢れる脳内で生活していると、毎日がいい意味で疑問符に溢れている。それらをひとつひとつ潰していくのが何より楽しい。
ゲームもアニメも漫画も知らない私にとって、この疑問符を学びで潰すことは最愛のRPGである。
このRPG、ボス戦がいくつかあるらしい。私は初戦【中学受験】をなんと一発で倒し、次戦【高校受験】までも一度に倒してしまった。ゲームは好調に進み、クリティカルを重ねながら常にお手本通りのプレイをしていた。
そんな時だった。
『むむ、勇者の様子がおかしい、、?』
私は精神疾患になり、このゲームをセーブして、液晶疲れした目を2年間もかけて癒した。「学び」から離れ、娯楽を楽しみ、勉強からは離れていった。
このRPGから離れて2年、私の世界は、2年間で潰すことから離れていた疑問符で前が見えなくなり、潰したくて疼く心のままにシャーペンを手にした。ゲームの再開である。
久々に立ち向かった疑問符達との抗戦に、自分の体力の衰えを感じる。そしてボス戦【大学受験】がやってきた。この時私は初めて負けた。ボスに、勝てなかった。
ゲームをセーブして考える。そして気づいたのだ。大学受験というボス戦で立ち向かっていたのは、疑問符ではなく、偏差値や点数などの「数値」であったこと。しかし、私はその数値に対するスキルが圧倒的に低い。これではボスを倒せない。私は「何故」に対するレベルならカンストするほど高い自信があった。そしてある魔法を使ったのである。
ボスに「これを学びたいんです」という小論文を出した。いわゆる自己推薦型である。
ボスは私の志望理由をじっくりと聞き、扉を開けて大学への道を示してくれた。戦いは、行われなかった。一面クリア、新たな面のスタートである。
私が浪人生の時に使った魔法を授けてくれた人物、それはアイドルオタクの予備校講師であった。
彼はアイドルを哲学に昇華し、考察していた。その考え方に私は強く感銘を受け、その方法で私も疑問符達と戦ってみたいと思った。経営学科だった志望は、最終的には分野横断学部人文領域に落ち着いた。
ゲームをセーブしていた間、私はたくさんのサブカルチャーに触れ、それで動く経済と、「オタク」達の心を見ていた。そして、私の脳内に、人生で最大の疑問符が浮かんだのである。
「サブカルチャーが突き動かす市場と心理のメカニズムはどのようなものなのだろう?」
これだ。今の時点での人生最大の問いは、これだ。そう思った瞬間に私はボス戦を起動したのである。
大学受験をクリア私は、晴れて春から人文学科の生徒である。これからは、私の人生最大の問いを解決するに向けて、多方面からアプローチすることができると思うと、体の奥底から熱いものが溢れてくる。
学びたい。その一心で扉を叩き、数値で戦うのではなく、研究意欲と熱意でこじ開けた大学の扉。その先には「ヒト×サブカルチャー×カネ」のメカニズムのヒントがたくさん転がっている。どうして人はサブカルに依存するのか?どのようなやり方でサブカルは経済を回すのか?何故人とサブカルは切っても切り離せないのか?疑問符は浮かんでは私の目の前に押し寄せてくる。
今年は学びの年にしよう。セーブしていた期間を取り戻すかのように、私は今日もサブカルチャーの文献を読んでいる。