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伸び悩んでいるとき思い出したいこと。

『音楽を趣味だと思って、もっと気楽にやってみたら?』

友人にこんな風に言われたことがあります。当時はその言葉が心に刺さりました。趣味?今までこんなに一生懸命やってきたことなのに?音楽家として生きていくのは、私には厳しいのかな?そんな気持ちになりました。

けれども同時に、そんな時期が必要なときもあるのかな。とその言葉を受け入れようとしている自分もいました。今になると、その友人の真意も理解できます。

誰しも伸び悩むときというのはありますよね。うまくいっていないなと思うときは、視野が狭くなっていたり、思い込みで視点がズレていることが多いです。そんなときは、いつもより少し音楽との距離を置いて、気楽にレッスンや練習に臨むくらいが良いと思います。自分の周りに余白が必要なんです。

音楽が良く変わっていくためには、音楽以外のことも同時に変わっていかなくてはいけません。人生全体で変わっていかなくてはいけないということです。音楽にグッと入り込み過ぎてしまうと、音楽と音楽以外のことが切り離されて別のことになってしまうんです。結果、変わっていけないということになります。

また音楽と向き合い過ぎると、良くない感情と結びついたり、昔の癖が引き戻されたりすることもあります。歌うことが不安や恐れと結びついてしまうんですよね。何度でも言いたいことは、練習は『ただやるもの』ということです。そこに感情は入れないことです。

うまくいかないな、と落ち込んだり悩んだりするときというのは、結果を出すことに意識が向き過ぎているときです。あれもこれもできてない。私にはあれもこれも必要。そんなふうに、自分の中で「ないもの探し」をしているうちは、それがずーっと続いていくことになります。

私たちが変わっていくために必要なことは、新たな大発見ではなく、忘れかけていたことを思い出していくことです。本来自分の中に備わっているものに気づいていくことです。ないものを手に入れることではありません。「ない」、と思い込んでいれば、「ある」に気づけないのも当然です。「きっとうまくいかない。」そう信じ込んで練習しているのと同じことなんです。

大事なことは、今の自分をそのままに受け入れてあげることです。ここまで頑張ってきた自分を認めてあげること。そこからしか良くなってはいけません。立ち止まって、自分を省みるのではなく、立ち止まって、ホッとする。安心する。今だって十分大丈夫。そんなふうに、自分を満たしてあげることの方が大事です。

音楽を生み出すためには、心に余裕があって、元気でなくてはいけません。
「変わっていくためには、セーフティゾーンの外へ出なくてはいけない。」これは私がいつも言っていることです。そのためには、まずは自分が満たされていて、安心した状態でなければいけません。

怖い怖い、と怯えながらセーフティゾーンの外に出てしまうと、余計に怖さを助長するだけで、逆効果になってしまいます。今が安心だからこそ、勇気を出して一歩を踏み出せるのです。

煮詰まっているときこそ、音楽と気楽に向き合ってみましょう。何かを学ぼう!良くなろう!ではなく、自然を眺めるように、絵画を眺めるように、ただ音を感じてみる。そこに意識を向けることが、音を感じることです。何かを感じとろう、とする必要はありません。

感覚は「身につけるもの」ではなく、内側から「掘り起こすもの」です。

すでにそこに「ある」ものですよ!

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