見出し画像

苦しみ続ける音楽家たちと、苦しみを越えていく音楽家たち

私と夫のイリヤンは現在、岡山の自然豊かな場所にある自宅兼スタジオでレッスンを続けています。今回は、レッスンの様子やそのときのイリヤンの言葉などをシェアしていきます。

「音楽大学というところは生徒たちにダメージを与える場所でしかないね。」

ここからはイリヤンの言葉です。
ワークに入る前に、イリヤンが生徒さんにこんな話をしていました。

「音楽家は大きく分けて3つに分類できると僕は思う。

すごく下手だけど、そんなの気にせず、楽しく思い切り演奏できる音楽家。そういう人たちをCold Water(冷たい水)にいる人たち、と言い換えよう。

そして、突き抜けて素晴らしい、一流と言われるような音楽家たち。彼らは文句なしに実力者だし、彼らの音楽の中にはパーソナリティが存在している。唯一無二の存在感がある。そういう人たちは、Hot Water(熱湯)にいる人たち、と言い換えよう。

そしてそれ以外の人たち。彼らは、手で触っても冷たくも熱くもない、人肌のぬるま湯にいる人たちだ。

僕は冷たい水にいる人たちのことを悪いとは全く思わないよ。勇敢に楽しく演奏できるなら、それはそれで良いだろう。でも問題は、ぬるま湯にいる人たちだ。この3つの中で一番良くないのが、人肌のぬるま湯だ。

そして残念なことに、音楽家の多くは、この一番良くない、人肌のぬるま湯にいる。

音楽大学というところは、ぬるま湯に浸かったまま、苦しみ続ける人たちを量産する工場みたいなものだ。それは日本に限らず、世界中どこへ行っても変わらない。

そう、彼らは苦しみ続ける人たちでもあるんだ。下手なりに思い切り楽しんで演奏することもできなければ、飛び抜けて素晴らしいわけでもない。

もし君が苦しみから抜け出したいと思うのであれば、ぬるま湯以外のどちらかを選ばなくてはいけないんだよ。

ぬるま湯に居続ける人たちが辿る道は、現実を直視することなく、自分を騙しながら、誤魔化しながら生きていく道だ。

そういう人たちの中には、いろいろな先生のレッスンを渡り歩いてみたり、マスタークラスや講習会に参加してみたりする人もいるだろう。そしてその度に何かを学んだ気にはなっているけれど、実体は気休めに過ぎない。悩みや苦しみは年を重ねるごとに増していくことだろう。

じゃあ、その苦しみの道を抜け出して、良い音楽家になっていくために必要なことはなんだろうね。

それは君自身が変わることだよ。実力をつけなくてはいけないんだよ。
誰かに寄りかかるのを止めて、自立した音楽家になることだ。

多くの人が勘違いしていることは、この大学に行けば上手になれる、留学すれば上手になれる、と期待していることだ。残念ながら、どれだけ名門大学に行こうとも、留学しようとも、それだけで演奏が変わることはない。

留学したり、大学に入るその手前で、準備ができていなければならないんだよ。

大学教授が基礎から手取り足取り教えてくれることはない。基礎から時間を割いて教えてくれるような大学教授はいないんだ。

レッスン時間を超えたら、できようができまいがそこで終わり。できないのは自分の責任ということだ。

世界中を見渡しても、基礎をじっくり教えるために、親身になって、君のために時間を使ってくれる先生に出会うことはとても難しい。

留学をすることで、音楽家として成長したり、さらに、その先の仕事へと繋がるような人間関係を築いていけるようになるには、すでにその時点で実力がなければいけないということだ。

そうでなければ、誰も相手にはしてくれない。よくいるアジア人留学生のうちのひとりで終わりだ。

さあ!良い音楽家になるためのワークしよう!
音楽を心から楽しめるようになるのは、その苦しみを抜けた後の話だからね。」

基礎は全て

レッスンは休憩を挟みながら、5時間を超えることもあります。
悪い習慣を良い習慣に書き換えるということは、とても骨の折れるプロセスです。表面上で何かを操作しても、それはいっときの効果で終わってしまいます。

本当に変わるためには、まずは悪い習慣が生まれた原因を究明しなければなりません。その上で、新しい習慣の種を蒔きます。そして芽が出たら、それを正しい方向で発展させていくところまでがプロセスです。

時間のかかることでもあるし、時間をかけたほうが良いことでもあります。

楽器と対峙してしまうと、そこで悪い習慣が顔を出してしまうこともあります。その場合は、楽器と一旦距離を置いて、しばらくは楽器を使わない練習をしたりもします。

レッスンは、そのための練習方法を生徒さんと一緒に編み出しながら、試行錯誤を繰り返しながら進んでいきます。

「これを3ヶ月間続けてごらん。大きく変わるから。僕が保証するよ。」

大きく変わるためには、地道でゆっくりと進む時期が必要なのです。1歩進んで、2歩下がって、また1歩ずつ進んで。その繰り返しです。

でも、今日1歩でも進めたらそれで十分なのです。

どう生きたいのか

もっと真剣に生きなさい。
自分の人生を人任せにしてはいけないよ。
自分を幸せにできるのは自分しかいないんだよ。
他の誰も、君のことを幸せにはしてくれないんだよ。

そのためには自分に力をつけないといけない。

イリヤンは音楽を教えているようで、こんな風に人生の本質を教えているようにも思います。

イリヤンの言葉と連日のレッスンの様子をシェアしてみました。

レッスンに興味のある方はこちらまでご連絡ください。

最後まで読んでくださってありがとうございます😊

今日も良い1日を!

いいなと思ったら応援しよう!