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人が場を作る、ということ。

門下生同士がギスギスするのは、先生の責任。

最近よく分かってきたことです。先生のあり方、そこからつくられる場の雰囲気、そういうものは当然生徒さんたちに影響を与えます。

その先生自身が、他の人に対してライバル心や嫉妬心を抱えていたり。人からの評価を気にしたり、人から認められることに一生懸命な人だった場合。当然、その先生を取り巻く世界も、似たような人たちの集まりになるんだろう、ということは想像できますよね。

その先生に師事するということは、自らその先生の影響を受けたい、と望んでいるわけですから、その先生のあり方を受け継いでしまうのは自然なことだと思います。

門下生同士が、競い合ったり、ライバル心を燃やしているということは、多くの場合が、先生自身が競争心や嫉妬心の強い人だ、ということが言えると思います。先生たちも若い頃から、人と比べられたり、批判されるのが当たり前な世界で生き残ってきた経験があるのでしょう。だからこそ、鎧を着ているのが当たり前な生き方になってしまったのかもしれません。


私がフランコの下で学び始めて驚いたことのひとつは、「生徒さん同士の仲が良い」ということでした。今となっては当たり前の感覚なのですが、当時の私には新鮮でした。日本の門下制度の雰囲気を知っていたからです。

私のレッスンを聴講していた他のフランコの生徒が、『すごく良くなったね!』と興奮気味に喜んでくれることがありました。応援してくれてる、というのが伝わりました。応援されると、自然と自分も相手に対して「応援したい」という気持ちになるものです。

フランコに、『路子、〇〇さん良くなっただろ。そのことを伝えてあげて!彼の励みになるから。』と言われたこともありました。
逆に、『路子、なんでもっとこういうふうに歌えないんだ?』と私を落ち込ませるようなことを言ってくる生徒がいたら、フランコはその生徒を注意していました。

お互いの成長や変化を喜び合えるような場の空気を、フランコは作ってくれていたのです。

フランコの指導力も、生徒同士を競争させない理由でした。一人一人の個性や魅力を引き出してくれるフランコのおかげで、お互いを認め合える関係を作っていけたんだと思います。

一人一人みんな違ったサウンドを持っていて、バスからソプラノまで声種もさまざま。同じソプラノでもみんな違う。違うから、比べることにも競争することにもならない。みんなが自分の楽器(声)を磨いていくことに一生懸命でした。

だからこそ、他の人がうまくいかなかったとき、成長できたとき、励ましたり喜んだりできたんだと思います。みんな似たような声で、みんな似たような曲を歌ってたら、どうしたって競争になっちゃいますよね。

人と比べたり、競争しているうちは、本当の自分にはなっていけません。

誰と出会うか、どこに属するかで、影響は大きく変わります。

あなたはどんな影響を望みますか?

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