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今日はちょっと読書の話『14歳からの社会学~これからの社会を生きる君に~』

#14歳に君にとどけ
#親世代も 、現役社会人にも
#包摂と排除
#願望水準・・・自分の心の奥底にある何を望んでいるか
#尊厳
#感染するほどの本物に出会おう

著書名:『14歳からの社会学~これからの社会を生きる君に~』
著者:宮台真司
発行年:2008年11月
出版社:筑摩書房

読書のきっかけ


この本を取ってみるきっかけは何だったかと言えば、2022年11月に著者が大学構内で、何者かに刃物で切り付けられたとの、報道。過去にほかの著書を読んだ記憶があったが、その時は思い出せなかった。思い返しても、これまで読んだ本に、襲撃されるような内容を含む著書など思いも当たらなかった。そこで、最近の対談の動画などを視聴することで、過去に読んだ本を思い出すとともに、かなり厳しい切り口で、発言しているのには意図があることを知った。そんなこんなあって、『おどろきの中国』という著書であったことを思い出し、メモを確認すると10年前に拝読していることも分かった。
今回は、孫にでも推薦することができるのではないかと、『14歳からの社会学』を手に取ってみた。
だが、いざ読み始めてみれば、子ども向けの本のような題名と裏腹に、実際は子育て世代や社会の荒波にもまれる人が読むことによって、今の日本の学校教育、あるいは社会、あるいは会社と言うものについて、深く分析しなければならないものだと言うことを深く感じた。

仕事は生きがいとなるのか


では何が最も大事かと言うことを私が感じとったかと言えば、子どもには、何よりも、人間関係が大事だと言うことを学びながら、生き抜く力が必要だって事だ。


『仕事に生きがいを求める。』
よく耳にするフレーズ。
そんなものよりも、著者は君が君に戻るホームベース。そこがあれば仕事が期待はずれであっても何とか生きていけると言っている。
それこそが


「願望水準」に支えられた入れかえ、不可能な人間関係作り、それが君が君にもどることのできるホームベースとしよう。そういうホームベースがあれば、仕事が期待外れだったり仕事で失敗したりしても、大したことじゃなくなるだろう。

14歳からの社会学 P.129

と言うことだ。

感染するほどの本物との出会い


自分の心に自分の奥底で、自分は一体何を望んでいるのかと言うことを考えてみねばならない。表面的な会社での人間関係があればいいと言うものではないだろ。会社を辞めてしまえばその人間関係は一気に崩れていく。だからこそ、自分が自分でいられる人との関係性が大事だ。

自分にとっての『この人すごいな』と思えるような人間と、出会えることが重要だと言っている。
もしも、『すごいなぁ。こういう人になってみたいなー。』
と言うその人の生き方に憧れるのであれば、真似をしてみることが重要だという。
思いっきり、その人をモデルにして、模倣をしてみよう。
そういう刺激をくれる人と言うのは、実際に見ていれば行動が伴っていると言うことだ。

尊厳値を高める


次に、自分の尊厳値を高めておかねばならないと言うことを言っている。では、尊厳と言うものがどのようにしたら高められるかといえば、物事に対して自分なりに試行錯誤してチャレンジをする。
そのチャレンジが、
「失敗であった」
「成功した」
場合であっても、それを認めてくれる人、承認してくれる人が必要だと言う。そうした存在がいることによって、自らの尊厳値が高められ、自分が自分であって良いと言うことで、自分なりの意見を恐れることなく、人に言える存在になってくると言う。
ではこの尊厳値が認められないとどういう風になっていくかと言えば、p.27
1つはアダルトチルドレン
2点目は引きこもり
3点目が尊厳を投げ出すタイプ。これが最も怖いタイプだ
と言う。
 
自分が失敗をした時、その失敗さえ受け入れて、次がんばればいいよと言うような励ましをしているくれる存在はいるだろうか。
職場で辛い思いをした時、腹の中を割って語り合い、まずはその気持ちを受け止めてくれる人はいるだろうか。そういうことを著者は言っている。
著者は、14歳の君に、こんな思いをすることは、社会に投げ出された大人になったら、きっと君が経験することだといいつつ、今の大人に救いの声として語っているようだ。
 
つまり、人間関係を築き、自分の周りにどのような人がいるのかと言うことを常に考えながら生きていく必要性がある。
君は誰かに包摂されているか?
はたまた、排除されているのか?
しかし、排除されていても、排除と包摂は裏腹だから、君のことを
「大丈夫さ、心配することない。」
「失敗してもいい」
「君のチャレンジを応援する」
そのような言葉を投げかけてくれる人に出会えばいいのさ。



 

私のこれまでとこれから



私自身のこれまでを思い返してみれば、幼少期のお手本は親だった。
義務教育に入ってからは、先生や友人にあこがれた。その憧れた友人のようになりたいと思って、勉強をした。
年を重ねて、大学の教官のゆるぎなき研究姿勢やおおらかな態度に、支えられ自分自身の思考を磨き意見を言える人間になりたいと思った。
社会人になってからの、その職域の専門性の追求を続ける先輩にあこがれた。
 
社会の荒波は、半端なく寄せては返すものだと体験しつつ、それでもその波にのまれて溺れずに、ここまで生きてこられたのは、自分の周りに支えてくれる人が、その都度優しく包んでくれたことが、緩衝材となり、あるいは消えそうになる情熱に対しての火付け役になってくれた。
 
思春期と青年期が最もライフサイクルの転換期で、心が傷つきやすいことだろう。
でも、一人ではないし、この広い世界に必ず包摂の場は見つかるはず。あきらめずに、人間関係を拡充し続ける歩みを止めないで、今日も一歩一歩、新たな出会いを求めていこう。

 
2023.2.17(金)
MILK


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